【4社に1社が利用!】キャリアセンター経由で外国人留学生を募集するには?

大学・専門学校のキャリアセンターは、日本での就職活動に関する情報を欲している外国人留学生にとって貴重な機関です。日本総合研究所の「「人手不足と外国人採用に関するアンケート調査」結果」(2019年4月17日)によると、外国人の採用手法として、「求人広告の掲載(39%)」の次に「大学や専門学 校など学校経由で募集」(25.8%)が2番目に多いこともあり、企業にとって学校との連携は、有効な採用方法の1つです。

今回は、企業が外国人留学生を学校のキャリアセンターを通じて、採用するために事前に押さえておくべきポイントを解説します。

キャリアセンターとは

キャリアセンターとは、大学や専門学校内で学生の就職支援を目的にした機関です。学校によっては就職課・就職センターなど名称が異なることがあります。

その大学や専門学校に所属している学生ならば誰でも利用が可能で、キャリアセンターの職員もしくは外部のキャリアカウンセラーが進路相談や就職活動のサポートを無料で行ってくれます。

より詳しく説明すると、キャリアセンターの役割は、3つに分かれています。

1.個別の学生指導

就職相談員が、学生と個別面談を行い、学生の強みや素質を把握し、応募する業種や職種について、アドバイスを行います。OB/OGの進路状況も把握しているため、先輩の外国人留学生の進路先も紹介が可能です。また就職対策として、履歴書の書き方の指導や面接時のトレーニングも行っています。

2.求人情報の提供・紹介

学校に求人依頼がある企業のなかから学生が希望する業種や職種の求人の紹介を行います。求人票の提供だけでなく、企業の採用担当から求める人物像についてヒアリングした情報も学生に提供されます。また個別で求人情報を提供するだけなく、学内での企業説明会の開催なども行っています。

3.就職活動の講座・イベント運営

就職活動のガイダンス、業界理解、企業理解、自己分析、エントリーの書き方、グループディスカッション対策、面接対策など希望者を集めて就職活動の指導を行います。

一般社団法人 雇用開発センターの2020年卒 大学生就職活動調査によるとキャリアセンターまたは就職課を「利用したことがある」学生は、61%学生の半数以上がキャリアセンターを利用していることが分かっています。

外国人留学生は、日本の新卒一括採用による採用スケジュールをそもそも知らない場合や知っていたとしても情報が足りず、出遅れて就職活動をスタートすることが多い傾向があります。また外国人留学生を採用する企業がまだまだ少ないなか、外国人留学生を採用する求人を探すことも容易ではありません。

そのため、近年ではキャリアセンターでも留学生向けに日本の履歴書の書き方や面接対策の講座を多く実施しています。また、それに伴って外国人留学生向けの合同企業説明会を学内で開催する機会も増えています。

また専門学校では、クラス制度のため担任が個別に就職活動のサポートを行うだけでなく、就職活動に関する授業もあるため、手厚くフォローしている学校が多いです。

キャリアセンターを利用するメリット、デメリット

では、実際に採用企業がキャリアセンターを利用するメリットとデメリットは何なのでしょうか。

メリット

無料で求人募集が可能

最大のメリットは、無料で求人を募集することができる点です。求人媒体への掲載やセミナーに参加し、外国人留学生を採用する場合は、一人当たりの採用コストの平均が50万前後と言われています。その反面、キャリアセンター経由では、採用コストが削減できる分、研修や教育費に費用をかけることもできます。

外国人留学生向けの求人として紹介してもらえる

就職相談員による個別の求人紹介や学生が閲覧する求人情報から「外国人留学生の採用を歓迎する求人」として外国人留学生向けにピンポイントに募集することができます。前段の通り、外国人留学生を採用する企業はまだまだ少ないため、外国人留学生を積極的に受け入れている企業は、外国人留学生にとっても非常に興味を持たれやすく、エントリーへのきっかけとなるでしょう。

デメリット

学内の企業説明会に必ず出展できるとは限らない

学校によっては、学内の企業説明会に出展する企業が上限に達した場合、学校側が出展企業を選ぶため、必ず出展できるとは限りません。学校側も、情報が少ないなかで判断することは難しいため、学内の企業説明会に出展したい場合には、キャリアセンターにアポイントを取って企業の紹介を行い、関係性を築くことをおすすめします。

キャリアセンター以外の採用手法を併用する必要がある

キャリアセンター経由で学内に求人を掲載したからといって、必ずしも学生からエントリーが来るとは限りません。外国人留学生によっては、就職活動の開始が遅い学生もいるため、エントリー時期が日本人学生と比べて、遅くなる可能性があります。そのため、キャリアセンターだけに頼らず自社での採用活動や人材企業のサービスの利用も検討しましょう。

キャリアセンターを利用する流れ

1.求人票の掲載

キャリアセンター経由で学内に求人を掲載して欲しい場合、学校が独自に利用しているクラウドサービスに求人票を自社で作成し、オンライン上に掲載します。学校へ訪問せずに、求人を掲載だけすることも可能です。近年だと全国の学校向けに一斉に求人票を無料で配信できるキャリタスUCを利用している学校が非常に増えています。

学校によって、求人を掲載方法が異なります。各学校ごとの求人掲載のルールや方法については、学校の公式ホームページの「企業の方へ」の情報を確認しましょう。

2.学内での企業説明会

学内での企業説明会を行いたい場合は、学校の問い合わせフォームから企業情報を入力し、学内企業説明への出展要望を出すパターンが多いです。学校によっては、直接問い合わせをし、打ち合わせをしたうえで学校が判断することもあるので、学校のホームページを一度確認しましょう。

3.キャリアセンターとの関係構築

学生の特徴や就職状況を知りたい場合や企業の紹介を直接キャリアセンターの職員に説明したい場合は、アポイントを取り訪問またはweb会議を設定することも可能です。キャリアセンターとの関係をしっかりと構築することで、継続的な求人掲載が望めるだけではなく、学内での企業説明会に呼ばれやすくなる可能性や外国人留学生についての情報などを得られる可能性が上がります。

キャリアセンターを上手く利用する3つのポイント

学校の調査を入念に行う

学校側は、学生に企業を紹介するために「なぜ当校の学生を募集したいのか」が気になるポイントになります。そのため、学校の特色や強み、専攻内容も事前に確認しましょう。学校を選ぶポイントは、①専攻内容 ②留学生の人数 ③地元の学校 ④OB/OG実績 の主に4つに分かれるため、自社ではどれを優先すべきかすり合わせが必要です。

参考:2019(令和元)年度外国人留学生在籍状況調査結果
  【参考2】留学生受入れ数の多い大学(令和元年5月1日現在)

求人票を工夫をする

学内説明会以外では、学生との最初の接点は求人票の情報です。求人票の情報が薄いと、学生に企業の魅力が伝わらない可能性があります。そのため、外国人留学生の募集背景や外国人の採用実績など、外国人留学生が興味を持ちそうな内容を求人票内に盛り込みましょう。

また学校によっては、英語での求人票を掲載することもできるため、多言語での対応も検討すると良いでしょう。

企業側から積極的にキャリアセンターに関わる

前段でも紹介しましたが、キャリアセンターの職員に直接アポイントを取ることができます。はじめてキャリアセンターを利用する場合は、訪問もしくはweb会議で一度企業の紹介をすることをおすすめします。学校によっては、求人数が数千~1万件ほど保有していることもあります。

そのため、企業が職員と接触ポイントを作ることで、大学側の企業への理解も深まり、学生への求人紹介に繋がるでしょう。また一度だけ話す場を設けるのでなく、定期的にメールなどで求人情報の更新内容や採用状況を伝えることで、継続的な関係性を築くことできます。

まとめ

今回は、企業が学校のキャリアセンター経由で外国人留学生を募集する方法を解説しました。外国人留学生の受け入れを積極的に進めている大学や専門学校も増え、キャリアセンターが外国人留学生向けに就職のための講座やセミナ―を行い、日本での就職を後押している現状です。そのため外国人留学生を積極的に採用したい企業は、学校にとっても紹介できる幅が広がります。

1名学生が採用できると、外国人留学生のOB/OGの繋がりもでき、リファラル採用にも繋がります。無料で利用できるので、まず求人掲載をしてみてはいかがでしょうか。

【参考】
「「人手不足と外国人採用に関するアンケート調査」結果」2019年4月17日(日本総合研究所)
2020年卒 大学生就職活動調査 ( 一般社団法人 雇用開発センター)
2019(令和元)年度外国人留学生在籍状況調査結果 (JASSO)