【外国人アルバイトを採用するには?】採用担当が必ずおさえておきたい注意点・雇用手続を解説!

2018年の毎日新聞の取材調査によると、大手コンビニ4社における外国人アルバイト比率は6.8%と、コンビニ店員の15人に1人が外国人です。コンビニで働く外国人の大半は、留学生などのアルバイトです。コンビニや飲食店など接客業を中心に人手不足が叫ばれるなか、外国人アルバイトの労働力の活用が欠かせません。そこで、今回はコンビニに限らず、外国人のアルバイトを採用する前に採用企業が知っておくべき注意点や雇用方法を解説していきます。

アルバイトで働く外国人の増加

近年コンビニや飲食店で外国人従業員に接客される機会が増えてきていると感じる方も多いのではないでしょうか。特定技能ビザ・特定活動46号を除くと、人手不足の小売業や飲食業において現場で働く正社員として外国人を採用することは、ビザの条件上、出来ません。そのため、コンビニや飲食店で働く外国人の大半は、アルバイトの外国人留学生です。

外国人留学生が、在留資格で認められた活動(留学)以外の活動で、収入・報酬を受けるためには「資格外活動の許可」が必要です。許可を得るためには、外国人本人が入国管理局に、「資格外活動許可」を申請します。

厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)によると、資格外活動(外国人留学生のアルバイトなど)で働く外国人は、2019年で37万人に上ります。資格外活動で働く外国人が増加している背景には、日本政府が2008年に策定した「留学生30万人計画」があります。積極的に外国人留学生を受け入れたことで、日本にやってきた外国人留学生たちが、自分の学費や生活費を賄うためにアルバイトをしていることが増加の背景にあると考えられます。

外国人留学生7,000名にアンケート調査をしたJASSO「平成29年度私費外国人留学生生活実態調査概要」によると、外国人留学生のうち、約7割以上(75.8%)は、何かしらのアルバイトをしていることが分かりました。外国人留学生が従事するアルバイトの職種は、「飲食業」が41.9%、「営業・販売(コンビニ)」が28.9%と接客業に従事する外国人留学生が、約7割になります。

つまり外国人留学生を受け入れれば受け入れるほど、外国人アルバイトが増え、人手不足に悩む日本において貴重な労働力を得られるということが分かります。

外国人アルバイトを採用するメリット・デメリット

コンビニや飲食業など、人手不足が顕著な業界を中心に外国人アルバイトを採用する企業が増えていますが、外国人アルバイトを採用するメリットとデメリットは何なのでしょうか。

メリット

仕事への意欲が高い外国人が多い

外国人留学生の場合は、学校を卒業後も日本に住み、日本で働くことを考えている人も多いため、彼らにとってアルバイトは、日本のビジネスや働き方を知ることができる貴重な体験です。

外国人留学生にとってアルバイトで働くことは、学校で学ぶ日本語よりもビジネスで使える日本語を学べる機会が多いこともあり、働くこと・学ぶことへの意欲がとても高いです。そのため、数か月の教育期間を設ければ、即戦力として活躍する外国人留学生も多いことが特徴です。

また留学生以外の外国人の場合は、日本在住歴が長く、日本の仕事の進め方を理解している方が多いです。そのため、日本人同様に仕事の飲み込みが早いケースも多いでしょう。

母集団が集まりやすい

外国人がアルバイトで働くことができる職場はまだまだ限られています。そのため、外国人歓迎のアルバイト求人に対して外国人の募集が集まりやすい傾向があります。

また学生の場合は、授業のスケジュールも学校によって異なるため、求職者が集まりにくい早朝や深夜などでも募集が集まることがあります。

外国人顧客の対応が可能

訪日外国人観光客などが多い場合は、外国人アルバイトが活躍するチャンスです。日本語・母国語・英語のトライリンガルで話すことができる外国人が大半なので、外国語で対応が必要なケースは採用するメリットが大きいでしょう。

また、接客以外の場面でも、訪日外国人観光客を集客するためのマーケティングや企画などでも、外国人ならではの視点を強みとして業務に活かすことができます。

外国人ネットワークを利用したリファラル採用が可能

日本に在住している外国人には、外国人特有のネットワークがあります。そのネットワークを利用して、リファラルで外国人をアルバイト採用する企業も増えています。

同じ国籍同士の場合は、先輩外国人が母国語で後輩外国人に仕事の指導することもでき、仕事への理解が深まることもメリットといえるでしょう。

デメリット

労働時間の調整が必要

外国人留学生や家族滞在などの在留資格をもち、「資格外活動」でアルバイトをする場合は、入管法第19条により、学校が休みの期間を除き、週に28時間以内のみ労働が認められています。そのため、資格外活動でのアルバイトの場合は、週5フルタイムでの採用はできないので、注意しましょう。

この労働時間は、所定労働時間ではありません。残業時間も労働時間にカウントされるので、残業時間が発生する場合は、週内で労働時間の調整が必要です。

また、この労働時間の制限は、アルバイト1社に対してではなく、アルバイト先が複数社でも労働時間が合わせて28時間以内でないといけません。

もし週28時間を超えて労働した場合は、不法就労したと判断され、雇用者には「不法就労助長罪」が適用されます。「不法就労助長罪」は、3年以下の懲役、300万円以下の罰金、または両方の処罰が課せられます。もちろん外国人本人も最悪の場合、強制送還の可能性や、卒業後日本での就労が認められない可能性があります。そのため、まず雇用者が労働時間の管理をしっかり行うことが必要です。

日本語やコミュニケーションの育成に時間がかかる

外国人留学生は、日本語が母国語でない分、ビジネスで使う日本語やビジネスルールを理解するには、日本人より時間を要します。そのため、職場のルールについても日本人には言わなくても分かることも、外国人留学生には明確に伝えるようにしましょう。例えば、「余裕を持って出勤してください」ではなく、「出勤時間の10分前には出勤してください」など、誰が受け取っても分かるように伝えることがポイントです。

また日本語は、使いながら覚えることを前提に、正しい日本語をその都度指導することをおすすめします。

外国人アルバイトを採用する際の注意点

外国人の採用で、日本人と大きく異なるのが在留資格(ビザ)の有無です。外国人アルバイトを採用する際に、企業がどのような点を注意すべきか解説していきます。

面接時に在留カードを必ず確認する

前段の通り、在留資格によって労働時間が決められているため、面接時に必ず在留カード(日本に中長期間在留する外国人に交付されるカード)を提出し、「番号」「在留資格」「在留期限」「資格外活動の許可の有無」を確認しましょう。

参考:偽変造在留カードにご注意ください – 入国管理局

在留番号

在留資格カードには、在留番号という英語・数字を組み合わせた12桁の番号が記載されています。この番号は、一人ひとりに付与されます。在留カードに記載されている在留番号が有効か、出入国在留管理庁のデータベースから照合することができます。

在留資格

在留資格によって、労働時間が限られています。外国人がアルバイトで働く場合は、以下の3つのパターンが考えられます。

  • 「留学」「家族滞在」
    週28時間以内の労働制限(ただし学則による長期休業期間は、週40時間以内の労働が可能)
  • 「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」「配偶者」「定住者」
    労働時間の制限なし=日本人同様に労働可能
  • 「特定活動」
    ワーキングホリデーの場合は、労働時間の制限なし

在留期限

日本に在留している全ての外国人は、永住権を除き、在留期限内しか日本で在留することが認められていません。外国人留学生の場合は、在留期限が1年更新の場合も多いため、在留期限の1ヵ月前には、在留期限が更新された在留カードを提出させ、コピーなどを取り、保管しておきましょう。

資格外活動の許可の有無

上段の通り、入管法第19条の「資格外活動の許可」を受けると、留学生でもアルバイトをすることが認められます。

在留カードの裏面下部に「資格外活動の許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」という記載があれば、その許可を受けていることになります。この記載がある在留カードを持っている外国人は、アルバイトとして採用することができます。面接時に、在留カード裏面の所定箇所を確認しましょう。

また近年、偽造在留カードも増えています。しかし、それらの偽造在留カードをチェックするアプリもリリースされてきているので、不法就労を防ぐためにも、偽造在留カードチェックアプリの導入を検討しても良いでしょう。

偽装在留カードチェックアプリ

ビザマネ
株式会社ウィルグループが運営する日本初の外国人特化の労務管理システムです。ビザICチップスキャン機能、有無多言語誓約や外国人雇用状況の届出の自動作成など採用前から採用後まで一括で管理が可能です。

Connectee
株式会社エムティックホールディングスが運営する外国人管理アプリです。ビザICチップスキャン機能、アルバイトとの多言語でのチャットや同時通訳機能を用いたコミュニケーションが可能です。

週28時間以内の労働時間の調整

前段の通り、外国人留学生の場合は、基本的に週28時間の労働制限されています。そのため、雇用者は週28時間を超えないように労働時間を調整することが必要です。

学校の長期休暇中は、週40時間・1日8時間勤務が可能

例外的に「学則による長期休業期間」に限り、「1週間28時間」以内ではなく、1日8時間以内、週40時間以内までの労働が可能です。「学則による長期休業期間」とは、学校が定める夏休みや春休みなどの期間をいいます。そのため、本来学校がある期間で、休講などが発生した期間には適用されませんので注意をしましょう。

外国人アルバイトの採用方法と雇用手続き

採用方法

外国人の場合でも、日本人のアルバイト採用と大きな違いはありません。しかし外国人向けに採用方法を少し工夫するだけで、在留資格の確認や母集団形成など採用側の負担を減らすことが出来ます。今回は、外国人アルバイトの採用において、有効な方法を3つ紹介します。

外国人向けのアルバイト求人サイト

外国人特化のアルバイト求人サイトは、多言語対応や在留資格の確認、面接日の調整などが可能なサービスが多いため、募集から面接までがスムーズに行えます。企業や採用人数の予算に合わせて導入を検討すると良いでしょう。

外国人認知度が高い「indeed」

indeedは、外国人からの認知度が高いため、アルバイト採用でも有効な採用手法です。求人票内に、「留学生歓迎」「外国人歓迎」など外国人の採用を前向きに考えているキーワードを入れると外国人の目に留まりやすいです。無料で求人の出稿ができるので、ぜひ検討してみましょう。

学校での求人募集

勤務地近郊の日本語学校や専門学校に、求人募集をすることも可能です。学校によって、求人の掲載方法が異なるので、まずは学校に問い合わせをしてみましょう。

雇用手続き

採用までの手続きも、日本人と大きな違いはありません。アルバイトなどの労働が許可されている外国人は、基礎年金番号、住民票、マイナンバーなど公的書類も発行されているので、採用時に必要な資料がある場合は、提出してもらいましょう。

採用後に必要な手続きとして、「外国人雇用状況の届出」の提出をしなければなりません。「外国人雇用状況の届出」とは、外国人を雇用したり、雇用した外国人が離職した場合に事業主が、オンラインもしくはハローワークを通じて厚生労働大臣に届け出るものです。

雇用保険の対象とはならない外国人の場合、外国人雇用状況の届出の提出期限は、受け入れ日の翌月末までとなっています。

外国人雇用状況の届出を怠った場合は、雇用主に対して30万円以下の罰金が科せられます。外国人雇用状況の届出の提出が漏れないように、外国人の採用後の手続きの一つとして、社内で対応しましょう。

「外国人雇用状況の届出」に関する記事を読む

まとめ

今回は、外国人をアルバイトで採用する際の注意点や採用方法を解説しました。アルバイトへ応募する外国人の多くは、「日本語を今よりも上達させたい」「日本のビジネスマナーを学びたい」と学習意欲が高いため、即戦力としても期待できます。

しかし、一部の外国人留学生は、勉強よりもアルバイトで稼ぐことを重視し、週28時間の労働制限を分かっていながら、労働時間を超える就労をしている人も少なくありません。人手が足りない企業にとって、シフトに多く入ってくれる外国人は有難い存在ですが、国で決められている労働時間のルールは必ず守らなければなりません。外国人本人と労働条件をきちんと話し合いながら、アルバイトの採用を進めていきましょう。


【参考】

外国人労働者  新在留資格「コンビニも」 業界が要望(毎日新聞)
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ 令和元年10月末現在(厚生労働省)
平成29年度私費外国人留学生生活実態調査概要(JASSO)
偽変造在留カードにご注意ください(出入国管理局)
在留カード等番号失効情報照会サイト(出入国在留管理庁)