【2021年版】 図で分かる就労ビザの必須書類一式

外国人採用をはじめて行う企業が困ることの1つに「就労ビザ」の申請が挙げられると思います。外国人が日本で働くためにはいわゆる「就労ビザ」などが必要ですが、会社の規模や採用したい外国人本人の学歴、職歴などによって提出すべき書類が異なります。そこで、今回は就労ビザを申請する際に必要な書類について解説します。

外国人が日本で働くためには

外国人が日本で働くためにはいわゆる「就労ビザ」(就労を許可されている在留資格)を持っていることが必要です。もし、就労が許可されていない在留資格で働いていた場合や、就労ビザなしに日本で働くと不法就労になってしまいます。

就労ビザとは?

外国人が日本で何かしらの活動するためには、在留資格が必要です。在留資格には、大きく分けると29種類(2021年5月現在)あり、そのうち19種類が指定された範囲内で働くことができる通称「就労ビザ」になります。「就労ビザ」は、正式な法律用語ではありませんが、広く一般的に使われている慣用的な言葉です。

採用した外国人を不法就労で働かせないためには、適切に就労ビザの申請を行うことが必要です。

就労ビザの申請に必要な書類の種類

就労ビザの申請には、会社側で用意すべき書類と外国人が用意すべき書類があります。日本企業側、外国人本人側に分けて詳しく解説します。

日本企業側で準備する書類

一般的な日本企業が正社員として外国人を採用する場合、以下の在留資格をもった外国人を採用する場合が多いと思います。

外国人を正社員で採用する場合の在留資格の種類

在留資格「技術・人文知識・国際業務」:エンジニア、通訳、デザイナー
在留資格「研究」:政府関係機関や私企業等の研究者
在留資格「企業内転勤」:外国の事業所からの転勤者など
*上記以外にも、企業の経営者に与えられる在留資格「経営・管理」や、調理師、スポーツの指導者などに与えれる在留資格「技能」などもあります。

法務省:日本での活動内容に応じた資料【在留資格認定証明書交付申請】

上記のような外国人を採用し、就労ビザ申請を行う場合、会社の規模によって提出する書類の内容が変わります。企業規模は以下4つのカテゴリーに分類されています。

企業規模ごとのカテゴリー

カテゴリー1:上場企業など
カテゴリー2:前年分の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
カテゴリー3:前年分の源泉徴収税額が1,000万円未満の団体・個人

*前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)

カテゴリー4:1~3のいずれにも該当しない団体・個人(新設会社など)

法務省:技術・人文知識・国際業務研究企業内転勤

なぜカテゴリーごとによって企業が分けられているかと言いますと、会社規模によって申請する書類の内容や審査期間に強弱をつけているからです。

カテゴリー1とカテゴリー2に属する企業が提出する書類

カテゴリー1またはカテゴリー2の企業はいわゆる大企業になります。ですので、政府から企業の安全性や継続性が担保されているはずとの認識のもと、審査が緩和されることが多く、それに伴って審査期間も短縮される場合があります。

カテゴリー1とカテゴリー2に属する企業が提出する書類

<全カテゴリー共通>
・在留資格認定証明書交付申請書(海外にいる外国人を呼び寄せる場合)
・在留資格変更許可申請書(留学生を新卒採用、もしくは外国人を転職前と別職種で採用する場合)
・パスポート及び在留カード
・採用する外国人の写真(縦4㎝×横3㎝)
・返信用封筒 


<カテゴリー1>
・四季報の写しまたは日本の証券取引所に上場していることを証明する文書


<カテゴリー2>
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表(受付印のあるものの写し)


*このほか、審査の過程において、上記以外の資料を求められる場合もあります。

法務省:技術・人文知識・国際業務

カテゴリー3とカテゴリー4に属する企業が提出する書類

カテゴリー3、カテゴリー4に属する企業は、中小企業や設立したばかりの会社になります。ですので、カテゴリー1、2と比較すると就労ビザを申請する際には、申請すべき書類の数は多くなりますので、審査期間も長くなることが予測されます。

カテゴリー3とカテゴリー4に属する企業が提出する書類

<全カテゴリー共通>
・在留資格認定証明書交付申請書(海外にいる外国人を呼び寄せる場合)
・在留資格変更許可申請書(留学生を新卒採用、もしくは外国人を転職前と別職種で採用する場合)
・パスポート及び在留カード
・採用する外国人の写真(縦4㎝×横3㎝)
・返信用封筒 


<カテゴリー3、4共通>
・登記事項証明書
・雇用契約書
・労働条件通知書
・雇用理由書(申請人の経歴と職務内容との関連性、事業の継続性や安定性、海外事業内容などを記載)
・事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
*勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む)などが詳細に記載された案内書


<カテゴリー3>
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
・直近の年度の決算文書の写し
・【日本法人の役員に就任する場合】役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し
・【外国法人の日本支店に転勤する場合など】地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書


<カテゴリー4>
・ 直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書
・【源泉徴収の免除を受ける機関の場合】外国法人の源泉徴収に対する免除証明書、その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料
・【源泉徴収の免除を受ける機関ではない場合】給与支払事務所等の開設届出書の写し(受付印あるもの)
・【源泉徴収の免除を受ける機関ではない場合】直近3カ月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるもの)のコピーまたは、納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料
・【日本法人の役員に就任する場合】役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し
・【外国法人の日本支店に転勤する場合など】地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書


*このほか、審査の過程において、上記以外の資料を求められる場合もあります。

法務省:技術・人文知識・国際業務

外国人本人が準備する書類

外国人本人も就労ビザを取得するにあたり、下記の書類を用意する必要があります。

外国人本人が準備する書類

<全カテゴリー共通>
・在留資格認定証明書交付申請書(海外にいる外国人を呼び寄せる場合)
・在留資格変更許可申請書(留学生を新卒採用、もしくは外国人を転職前と別職種で採用する場合)
・パスポートと在留カード
・採用する外国人の写真(縦4㎝×横3㎝)
・返信用封筒 


<カテゴリー1、2共通>
・学校の卒業証明書(専門士、高度専門士、学士、修士、博士)


<カテゴリー3、4共通>
・学校の卒業証明書(専門士、高度専門士、学士、修士、博士)
・申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書
(1)履歴書など(申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書)
(2)学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書(大学同等以上の教育を受けたことを証明する文書、在職証明書、「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書、関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書など)


*このほか、審査の過程において、上記以外の資料を求められる場合もあります。

法務省:技術・人文知識・国際業務

企業の規模によって就労ビザの申請に必要な書類の種類が異なります。外国人採用を始める際には、自社がどのカテゴリーに該当するかを知っておくことが大切です。また、企業だけでなく採用したい外国人側も申請のための要件を満たすことが重要です。外国人と企業それぞれがしっかり申請内容を確認して外国人採用を成功させましょう。

まとめ

企業の規模によって就労ビザの申請に必要な書類の種類が異なります。外国人採用を始める際には、自社がどのカテゴリーに該当するかを知っておくことが大切です。また、企業だけでなく採用したい外国人側も申請のための要件を満たすことが重要です。外国人と企業それぞれがしっかり申請内容を確認して外国人採用を成功させましょう。

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【記事監修】竹田紘己行政書士事務所
代表行政書士 竹田紘己
*就労ビザについてのお問い合わせ可能!

中央大学卒業。2006年に行政書士試験に合格後、2011年に弁護士法人内に「行政書士リンクパート ナー総合事務所(後の竹田紘己行政書士事務所 )」を開業。現在は独立し、「竹田紘己行政書士事務所」の代表行政書士として、年間約400件の在留資格(ビザ)の申請業務などを請け負う。外国人人材雇用に関わる豊富な知識と経験を元に、日本の人材不足解消に向けて在留資格制度(VISA手続き) の専門家として活動している。


【参考】

・外務省 | 就労や長期滞在を目的とする場合
・出入国在留管理庁(旧:入国管理局) | 各種手続案内
・出入国在留管理庁(旧:入国管理局) | 在留資格一覧表
・法務省 | 日本での活動内容に応じた資料【在留資格認定証明書交付申請】