外国人との採用面接で必ず押さえたい3つの評価基準

外国人求職者との採用面接で、「評価基準を迷ってしまう」「どこを見ればいいか分からない」という採用担当者の声がよく耳にします。外国人の採用がメジャーでないなか外国人の面接に慣れていない企業が、多いのではないのでしょうか。今回は、外国人転職エージェントの担当者から見た、企業が外国人と面接する際に評価基準として確認しておくべき3つの点をご紹介します。

外国人の採用面接でチェックすべき3つの評価基準

まず、前提条件として、外国人は日本語が母国語でないため、上手く日本語で伝えることができない場合や、緊張しているケースが多いです。そのため、外国人求職者本人の人柄や良さを引き出すためには、面接のスタート時に母国に関する質問をするなど雑談を入れることが理想的です。

面接官がチェックすべき評価基準3つをご紹介します。評価基準の中で、自社でどれを一番に優先すべきか、評価の優先順位を評価者で必ずすり合わせをしましょう。スキルを優先にするべきなのであれば、日本語や人物像がマイナス評価でなければ、選考に進めるなど候補者の可能性を広げられるような面接にすることがベストです。

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専門性や実務経験に基づくスキル

新卒採用・中途採用に関わらず、業務に求める専門性や実務経験に基づくスキルを有しているかどうかをまずチェックしましょう。学歴や過去に勤務した会社のブランド性などで判断をするのでなく、「専攻を選んだ理由」「これまでに経験した業務内容、役割、成功体験がどう活かせるか」を面接で質問しましょう。本人の回答が、自社で求めるスキルに達しているか、もしくは活躍できる機会はあるのかを評価基準にしましょう。

注意すべき点は、外国人留学生や初めて日本で働く外国人は、そもそも業界用語を知らない場合や業界の専門用語を日本語で知らない可能性がある点です。「専門用語を知らないから知識が浅い」と判断するのは早計です。日本語の専門用語は、入社後に仕事を通して学ぶこともできますし、入社前にこれだけは覚えていて欲しいという内容だけでも伝えておけば、外国人であってもすぐに覚えられます。

専門性や実務経験に基づくスキルを面接で確認する場合に、業界用語などを日本語で答えられない場合には英語で答えてもらう、メモで図やキーワードで書いてもらうなど、外国人求職者でも伝えやすい工夫ををすることで、本人のスキルや経験を面接時に見逃しなく確認することができます。

人物像・ヒューマンスキル

求める人物像・ヒューマンスキルは、日本人の求職者と面接する際に、自社で決めている評価基準と同じ考え方で問題はありません。母国語や触れ合ってきた文化の違いますが、根底にある人柄や考え方は、国籍でなく本人によります。

そのため、「〇〇人は、こういう考え方をする」など一般的な先入観を持って面接をすることは危険です。本人の過去の行動や意志決定をした際の考え方など、なぜそのように行動したのか、なぜそう決めたのか、深く掘り下げて質問することで、本人の思考が分かります。

また社会人としての基礎能力を判断したい場合は、経済産業省が提唱している人材育成のための社会人基礎力も評価基準に入れ込むと良いでしょう。

語学レベル(日本語+業務で必要な言語)

面接官が、一番気になるポイントが日本語レベルだと思います。ただし、日本語能力試験(JLPT)の試験結果などだけで、日本語レベルで判断することは避けた方が良いでしょう。なぜなら、業務内容やポジションによって求められる日本語能力は異なります。また、入社時には日本語能力がやや乏しい方でも、実際の業務を通して日本語能力が上達する方がほとんどです。企業として一律の日本語レベルを求めるのではなく、ポジションや入社後の研修内容に合わせて日本語レベルを設定しましょう。

営業や接客など社外の日本人と日常的にコミュニケーションを取るポジションで外国人材を採用予定の場合は、一定の日本語レベルを設定するのは良いですが、社内コミュニケーションのみの技術職などは、流暢な日本語が求められているのではなく、スキルを重視して採用した場合の方が実際の業務レベルでのミスマッチが少ないです。そのため、特に社内でのコミュニケーションが中心の場合は、ある程度の日本語が使えるかどうかを面接中に確認しましょう。

日本語以外に業務で必要な言語、例えば英語などについても、語学能力を測定したい場合には、英語がネイティブな社員に同席してもらうことをおすすめします。

評価基準に設定しないほうが良い項目

前段では、チェックすべき評価基準を紹介しました。しかし、一般的な評価基準の中でも、外国人の採用では適さない項目が2点あります。

面接マナー

日本の面接時の服装や面接マナーは、グローバルスタンダードではありません。ドアをノックをしてから入室する、お辞儀をするなど、日本の面接に慣れていない外国人求職者はマナーやルールを知らない場合があります。

面接マナーができるかどうかを見るのではなく、気持ちの良いコミュニケーションができるかどうか判断すると良いでしょう。

日本人らしさ

「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、一部の企業では、日本で働く以上、外国人に、日本人らしさを求める会社もあります。そのような日本人らしさを求める会社は、外国人なら採用コストが抑えられると思い、日本人の代わりとして外国人を採用したいと考える会社もあります。

しかし日本での生活が長い外国人でも、育った環境や慣習が異なるため、外国人に同化を求めることは、組織において外国人ならでは良さを無くしてしまう可能性があります。

そのため、日本人らしさ、日本人のような流暢な日本語を求めるのではなく、本人の人柄や考えが企業に合うかどうかを見ることをおすすめします。

まとめ

外国人の面接では、どうしても「一律の日本語レベル」を企業は評価基準として重視しがちです。しかし求める日本語レベルに少し達していないものの、経験や人柄が求める人物像に近い場合、どのように評価すべきか悩むこともあるかと思います。

そのため、自社での評価基準の優先順位を決め、たとえば日本語は採用後に育成したほうが早いのか、もしくは日本語能力を重視して、スキルに関しては実務を通してスキルアップさせたほうが早いのか、現場の社員と共に評価基準を作り上げることで、ミスマッチが少ない採用、採用後の活躍へ繋がるのではないでしょうか。

参考:外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック(文部科学省・厚生省・経済産業省)
社会人基礎力(経済産業省)