【就労ビザの申請方法】国内採用と海外採用での申請フローについて解説

国内での人材不足が深刻化するなかで、外国人採用に注目が集まっています。ですが、外国人を雇用する際には複雑な手続きを乗り越える必要があります。特に「就労ビザ」の申請は、はじめて外国人を採用した企業にとって大きなハードルとなりがちです。そこで、今回は外国人雇用に必要な「就労ビザ」について分かりやすく解説いたします。

就労ビザとは

就労ビザとは、外国人が日本に滞在するために必要な資格である「在留資格」のうち、就労が許されている在留資格の通称です。外国人が日本で働くためには、就労が許可されている在留資格、いわゆる「就労ビザ」を取得する必要があります。

在留資格とは?

外国人が日本に滞在するにあたり必要な資格です。在留資格は1人の外国人につき1種類しか発行されません。ですので、外国人自身が保有する在留資格以外の活動を行うことは禁止されています。また、日本で働くためには就労が許されている在留資格が必ず必要になるため、就労を許可されていない在留資格のまま仕事をしてしまうと不法就労になってしまいます。

外国人を雇用するのに必要な就労ビザの種類

在留資格は大きく分けると29種類(2020年3月現在)あり、そのうち19種類が指定された範囲内で働くことができる通称「就労ビザ」になります。就労ビザの種類によって日本に滞在できる期間や外国人本人が担当できる仕事内容が異なります。

在留期間の長短が決められる条件はいくつかありますが、主に以下のような条件があげらます。

在留期間の条件

① 就労予定期間
② 外国人本人に優れた技術や能力がある
③ 外国人本人の素行は良いか(納税義務を果たしているかなど)
④ 会社の規模
⑤ 会社の安定性 
上記のような複数の要素よって総合的に判断された上で決定されます。

法務省:就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)

就労ビザの申請方法

就労ビザを取得するまでの流れは「海外在住の外国人を採用する場合」と「国内在住の外国人を採用する場合」で異なります。

海外在住の外国人を採用する場合

海外にいる外国人を採用して日本に招く場合、まずは採用した企業が、外国人社員の勤務予定地を管轄している地方入国管理局で「在留資格認定証明書」の交付を申請する必要があります。

交付された「在留資格認定証明書」を海外にいる外国人に郵送し、その書類をもって採用された外国人本人が日本大使館または領事館へ行き、ビザ発行の手続きを行います。

ビザが発行されると来日できるようになりますので、採用された外国人社員を日本に招き入れて雇用することができます。
この際の注意点として、「在留資格認定証明書」の有効期間は3ヶ月です。ですので、交付から3ヶ月以内に日本に上陸するための申請をしなければ無効となってしまいます。

国内在住の外国人を採用する場合

まず、採用しようとしている外国人が就労可能な在留資格(就労ビザ、配偶者ビザ、定住者ビザ、永住権など)をもっているかどうかを確認してください。併せて、採用後の担当業務の種類が、その在留資格の資格内の活動かどうかの確認も必要です。

在留資格を確認したら雇用契約書(または労働条件通知書)を作成しましょう。会社と外国人側で各自1通ずつ保管します。その際に作成する雇用契約書(労働条件通知書)は、外国人の母国語もしくは外国人が理解できる言語でも作成してください。ただし、日本語が読み書きできる外国人であれば、日本語の雇用契約書(労働条件通知書)で問題ありません。

採用予定の外国人と賃金などをはじめとした労働条件について、しっかりとお互いに確認しておきましょう。日本語の雇用契約書(労働条件通知書)の場合でも、契約書内容で不明点がないか外国人に確認すると良いでしょう。

【日本語が話せない外国人を採用する場合】
外国語の雇用契約書はどのように作ればいいの?

「外国語での雇用契約書(労働条件通知書)なんて作ったことないよ……」と尻込みしてしまう方も多いのではないでしょうか?厚生労働省では、外国人を雇用する際の労働条件通知書のテンプレートを公布していますので、そちらを参考にしてみるのもおすすめです。また、外国人雇用に詳しい行政書士の先生などに雇用契約書(労働条件通知書)の翻訳を依頼するなどの方法もあります。

中途採用で外国人を採用する場合は、その方がすでにもっている在留資格と同じ職種で採用するのであれば、特に特別な手続きは必要ありません。

ただし、留学生を新卒で採用する場合や外国人を転職前と別職種で採用する場合などは「在留資格変更許可申請」を申請しなければなりません。

就労ビザを申請してから交付されるまでの期間は平均して1ヶ月〜3ヶ月です。ですが、時期によっては審査や事務処理に時間がかかり、最長で6ヶ月かかるケースもあるようです。

就労ビザ申請期間を確認する方法とは?

「今、申請すると交付までにどれぐらい時間がかかるのだろうか?」と調べたい方が多いと思います。法務省のHPで申請書類の標準的な処理期間について公表されていますので、ぜひ確認してみてください。

◆ 主な申請書類の標準的な処理期間
在留資格認定証明書交付申請:標準処理期間は1か月~3か月
在留資格変更許可申請:標準処理期間は2週間~1か月
在留期間更新許可申請:標準処理期間は2週間~1か月

その他、各種手続きに関しての申請から交付まで期間についても法務省のHPでぜひ確認してみてください。

法務省:出入国管理及び難民認定法関係手続

*また、上記はあくまで目安の期間となっています。実際の申請から交付までどの程度の時間を有したのか法務省が公表しています。そちらも併せて確認しておくと、実際にどれほどの時間が必要なのか、より具体的にイメージすることができるでしょう。

法務省:在留審査処理期間

外国人雇用を予定している場合には、余裕をもって就労ビザの申請手続きを済ませられるように、しっかりと申請期間や書類内容などを確認しましょう。

まとめ

一般的に「就労ビザ」と呼ばれる日本での就労が許可される在留資格には、様々な種類があります。外国人材を採用するためには、就労ビザが必ず必要になります。初めての外国人採用を不安に感じられている方は、まずは就労ビザの基礎知識を把握してみることから始めてみてはいかがでしょうか?

▶︎「就労ビザ」に関連する記事をみる
【就労ビザ解説】中小企業や設立したばかりの会社でも外国人は採用できるの?

【参考】

・外務省 | 就労や長期滞在を目的とする場合
・出入国在留管理庁(旧:入国管理局) | 各種手続案内
・出入国在留管理庁(旧:入国管理局) | 在留資格一覧表
・法務省 | 日本での活動内容に応じた資料【在留資格認定証明書交付申請】