*この度、新型コロナウイルス(COVID-19)によって亡くなられた方に謹んでお悔み申し上げますとともに、 被患されたみなさまに心よりお見舞い申し上げます。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、すでに外国人を採用している企業の中には、在留資格の更新申請などの手続きに戸惑いを感じられている方も多いのではないでしょうか。今回は、新型コロナウイルスの影響により、どのように「在留期間更新許可申請」が変わったのかについて説明いたします。また2021年9月1日現在の出入国状況も説明します。
・新型コロナウイルス感染症に関する情報はこちらに掲載しています。
・郵送による在留カードの交付
・新型コロナウイルス感染症に関する在留諸申請について
・申請受付期間及び申請に係る審査結果の受領(在留カードの交付等)期間の延長について
・【公式Twitter】東京出入国在留管理局
目次
在留資格の更新について
2021年9月現在、在留期限が切れる外国人は、通常通り在留期間の満了日までに手続きをする必要があります。
2020年3月から7月までに在留期限が切れる外国人は、満了日の3ヶ月後まで、更新や変更の申請をすることができましたが、現在はこの取り扱いは行われていませんので、ご注意ください。
例外的に、日本に在留していた外国人が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による空港閉鎖での帰国便の確保や本国国内の居住地への移動制限等により帰国が困難である方が在留期間が切れそうな場合は、在留資格の変更や在留期間の更新など柔軟な対応がなされているので、入管に確認をすることをおすすめします。
帰国できない外国人・入国予定の外国人について
母国への帰国が困難な外国人
在留期限の満了日以降も、本国への帰国が困難な方には、観光客の方など「短期滞在」の在留資格で90日への在留期間更新が認められていました。しかし、依然として帰国が困難な状況が続いているため、政府は2021年3月19日より、「特定活動」の在留資格で6か月間の在留期間更新を認めました。「技能実習」、「留学」、その他の在留資格で「特定活動」への変更許可が認められます。特定活動は6か月間ですが、「技能実習」では就労、「留学」だった方はアルバイトがそれぞれ認められます。
【参考】新型コロナウイルス感染症の影響により帰国が困難な中長期在留者及び元中長期在留者からの在留諸申請の取扱いについて
雇止めにあって離職している外国人
新型コロナウイルスを理由に雇止めにあって離職している外国人であっても、転職活動をしているなど就労目的の在留期間更新を希望している方は、就労ビザのまま在留が認められます。また、生活費を補うアルバイトなど資格外活動も許可されるので、入管に確認しましょう。
【参考】新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による雇用状況の悪化のため解雇,雇い止め,自宅待機等となった方について
【参考】解雇等された外国人の方への就労継続支援のご案内
「特定活動」(5号及び5号の2:ワーキング・ホリデー)で在留していた帰国困難者
「特定活動」(5号及び5号の2:ワーキング・ホリデー)で在留していた方は在留期間の更新が認められています。元々、「特定活動」(5号及び5号の2:ワーキング・ホリデー)で在留していて、「短期滞在」へ在留資格変更した方であって、アルバイトなどを希望される方も再度「特定活動」(5号及び5号の2:ワーキング・ホリデー)への在留資格変更が認められます。
【参考】ワーキング・ホリデーで在留していた帰国困難者に対する在留諸申請の取扱いについて
新型コロナウイルス感染症の影響により実習が継続困難となった技能実習生等
新型コロナウイルス感染症の影響による技能実習の継続が困難となった外国人で、新たな実習先が見つからない場合、一定の条件を満たす場合に最大1年間の「特定活動(就労可)」の在留資格を許可することとしています。また再就職あっせんなどの支援されています。
【参考】新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた技能実習生の在留諸申請の取扱いについて
就労など中長期間、日本に入国を予定している外国人
在留資格認定証明書の交付を受けた方(2021.7.5更新)
これまでに在留資格認定証明書の交付を受けて、日本入国の準備をしている方であって飛行機のチケットが入手できない場合は、在留資格認定証明書の有効期間が延長されています。
2020年1月1日から2021年7月31日までに作成された「在留資格認定証明書」は、2022年1月31日まで有効とみなされます。2021年8月1日から2022年1月31日までに作成された「在留資格認定証明書」は、作成日から6か月間有効なものとして取り扱います。
就労や長期滞在の在留資格で、日本を一度出国し再入国する方
出国前72時間以内に取得した新型コロナの陰性証明の提出を求め、入国時もPCR検査などを実施する。また14日間の待機期間(自主隔離)が必要です。
陰性証明を出せない場合は指定した宿泊施設などで2週間待機を要請されます。
新規で入国予定の方
2021年8月24日現在、上陸申請日前14日以内に160の国・地域に滞在歴のある外国人については、「特段の事情」がない限り、上陸を拒否しています。
【参考】本邦に入国を予定している方に係る取扱い 出入国在留管理庁
【参考】新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に伴う在留資格認定証明書の取扱い等について
▶︎「在留資格」に関連する記事をみる 【2021年版】 図で分かる就労ビザの必須書類一式 【在留資格の種類】日本で働ける外国人と働けない外国人の違いとは? |
通常の「在留期間更新許可申請」の手続き方法
通常、在留期間更新許可申請(以下、「更新申請」といいます)には『単純』更新申請と『転職』更新申請の2つのパターンがあります。どちらも、通常の申請であれば在留期間の満了日の3ヶ月前から申請を受理してもらえます。
①『単純』更新申請:同一の所属機関(就労ビザの場合は同じ就業先)で、在留期間の更新を申請する場合
②『転職』更新申請」:異なる所属機関(就労ビザの場合は異なる就業先)で、在留期間の更新をする場合
*①単純更新、②転職更新とは、正式な手続き名称ではなく、行政書士や外国人人材業界を初めとして使用されているいわゆる「業界用語」です。
以下、違いについて説明いたします。
①『単純』更新申請の手続きについて
①「単純」更新申請は、前回の申請時と同じ所属機関(会社)での更新申請になりますので、前回の許可時から現在までの在留状況などが、主な審査内容になります。
したがって、提出書類も少なく、②の「転職」更新申請に比べると審査が容易な印象を受けます。そのため、行政書士に申請書の作成や、申請取次を依頼する場合は、価格も他の申請に比べると安価に設定している事務所が多くなっています。
②『転職』更新申請の手続きについて
①「単純」更新申請に対して、②「転職」更新申請は、前回の申請時とは異なる所属機関(会社)での更新申請になりますので、上記①の「単純更新申請」に比べると審査が難しい印象を受けます。
「更新申請」と名前が付くものの、「在留資格」を変更する「在留資格変更許可申請」に近いものと考えていただいた方がよいかもしれません。
同じ「在留期間更新許可申請」のなかでも、就業先での活動内容(業務内容)が大きく変わる『転職』更新は、留学生が初めて会社に就職した場合にする「在留資格変更許可申請」の場合とほぼ同じです。就業先での業務内容をゼロから審査するので、手続きの実質からみて『転職』更新と呼び区別しています。
『転職』更新申請の手続きで必要な書類
在留期間更新許可申請には、活動内容を証明する資料として以下のものなども含めた書類を添付します。
・会社の「在職証明書」
・会社の「源泉徴収等の法定調書合計表」
・会社の「登記簿謄本」
・会社の「パンフレットやホームページのコピー」など
また、本人の過去の在留状況を見るために、以下のような書類を申請の際に添付する必要もあります。
・市区町村の住民税の「納税証明書」、「課税(非課税)証明書」など
【②『転職』更新の場合】
・申請人の「履歴書」や「卒業証明書」「成績証明書」など
*申請人の学歴、職歴と、活動内容(業務内容)の関連性を証明するため
これ以外にも、入管当局が審査に必要と思えば、申請人の活動内容(業務内容)について説明する文書や、就業場所の写真、間取り図、1日の業務スケジュール、キャリアステップを示した文書などの提出を求められることもあります。
▶︎在留期間の更新手続きに関連する記事をみる 外国人採用に必要な書類手続きのまとめ 【就労ビザの申請方法】国内採用と海外採用での申請フローについて解説 |
既に就労ビザ(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)を持っている外国の方を中途採用される場合には、現在の在留カードの期間の満了をむかえる前には、上記の②『転職』更新の手続きをしなければならないので、注意が必要となります。
在留諸申請中に再入国許可により出国した方
「在留諸申請中」に再入国許可により出国した方は、本邦にある親族または受け入れ期間の職員等による当該申請の受付に係る在留カードの代理受領を認められ、出国中の方が再入国により戻ることができます。
在留資格の更新申請がオンラインで可能に
新型コロナウイルスの影響で、外出自粛が求められているなかで、在留期間満了日が近づいている外国人従業員の方もいらっしゃると思います。
2020年3月から在留資格手続きのオンライン化がスタートしました。一部の手続きがオンラインで手続き可能です。企業が在留資格の更新を行う予定で、オンライン申請を利用する場合には、事前に利用申出を行い、利用承認を受ける必要があります。
そのため、複数の外国人を雇用している企業の場合は、利用申出を行うと今後作業が楽になります。
在留資格が「技術・人文知識・国際業務」の場合は、所属している機関がカテゴリー1、2または3の機関に所属する方であること、以下の要件を満たしていることが条件です。
・5年以内に出入国又は労働に関する法律により罰せられていないこと。
・過去3年間、外国人を適法に受け入れていること
・入管法や労働施策総合推進法において求められている届出を行なっていること
・利用申出の承認を受けていない者に不正にIDやパスワードを利用させないこと
・1年に1度、求められる*定期報告を行うこと。
現在、東京出入国在留管理局では入場制限が行われており、庁舎(建物)の入口で手続の種類と、その書類の不備をチェックされ、時間ごとに庁舎(建物)内に入場してもらうようにする対応を取られているようです。
*詳しくは、東京出入国在留管理局の公式Twitterにて、入場制限のアナウンスなどを告知しておりますので、ご確認ください。
指定された時間が来るまでは入場できず、庁舎(建物)の外で待つことになります。庁舎(建物)内部は密集状態にはなっていませんが、その代わりに庁舎(建物)の入り口から、今までに見た事がないくらい長蛇の列が出来ています。
また、在留資格の変更許可申請・在留期間の更新許可申請後、許可を得て交付される新しい在留カードの交付に関して、在留カードの受領のみを行政書士などに依頼することによって、その行政書士が郵送で行うことも認められるようになりました。これに関しては、郵送手続きの仕方や、郵送でできる場合と、できない場合が決められていますので、行政書士に相談されると良いと思います。
▶︎関連記事 【必ず知っておきたい出入国在留管理庁】入管の役割と概要について解説 【在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは?】どのような職種が該当するのかを詳しく解説 【外国人雇用状況の届出】外国人雇用後の手続きについて解説 |
まとめ
新型コロナウイルスによる在留資格の対応について解説しました。現在はオンラインや郵送の申請など、オフライン以外での申請も徐々に可能になっています。また2021年度末までに、行政書士にも固有のオンライン認証IDを付与され、身近な行政書士にオンラインを手続きを依頼できる環境が整う動きです。
三密を防ぐために、オンラインで申請できる企業の方がぜひオンラインの利用手続きの申請を行うことをおすすめします。
【記事執筆】竹田紘己行政書士事務所
代表行政書士 竹田紘己
*就労ビザについてのお問い合わせ可能!
中央大学卒業。2006年に行政書士試験に合格後、2011年に弁護士法人内に「行政書士リンクパート ナー総合事務所(後の竹田紘己行政書士事務所 )」を開業。現在は独立し、「竹田紘己行政書士事務所」の代表行政書士として、年間約400件の在留資格(ビザ)の申請業務などを請け負う。外国人人材雇用に関わる豊富な知識と経験を元に、日本の人材不足解消に向けて在留資格制度(VISA手続き) の専門家として活動している。
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