【外国人留学生をはじめて採用する担当者必見】採用手法を徹底解説!

各業界で、新卒人材の争奪が激しくなるなか、ターゲットを広げるために外国人留学生の採用を検討する企業も年々増加しています。留学生採用は、全企業の中ではまだまだマイナーな採用です。外国人留学生と接点がない企業にとっては、留学生の実態を事前におさえる必要があります。今回は、外国人留学生の採用のメリットや注意点、採用手法をご紹介します。

外国人留学生の就職状況

JASSOが、2020年4月22日に公表した「外国人留学生在籍状況調査」によると、留学生の数は31万人(前年比 +1.3万人)に上ります。2015年からの5年間では、約10万人増えています。

留学生のうち大学や専門学校などの高等教育機関の在籍者は、22万人(前年比 +2万人)に増え続けています。日本語学校など日本語教育機関の在籍者数は、8万人(前年から -7000人)に減小しています。日本語教育機関に通う学生は、勉学ではなく、就労目的で来日する学生が近年増え、政府の在留資格の審査が厳格化した背景があります。

国籍別で見ると最も多いのは、中国の12万4436人(前年比9486人増)で、ベトナム7万3389人(1035人増)、ネパール2万6308人(1977人増)と、アジア各国が上位を占めています。

年々増えている留学生ですが、日本の大学で学んだ外国人留学生のうち、学部卒の学生の7割が日本での就職を希望しています。しかし実際日本国内で就職できた学生は4割で、残りの学生は就職できず母国に帰国しています。

株式会社ディスコが2019年8月に発表した「外国人留学生の就職活動状況 」によると就職希望の留学生の7割は日本語がビジネスレベル以上です。企業が求める日本語コミュニケーションレベルに達しているにも関わらず就職が出来ない留学生がいます。

留学生が就職先企業を選ぶ際に重視する点は、「将来性がある(57%)」が最も多く、「待遇が良い(42%)」と続きます。学生の8割が日本での就職活動が難しいと思っており、実際に就職できている人の割合も少なくなっています。

企業の採用状況と採用事例

外国人留学生を採用する企業も年々増えています。企業が留学生を採用する目的、採用事例もあわせてご紹介します。

採用状況

株式会社マイナビが2020年5月に発表した「2020卒外国人留学生の採用状況調査」によると、2020年卒において留学生を採用した企業は35%と前年から20ポイント上がっており、企業の採用意欲も高まっていることが分かります。

企業が留学生を採用する目的は、「国籍を問わず優秀な人材の確保のため」「応募があったため」「外国語の必要な業務があるため」が上位を占めています。

外国人留学生の入社後の活躍については、60.4%が「活躍している」と回答し、「普通」を合わせると全体の79.5%が入社後の活躍を評価しています。また次年度の留学生の採用は、「採用した」「採用しようとしていた」企業のうち、90%以上の企業が、採用予定を考えています。社内外にインパクトのある活躍を残し、企業が成長するために採用が検討されていることが考えられます。

採用事例

外国人留学生を採用した例を3社紹介します。それぞれどんな狙いがあるのかを考えながら読んで見てください。またそれをもとに自社の採用活動の参考にもしてみてください。

【1】海外顧客窓口として留学生を採用し、売上が2倍増に
都道府県:鹿児島県 
事業内容:製造業
従業員人数:20名
採用した留学生:日本の大学卒/香港人
採用理由:海外企業との取引では、現地通訳を雇っていたが、ニッチな商材のため機械工学を学んでいる留学生の採用を検討
成果:語学、社内連携、専門知識から取引が以前よりスムーズになり、海外事業の売上が全体の2割から4割へ増加。

【2】ITエンジニアの留学生を採用し、オフショアがスタート
都道府県:東京都 
事業内容:IT 
従業員人数:50名
採用した留学生:母国の大学卒/ベトナム人
採用理由:案件増によりオフショア実施にあたり、ブリッジできる人材の採用を検討。
成果:学生時代のインターン経験から同社の開発の流れを早期に学び、予定よりも半年早くオフショアを開始し、オフショア先のベトナム人への指示などブリッジSEとして活躍。

【3】設計者として留学生を採用、多様に働ける企業のPRに
都道府県:大阪府
事業内容:エネルギー開発
従業員人数:200名
採用した留学生:母国の大学卒/ロシア人
採用理由:日本人と同じルートで応募があり、語学も堪能で優秀な人材だったため採用
成果:多様な人材を採用していることが企業のPRとなり、次年度国籍を問わず優秀な学生を採用できた。仕事に対しての意欲的な姿勢が、日本人社員にとっても良い刺激となる。

外国人留学生を採用するメリットと注意点

メリット

外国人留学生を採用する3つのメリットをご紹介します。

1.海外進出や海外とのビジネスで戦力となる

少子高齢化に伴う人口減少から国内市場の縮小により、競争も激化し、海外へ進出を試みる企業が増えています。海外で企業が戦うために必要となるのが、語学力と現地の商習慣を理解することです。英語が流暢に話せる日本人は、2~3割と言われていますが、日本語、英語、母国語が話せるトライリンガルの留学生も少なくありません。

2.組織の活性化に繋がる

多様なバックグラウンド、価値観を持つ外国人を社内に受け入れることは、社内の活性化にもつながります。また既存社員が外国人に教えることで社内の教育レベルも上がります。例えば、製造業の企業で、中途社員ばかりの現場に外国人留学生が配属となり、率先して業務改善を試みた結果、周りの社員が刺激され、作業効率が上がり、改善案が出たという実例があります。

3.グローバル人材として将来のリーダー候補になる

新卒は企業文化が浸透しやすく、キャリアプランを立てて将来のリーダー候補をとして育成ができます。日本で長く暮らしたい留学生も少なくありません。日本社会のグローバル化が加速する中、会社のさらなる成長にはボーダレスな経営戦略が求められます。企業DNAの伝承しつつ、グローバルな環境で活躍できるグローバル人材が必要不可欠とされます。

注意点

企業が留学生を採用する際の注意点は、3点です。

1.新卒一括採用でなく通年採用にする

海外では、卒業後に就職活動に臨むので、一括採用により在学中に就職活動を進める日本の制度はきわめて珍しい例です。特に留学生は、在学中、日本語の勉強が忙しい場合が多く、日本人と比べて情報量も少ないため、就職活動が遅れることが大半です。

また海外と日本の大学では卒業時期が異なるため、海外在住の学生まで採用候補と広げると一括採用だと対応できません。日本の有名大学を卒業予定の5カ国語が話せる留学生が、就職活動の時期に間に合わなく選考が出来なかったという例も少なくありません。

優秀な人材を取りこぼしなく採用するには、通年採用へ移行してみてはいかがでしょうか。

2.在留資格や手続きの事前確認

日本人学生と留学生の採用で大きく異なるのが、在留資格(ビザ)の手続きが必要な点です。逆に在留資格の手続き以外は、日本人学生と同じ流れで採用活動は可能です。はじめての外国人採用で、自社で就労ビザを申請することは難易度が高いので、行政書士への依頼や外国人専門の採用サービスへ依頼することを推奨します。

また面接時に在留カードの確認は必須とし、採用後に必要書類を準備出来るよう事前に準備しましょう。

3.受け入れ体制を考える

留学生を採用するにあたり、社内で「特別扱い」するのではなく「配慮」できるように社内の受け入れ体制を整えましょう。まず大事なのが、日本人社員に「なぜ留学生を採用するのか」採用の目的を理解してもらえるよう、説明を尽くすことが大切です。

受け入れの失敗例としては、外国人社員とのコミュニケーションでなかなか意図が伝わらず、日本人社員がストレスを抱え悪循環になることです。モチベーションが高い留学生と働くことは、日本人社員にとって良い刺激を与えることなのです。留学生と日本人社員のコミュニケーションのギャップが起きないように社内で留学生への理解を進めましょう。

採用手法

外国人留学生の採用では日本人の新卒採用と同じく学校からの紹介や人材紹介など既存の採用方法以外にも、さまざまな方法が登場しています。採用方法をどのように選択したらよいか、採用を成功させるポイントも合わせてご紹介いたします。

大学や専門学校のキャリアセンター

外国人留学生を受け入れている大学や専門学校は、留学生向けの就職ガイダンスやセミナーを行っている場合があります。留学生向けの求人は少ないことから学校側も採用企業の情報は必要としています。留学生を受け入れる大学や事業分野に関わる専攻がある大学などが良いでしょう。

地方企業は、地元の学校に問い合わせすることもおすすめです。地方留学生は、住み慣れていることから、そのまま地方に就職する傾向があります。

【参考】 外国人留学生受入数の多い大学(JASSO 平成30年5月)

外国人雇用サービスセンター

厚生労働省による外国人向けのハローワークでも留学生の採用ができます。学校のキャリアセンターと併用して使っている学生が多く、インターンシップの募集も可能です。

2020年現在は、東京・名古屋・大阪・福岡とエリアは限られますが、無料で募集できるのでまず問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。

【参考】東京外国人雇用サービスセンター名古屋外国人雇用サービスセンター大阪外国人雇用サービスセンター福岡学生職業センター(福岡新卒応援ハローワーク)

外国人留学生専門の人材サービス

採用担当者の工数の削減や留学生採用ノウハウがない場合は、採用のプロである人材サービスを利用すると良いです。留学生の集客は、通常の日本人とは別で行っているので、総合人材サービスではなく、留学生(外国人)専門の人材サービスを利用することを推奨します。また在留資格の確認や採用後のアドバイスも受けられるのがメリットです。

人材紹介会社への報酬金額が発生するため、採用予算を組んで検討すると良いでしょう。

新卒求人媒体サービス

総合型の新卒求人媒体に登録している留学生も多いので、新卒求人媒体サービスも利用するのも一つの手段です。留学生は、キーワード検索から企業を探すケースが多いので、「留学生歓迎」「留学生採用実績」を求人内に記載すると良いでしょう。一方で、求人媒体サービスは日本人のようにほとんどの学生が利用しているわけではないので、留学生採用人数が多い場合は、難しくなるので新卒求人媒体の担当者に問い合わせてみましょう。

▶︎「採用計画から入社まで」に関連する記事をみる【国内採用の手順解説】国内での外国人採用フローを6つのポイントに分けて徹底解説!

採用サービス比較

外国人留学生特化の採用サービスも近年増えています。サービスごとに特徴があるので、採用ターゲットに合わせた採用サービスを利用するのはいかがでしょうか。今回は各サービスの特徴をご紹介します。

【全国1200校の学校とのネットワークで幅広い層の学生が登録】リュウカツ

特徴:
・全国の大学、大学院、短期大学、専門学校1200校のネットワーク・登録者の出身国は、アジアだけでなく欧米も含む50カ国以上
・JLPT N1取得者が全登録者の86%、語学能力上級者が多い

提供企業:株式会社オリジネーター
URL  :https://www.ryugakusei.com/
【海外卒×理系×日本語が話せる学生に特化】ASIA to JAPAN

特徴:
・海外大の日本語が話せる理系(IT・機械・電気電子)の学生に特化
・学生登録者は9000名以上。インド・中国・シンガポールの学生が多い。
・利用企業数は、日系大手やベンチャーを中心に125社(2020年現在)

提供企業:株式会社ASIAtoJAPAN
URL  :https://asiatojapan.com/
【一社単独海外現地面接会により平均内定承諾率92%】Bridgres

特徴:
・一社単独海外現地面接会を実施
・国内外90以上の強力な人材ネットワークによる学生集客
・エンジニアから営業、接客職など幅広い職種に対応

提供企業:株式会社ネオキャリア
URL  :https://www.bridgers.asia/
【日本国内または海外の大学生が参加する最大級の留学生採用イベント】JOB博

特徴:
・日本または母国就労、理系に特化などのターゲットを定めたイベント
・開催場所は東京、大阪、名古屋、福岡、海外
・1ブース当たりの平均本門者数は、56名と多くの留学生に接触できる

提供企業:株式会社パソナ
URL  :https://job-haku.com/

まとめ

外国人留学生を採用している企業はまだまだ一般的にはメジャーではありません。逆を考えると採用している企業が少ないなか、外国人採用は、優秀な人材の確保がしやすく、今後5年・10年を考えての採用戦略としての大きな一歩です。また留学生にはコミュニティがあり、1人目を採用すると2人目、3人目はコミュニティからの紹介でスムーズに採用できる実例もあります。

他社企業が留学生の採用をスタートし、優秀な留学生の確保が難しくなる前に、採用に踏み出してはいかがでしょうか。

【参考】

「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について(文部科学省)

2020年卒 企業 外国人留学生採用状況調査(マイナビ)