【現役エージェント直伝!】外国人の書類選考で見る6つのポイント

採用選考のファーストステップといえるのが書類選考です。外国人を採用する場合でも、日本人の書類選考と同じく、スキルや経験、希望職種を確認する点は変わりません。しかし、外国人を採用するにあたって、追加で確認すべきポイントがあります。毎月50名以上の外国人求職者の書類をチェックしている現役エージェントから書類選考で見るべきポイントを6点ご紹介します。

外国人の書類選考で見るべき6つのポイント

在留資格・在留期限

外国人と日本人の採用で最も異なる点は、在留資格(ビザ)の有無です。中途採用の場合は、本人が取得している在留資格によっては、その在留資格のまま働くことができず、入社前に変更申請をしなければならない場合があります。そのため入社時期が、想定とズレることがあるので、必ず書類選考時に確認をしましょう。また留学生の場合は、在留資格の変更が入社前に必ず必要となるため申請から入社まで3ヵ月前後要します。

また在留期限も約3ヶ月を切っている場合は、入社前に申請をする必要があるので、在留資格の種類と同様に在留期限も確認すると良いでしょう。

海外在住者は、在留資格を所持していないことが一般的なため、在留資格の申請から入社まで3~6ヵ月前後かかることを頭に入れておきましょう。

学歴・専攻内容

エンジニアや事務職など一般的な職種で外国人を採用をする場合は、技術・人文知識・国際業務の在留資格を持っている、もしくは所持できる外国人が雇用対象となります。そのため、在留資格を新しく申請、もしくは変更する必要が出てくる場合があります。その際に、重要となってくるのが学歴や専攻内容です。学歴や専攻内容によっては、外国人候補者が採用できない可能性があります。

法的には、「関連する科目を専攻し、大学を卒業し、またはこれと同等以上の教育を受けたこと」が外国人雇用の要件となっています。(法務省|技術・人文知識・国際業務より)

学歴

日本の学校を卒業している場合は、専門学校、短期大学、大学、大学院のいずれかの学位が必要となります。海外の学校を卒業している場合は、短期大学(Associate)、大学(Bachelor)、大学院(Master・Doctor)が対象となります。

エージェント直伝の採用のヒント~その1~

海外の大学のレベルを知りたいときは、QS World University Rankings にて調べることができます。

専攻

学校での専攻内容と職務内容に関連性がないと外国人を採用することができない場合があります。例えばITエンジニアで外国人を採用したい場合、本人の専攻が言語学や文学など文系の場合は採用できない可能性が高いです。

エージェント直伝の採用のヒント~その2~

各国によって学位制度が異なります。

中国の学校を卒業している外国籍の方の場合は、学位証明書を確認しましょう。
ベトナムの学校を卒業している外国籍の方の場合は、学位証明書に「Bachelor」だけでなく「Degree」と記載があることあります。

※韓国は日本の学位制度とほぼ同様です。

また、高卒の場合は、学歴の要件を満たしていないですが、3年、あるいは10年の実務経験があることを証明できれば、ビザの取得が可能になる場合もります。

反対に永住者・定住者・配偶者の在留資格を持っている外国人の場合は、学歴や専攻に関わらずどのような職種でも採用ができます。

はじめて外国人を採用する場合は、社内だけで確認することは難しいため行政書士や外国人採用エージェントに在留資格の確認を依頼をすることをおすすめします。

日本語レベル

書類選考の段階で日本語レベルを見る際にはJLPT(日本語能力試験)の確認をすることが多いです。しかしJLPTは、読み書きに特化した試験なので、実際の日本語レベルをJLPTだけで判断すると、想定していた日本語レベルより流暢に話せる場合もあります。そのためJLPTの取得時期、日本在住歴、過去の職務内容などを参考に書類から総合的に言語能力を把握し、面接時に日本語レベルを判断することをおすすめします。

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母国での職歴

日本では、新卒一括採用のため大学卒業後4月から入社することが通例ですが、海外では新卒一括採用がないため新卒での入社時期も人によって異なります。

欧州では、自分がどのような仕事に向いているか見極めるために正社員でなくアルバイトやインターンシップとして数社で実務経験を積む場合があります。韓国でも同じように、新卒で卒業後、契約社員やアルバイトを経て正社員に昇格する場合あります。つまり母国での職務経歴がある外国人求職者の場合、雇用体系が正社員でなくても、正社員同様の実務を経験していることが多いです。

また韓国では、男性は兵役制があり、20代のうちに1年半から2年のあいだ兵役に服します。そのため大学の卒業年度や職歴にブランクがあります。

母国での職歴を確認する際には、雇用体系や入社時期ではなく、職務内容を書類選考上のポイントとして考えましょう。

書類の形式

日本の履歴書、職務経歴書の形式は世界でも非常に独特的なものです。海外では、履歴書のことをCVと呼び、学歴・職務内容・スキル以外の仕事に不要な個人情報は記載しません。

例えば、不要な個人情報として、顔写真、年齢、性別、生年月日、配偶者や子供の有無、通勤時間、志望動機、退職理由などがあげられます。そのため外国人求職者自作の履歴書・職務経歴書には個人情報の記載がない場合があるので、事前に確認したい項目は本人に確認するかフォーマットを指定しましょう。

保有資格

日本では保有資格を職務に関係がないものでも一通り記載することがありますが、海外では職務に関連する資格しか記載しないことがあります。そのため、業務で必要な資格がある場合で、資格欄に記載がない場合は一度本人に確認しましょう。

まとめ

日本の履歴書や職務経歴書は、形式が決まっており非常に独特です。そのため、外国人採用における書類選考では人柄や細かいスキルを判断することは、日本人の書類選考より難しい場合が多いです。外国人採用では、落とすための書類選考ではなく、可能性を広げるための書類選考として位置づけ、求める人物像に近い際には積極的に会うことをおすすめします。実際に会うことによって社内での人物像のすり合わせもより正確にできるようになり、優秀な候補者を採りこぼさず採用できるのではないのでしょうか。

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