【新卒採用担当者向け】外国人留学生が参加する会社説明会を成功させるには?

企業と学生の最初のコミュニケーションの場となる会社説明会。就職みらい研究所/株式会社リクルートキャリアの就職白書2020によると学生が、就職確定先の入社意欲が高まった情報や企業との接触ポイントとして、「面接などの対面の選考(60%)」の次に「個別企業の説明会・セミナー(44%)」があげられています。日本人と比べ、言語の関係で就職活動の情報量が少ない外国人留学生にとっても会社説明会は入社意欲を左右する大切な場です。

今回は、外国人留学生を採用するときに、企業がどのようなを配慮すべきかをご紹介します。今回は新卒採用の会社説明会向けに解説します。

会社説明会の目的

会社説明会は、企業が学生に向けて事業内容や企業のビジョンなどを伝え、企業が求める人材を理解してもらい、本選考に進んでもらうきっかけの場です。就活生に企業を理解してもらうためには、企業が伝えたいことを伝えるのでなく、学生が知りたいことを会社説明会を通じて伝えることが重要です。

では、学生が知りたい企業の情報とは何なのでしょうか。就職みらい研究所(株式会社リクルートキャリア)の就職白書2020によると、学生が知りたいと思ったが、知ることができなかった情報は、「社内の人間関係」「採用選考の基準」「残業実績」が上位を占めました。「社内の人間関係」については、会社の社風やどのような人が活躍しているのか、カルチャーマッチに学生が注目していることがわかります。

「採用選考の基準」「残業実績」は、学生が説明会や面接の場でなかなか聞きづらい情報のため、企業側が事前に発信すると良いでしょう。

また新型コロナウィルスの感染拡大の影響もあり、web会社説明会を導入する企業も増えてきました。web説明会は、学生からすると「交通費がかからない」「地方や海外から参加できる」というメリットもありますが、一方従来の対面での説明会や面接と比較し、やりづらさを感じている点もあります。

外国人留学生を対象とした株式会社アクセスネクステージの新型コロナウイルスの影響による外国人留学生の就職活動状況アンケート調査によると、従来の対面の説明会や面接と比べて、web説明会やオンライン面接の悪いところは、「会社のイメージがわかりにくい(41%)」「日本語が聞き取りにくい(20%)」の回答が上位を占めました。

外国人留学生だから何か特別な措置をするというより、全ての就活生に向けて会社のことを理解してもらうための企業側からの配慮が必要です。具体的にどのような配慮をすべきか次章でご紹介します。

会社説明会を成功させる5つのポイント

会社説明会を開催するときに、外国人留学生をはじめとした学生が本選考に進みたいと思ってもらう説明会にするために、企業が会社説明会の場で気を付けるべきポイント5つご紹介します。

1.説明会の案内メールでは内容を明確に伝える

日本の就活ルールに慣れていない外国人留学生は、まず説明会にどのように参加ればよいのか悩む方が多いです。日本人では言わなくても当たり前と思っていることでも、外国人にとっては当たり前でないことがあるため、説明会の必要な情報を明確に伝えることが大切です。

たとえば、参加時の服装が「自由」と書いてあっても、あえて服装について記載されているため、「自由な服装」とはどの程度の服装を指しているのかが分からず悩む場合があります。そのため服装については、「スーツでなくカジュアルな恰好でOKです」など外国人留学生にとっても、参加した際に他の就活生の服装がイメージしやすいように記載すると良いでしょう。

2.説明会中は、ゆっくり話す

web説明会・対面の説明会どちらの場合でも、説明会に登壇する担当者は、普段よりゆっくり話すことを心掛けましょう。

前段で紹介した外国人留学生を対象とした株式会社アクセスネクステージの新型コロナウイルスの影響による外国人留学生の就職活動状況アンケート調査によると、web説明会に参加した外国人留学生の20%が、web企業説明会中の日本語が聞き取りにくいと回答しています。

また業界用語、専門用語は日本人学生でも知らないことが多いため、具体例を挙げる、図で解説するなど分かりやすく伝えることをおすすめします。

3.会社紹介資料を説明会後に共有する

会社説明会に参加する学生の中には、参加時の志望度が高くなく状態で企業の説明会に参加することもあるでしょう。そういった学生が説明会後に興味を持ったときに企業や業界を調べる、また振り返ることができるように会社紹介資料(採用ピッチ資料)を共有することをおすすめします。

対面の場合は、会社説明会の冊子が配布される可能性がありますが、web説明会の場合は、冊子を渡すことができないため、採用ピッチ資料(会社説明会資料)をメールなどで共有しましょう。

メール添付で送っても良いですが、Slide Shareなどの共有できる場でシェアすると、SNSリクルーティングやオンライン採用の場でも活用できます。

4.よくある質問を説明会内で伝える

会社説明会でよくある場面として、似たような質問がどの会場でも繰り返されることがあります。そのため、企業は、学生からよくある質問を事前に集め、まとめたものを説明会内で紹介することで、貴重な質問時間をよくある質問で消費することなく、その他の質問に回答することができ、時間を有効活用できます。

そこで、外国人留学生がよくする質問を紹介します。

外国人留学生がよくする質問例

・在籍している外国人社員の人数、国籍、部署
 質問の意図:外国人の先輩が在籍していることで、安心ができるため。

・ 外国人留学生として採用枠があるか、ないか
 質問の意図:語学などの外国人の強みを活かしてアピールできるか確認したいため。

・ 入社後の研修の詳細
 質問の意図:入社後の働き方を知りたいため。(国によっては研修が少ない国もあるため)

・求められる言語レベル(日本語・外国語)
 質問の意図:仕事でどの言語をどのレベルで使うか知りたいため。

・海外事業の展開の有無
 質問の意図:語学を活かしたい、母国と接点を持ちたい外国人留学生が過半数のため。

web説明会では、画面共有機能を使い、よくある質問一覧を就活生たちにテキストで見せることで、それ以外の質問や、追加質問を聞き出すことができます。

オンライン採用に関してより具体的な方法や採用フローについて知りたい方は、下記の記事でも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

5.活躍している社員(外国籍社員がいれば)を紹介する

外国人を採用している企業が日本ではまだまだ少ないため、入社後に孤独を感じないか、どのようにキャリアアップができるか不安に感じてる外国人留学生が多いです。

そのため外国籍社員が在籍している場合は、説明会内での他の日本人社員と合わせて外国人社員のプロフィールや業務内容、キャリアアップを紹介することをおすすめします。

もし座談会など、就活生と交流できる場を用意ができるなら積極的に外国籍社員に参加してもらいましょう。もし外国籍社員がいない場合は、入社した場合にどのようなキャリアを経験できるのかを人事が説明すると疑問が解消されるでしょう。

まとめ

会社説明会は、企業の印象を左右する大切な場所です。外国人留学生は、母国を離れて働くため、日本で一人前に働くことができるか不安に思うことも少なくありません。日本では外国人を採用している企業がまだまだ少ないため、会社説明会で外国人採用についてしっかりと話すことができれば、外国人留学生にとっても日本のどのような企業で、なぜ外国人を採用したいのか理解できる貴重な場にもなります。

もちろん企業も会社説明会を開催するには、準備などの工数がかかります。就活生、企業の両方にとってが良い場にできるように、企業が伝えたいこと・学生の知りたいことを整理してみてはいかがでしょうか。

【参考】
新型コロナウイルスの影響による 外国人留学生の就職活動状況アンケート調査 (株式会社アクセス ネクステージ)
就職白書2020(就職みらい研究所/株式会社リクルートキャリア)