【現役エージェントが教える】外国人材紹介サービスを上手く活用する方法10選

外国人の採用手法の一つとして、人材紹介サービスを利用している企業も多いのではないでしょうか。しかし、人材紹介サービスを利用しているものの、なかなか採用に結びつかないという声もよく聞こえてきます。求めている人材が採用できていない要因の1つに、実は企業が人材紹介サービスをうまく活用できていない場合があるのをご存知でしょうか。そこで、今回は現役の外国人材紹介サービスのコンサルタント(企業担当/求職者担当、両方経験あり)が現場で感じたエージェントを上手く活用ポイントをご紹介します。人材紹介サービスを利用している方、利用を検討している方はぜひ参考になさってください。

人材紹介サービスとは

人材紹介サービスは、人材を採用したい企業の採用条件に合う求職者を紹介するサービスです。「転職エージェント」と呼ばれるコンサルタントが企業と求職者の間に立ち、採用支援のサポートを行います。

人材紹介サービスは、大きく分けて総合型と特化型の2つあります。総合型は、扱う職種や業種が幅広く、多くの求職者の支援の実績があることが特徴です。一方、特化型は業界特化や職種特化などに分かれ、コンサルタントの専門知識が深いことが特徴です。

近年、在留外国人の増加により外国人材紹介サービス数も急増しています。外国人材紹介サービスを利用するメリットは、担当コンサルタントが外国人採用に関する専門知識を持っているため、複雑な在留資格(就労ビザ)のサポート、外国人を雇用する上での注意点などのアドバイスを受けられる点です。また求職者担当のコンサルタントは外国人の場合も多いことも特徴です。外国籍コンサルタントが、求職者とネイティブ言語で話すことにより、求職者の情報がミスマッチが少なく企業へ伝わります。
一方でデメリットは、求職者が外国人のみため、外国人しか紹介されません。そのため日本人も対象となる採用ポジションの場合は、日本人を紹介する人材紹介サービスも利用する必要があります。

人材紹介サービスの料金

外国人材紹介サービスの採用決定時の紹介手数料は、日本人と同じく理論年収の30%~35%が相場です。早期退職時の紹介手数料の返金規定も入社から3ヵ月~6ヵ月以内が対象など定められていることが多いです。採用人数や選考フローにより、手数料が変動することがあるので、各サービスに問い合わせをして確認すると良いでしょう。

注意点は、外国人材だから企業が安価に雇用ができるという考え方は誤っています。国籍を理由とした採用や賃金格差は、国で禁止されています。安価で紹介できるエージェントが存在しても、サービスの質がかなり低く、採用後のミスマッチにも繋がります。成果報酬費用=企業の人への投資という認識でない場合は、人材紹介サービスを利用するのを一度社内で考え直したほうが良いでしょう。

外国人材紹介サービスを上手く利用するポイント

人材紹介サービスを事業としている有料職業紹介者事業所数は、20,783事業所あり、全国のセブンイレブンの店舗数とほぼ同等です。それだけ多くの事業所が存在していますが、人材紹介会社ごとの違いは、求職者属性を除きほぼありません。つまり採用企業が、いかに紹介会社とうまく付き合っていけるかが、採用成功の鍵となります。

今回は、外国人特化の現役エージェントが教える、外国人特化の人材紹介サービスを上手く利用する10のポイントをご紹介します。

1.人材紹介サービスを複数併用する

外国人人材紹介サービスは、国籍、海外・国内在住、職種・在留資格(高度外国人、特定技能、アルバイトなどの資格外活動)等をセグメントして特化型のサービスを展開している紹介会社が多いです。採用ターゲットに合わせてそのセグメントに強みを持つ紹介会社の中か複数社選びましょう。

様々なタイプの外国人候補者に会うことにより人材のすり合わせができます。また各サービスの担当者に、他社の成功事例をヒアリングすることで、自社の成功パターンの参考になります。注意点としては、各サービスのコンサルタントとのコミュニケーションが発生するので、自社の対応工数を考え、契約をしましょう。

転職エージェントとしては、入社決定率が上がるため1社独占で利用してもらうことが理想です。しかし多くの求職者と接触機会を増やすことが採用成功の近道なので、ぜひ複数社を利用してください。

2.自社の採用計画に巻き込む

人材紹介サービスは、企業の魅力を深く理解し、企業ビジョンや入社後のキャリアイメージを求職者に伝えることによって成り立つサービスです。そこで重要なことは、担当コンサルタントに採用計画や採用基準を明確に伝えることです。採用のゴールを伝えることによって、コンサルタントも企業と伴走がしやすく、スムーズな紹介に進みます。

3.求める人物像を包み隠さず伝える

求人票の「募集要件」の表面的な情報だけでは、人材のマッチングはできません。外国人は、日本人と比べると語学の面からも人材の層が細かいです。転職市場にどのような外国人が、どのくらいのボリュームでいるかを把握する必要があります。そのため求める人物像を包み隠さず全て伝えましょう。そこで担当コンサルタントと、希望条件だと紹介が難しいか、どの条件を変更すると母集団が増えるのか、すり合わせをしましょう。

4.外国人求職者に響く自社のアピールポイントを一緒に考える

求職者に自社の魅力をアピールし、志望度を上げ、ミスマッチを無くすためにも、担当コンサルタントに自社のアピールポイントを伝えましょう。外国人だからこそ響くポイントもあるので、会社説明や業務内容、社風、制度などから担当コンサルタントと一緒にアピールポイントを考えることをおすすめします。
また「なぜ外国人を採用するのか」を明確にすることにより、求職者が企業ビジョンや経営戦略への理解が深まるので、積極的に担当コンサルタントに伝えましょう。

5.推薦時に語学のスピーキングレベルをチェックしてもらう

履歴書や職務経歴書だけでは、語学のスピーキングレベルを正確に測ることはできません。そのため担当コンサルタントに実際のスピーキングレベルを確認しましょう。日本語レベルは日本人担当者が、英語レベルは、英語圏の担当者に確認してもらうことが理想です。

またスピーキングレベルは、人によって感じ方も違います。担当エージェントからの紹介で過去数回面接を行っている場合は、面接を行った求職者の例を出して「〇〇さんレベルに話せます」「〇〇さんよりは流暢に話せます」など具体的なイメージを伝えるとミスマッチが減ります。

6.求職者の在留資格(就労ビザ)について確認してもらう

書類選考時に、求職者の在留資格・在留期限を担当コンサルタントに確認しましょう。取得している在留資格によって、更新なしで内定承諾後すぐに働けるケースや更新をしないと働けず入社まで数か月かかるケースがあります。求職者によって在留資格の状況は異なるので、社内で事前に把握することが大切です。また選考の場でも採用企業が本人に現物の在留カードの確認などのダブルチェックし、入社後のトラブルを防ぎましょう。

7.面接に同席してもらう

面接は、求職者と日本語で話すことが多いと思いますが、求職者は母国語で話せないので想定以上に緊張しています。そのため、質問を理解し切れずに、正確に答えられないこともあります。また日本語がたとえネイティブレベルだったとしても、日本語の細かいニュアンスを伝えることは難しいです。そのため担当コンサルタントが面接に同席し、本人の理解にミスマッチがないか確認できる環境を作ることが理想です。また担当コンサルタントが面接に同席することによって、企業の理解も深まり、その後のマッチング率の向上へ繋がります。

8.最終選考前に希望条件の変更がないか求職者に最終確認してもらう

推薦時や面接時に、希望給与や入社希望日を求職者に確認すると思いますが、求職者は、面接に落ちないように低めの希望条件を提示をする場合があります。実際内定が出てから、条件交渉を考える求職者もいます。本音ベースで確認するために、最終選考前にもう一度担当コンサルタント経由で希望条件を確認しましょう。

9.不採用理由を明確に伝える

担当コンサルタントとの人物像のすり合わせで大事な点が、不採用になった理由を明確に伝えることです。コンサルタントのスクリーニングの精度も上がり、推薦する求職者も企業が求める人材に近づきます。

また求職者は、「なぜ不採用になったのか」理由をストレートに求めることが多いです。日本人だと結果に対して納得がいかなくても、飲み込んでしまいますが、海外では「なぜ」を問いかける文化が強く、企業に対しても不採用理由の明確化が求められることが多いからです。また明確に不採用理由を伝えることにより、求職者にとってネガティブに思われる場合は、担当コンサルタントに伝え方の工夫をしてもらうように伝えましょう。

10.入社後も第三者の相談役として付き合う

外国人コンサルタントを求職者担当をした場合は、求職者とコンサルタントの繋がりは強くなりがちです。外国人からすると日本での就職や転職に苦労しており、そこで無料で就職のサポートをしてくれるキャリアコンサルタントは、心強い存在です。入社後、社内でのフォローは必要ですが、社内の人に言えない悩みや課題を抱える可能性もあります。そのため第三の相談役として担当コンサルタントと入社後も付き合っていくと良いでしょう。

まとめ

今回は、現役エージェントが採用企業へ伝えたい10個のポイントをご紹介しました。日本で就職・転職活動をしている外国人は、日本で働くことに夢を持っているので、就職・転職活動にとても真剣に、一生懸命取り組みます。その姿を見て、心が動く担当コンサルタントも多いでしょう。また同じ外国人コンサルタントの場合は、母国の求職者のためにどうにかしたいと使命感を持って業務をしています。ビジョンを持っている外国人材紹介サービスに依頼することは、社外人事を作ることと同じです。担当コンサルタントと採用を成功させる同士として、コミュニケーションを取ることが採用成功の近道となるでしょう。