【年間400件の申請業務を経験した専門家に訊く】行政書士を選ぶ3つのポイント

行政書士とは、3000種類以上の書類作成から提出までを行う、書類に関する手続きの専門家です。企業が外国人を採用・雇用する場合でも、行政書士の存在は欠かせません。例えば、在留資格の申請や変更のための書類を制作してもらったり、法的な手続きを代理で行ってもらうなど、様々な場面で行政書士の手を借りることになります。
では、実際に行政書士の方と仕事をするとなったときに、どのような行政書士を選べば良いのでしょうか。今回は、実際に年間400件もの申請業務を経験した外国人のVISA申請業務専門の行政書士が教える、行政書士を選ぶ際の3つのポイントについて紹介します。

行政書士とは

行政書士とは、行政書士法に基づく家資格保持者で、行政書士として登録を受けた人です。行政書士は、企業や雇用主などから依頼を受けて、主に以下の6つの業務を行います。

  1. 官公署(各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等)に提出する許認可などの申請書類の作成並びに提出手続き代理
  2. 権利義務に関する書類(遺産分割協議書、各種契約書、念書、示談書、協議書、内容証明、告訴状、嘆願書、上申書、定款など )
  3. 事実証明に関する書類(実施調査に基づく各種図面類、各種議事録、会計帳簿、申述書など)の作成などを行う
  4. 作成した書類を官公署に提出する手続きに伴う聴聞手続き・弁明手続きの代理
  5. 上記1~4の相談業務
  6. 一定の研修と考査(試験)を修了した行政書士は「特定行政書士」として一定の行政の判断に対して不服申し立てを代理対応

上記1に記載しましたが、行政書士は、日本の官公署に提出する許認可などの申請書の作成や提出手続きの代理を仕事としています。日本の許認可の数は1万を超えるとも言われていますので、そのほとんどが行政書士の仕事になります。しかし、許認可の中には、他の士業の法律(弁護士法、司法書士法、税理士法、社会保険労務士法など)で制限されているものもありますので、制限された業務に関しては、行政書士はその業務を行うことはできません。

数多くの書類を作成することができる行政書士ですが、その中でも、件数が多く定期的に申請しなければならない許認可があり、その申請の代理や取次の仕事が、行政書士のメイン業務です。主な業務としては会社設立関係業務、建設業許可申請や酒類販売業許可申請などの各種許認可の申請業務、自動車関係業務、外国人関係業務、相続関係業務などです。

また令和2年4月1日現在の行政書士会員数は個人会員が48,639人、法人会員が727人です。

行政書士を選ぶときに確認すべき3つのポイント

企業が、外国人就労ビザの申請で行政書士に依頼する際に、どのような点を基準に選ぶか悩まれるのはないでしょうか。今回は、行政書士目線で、企業が行政書士を選ぶ際に確認すべきポイントを3点ご紹介します。

依頼人と実際に会ってくれる行政書士

行政書士を選ぶポイントの一つ目は実際に会ってくれる行政書士かどうかです。当たり前のことと思われるかもしれませんが、このポイントは非常に大切です。

行政書士のなかには、実際に相対して会わないどころか、電話もあまりせず、ネットで知り合い、メールや、郵送でのやり取りのみで業務を受託している行政書士もいるようです。実際に、お客様の許認可の書類を作成する過程で、事業所を見にくることもせず、取材もろくにせず、想像のみで書類を作ることは、事実と異なる内容の申請にもなりかねず、非常に危険です。最悪、虚偽申請に巻き込まれてしまう可能性もありますので、実際に顔を出さない、会いに来ないという行政書士は注意が必要です。

現在は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、実際に会ってお話しするのも難しい状況でもありますので、テレビ電話やwebでの面談を効果的に利用されるのがおすすめです。テレビ電話やwebでの面談で、少なくとも行政書士の姿を確認し、信頼に足る人物かどうか本格的に依頼する前にチェックした方が良いと思います。

依頼する申請業務を専門にやっているかどうか

前述の内容と重複しますが、行政書士の業務は非常に幅広く、一括りに行政書士といっても10人の行政書士がいたら、10通りの働き方をしています。「餅は餅屋」という言葉もあるように、その業務を専門にしている行政書士に依頼した方が失敗する確率は低くなると思います。

そのため、例えば、ビザの申請をお願いしたいのであれば、入管業務、国際業務を専門に取り扱っている行政書士に依頼するのがおすすめです。もちろん、多様な業務を手掛けていながらも、それぞれの業務で専門性の高い仕事をしている行政書士も沢山います。

しかし、例えば、ある一定の入管業務という範囲のなかで、様々な事例、様々な案件を手がけてきた経験値がある行政書士であれば、依頼されたの案件のどの部分が審査のポイントになるかを理解していますので、予め補足資料を提出したり、補足説明したりすることができます。この点が、その許認可を何件も申請している専門の行政書士と専門にしていない行政書士の違いになります。

ビザ専門の行政書士であれば、ビザの許可を出す出入国在留管理局の判断や、お客様のケースがどのように事実認定されて、どの様な結果になるのかが、過去の事例と照らし合わせて事前に判断することができます。失敗しにくいという点に関していえば、その業務専門の行政書士を選んだ方が確率が低いのではないでしょうか。

相場よりも極端に値段が安い行政書士には注意

入管庁の審査は裁量権が広く、出入国管理局へのビザ申請は、不許可が頻繁に出される行政手続きです。その為、過去にも同様の事例を経験しているか、入管当局の判断がどのように出される傾向にあるか、審査のポイントがどの点にあるかを事前に把握しているかが許可、不許可が大きく分かれる分岐点になります。

入管当局にわかりやすい説明をするには、ある程度時間と労力をかけて申請書を作成しなければなりません。実際にお客様のところへ取材に行ったり、写真をとったり、疎明資料を集めたりしながら、申請書を作成いたしますので、その報酬も極端に安くなることはありません。

行政書士も、書類作成をして生活をしているので、極端に安い案件を引き受けるということは、それ以上に案件の数をこなさなければならず、1件1件に対する仕事へかける時間や労力が少なくなり、結果として仕事が雑になるということもよくあります。

また行政書士の報酬には相場があります。(※平成27年度報酬額統計調査の結果
仕事には適性価格というものがありますので、相場より極端に安い行政書士は避けた方が無難といえます。安いには安いなりの理由があります。「経験がないので、とにかく安く案件を受注する。」「取材もせず、メールと電話のみのやりとりだけなので、、プロが作る書類とはいえない。」など理由は様々です。依頼する企業の方は、その値段設定が、適性なのか、どこまでやってもらえるのかを必ず確認すると良いでしょう。

なかには「値段だけで安い行政書士を選び、手抜きの申請がされてしまい、不許可になってしまい、、その後のフォローを何もしてくれないので、結局、他の行政書士に再度依頼し、結果、元の予想金額よりも高くついてしまった。」というのは、行政書士業界でよくあることです。

万が一、不許可になってしまっても、その後のフォローまでしっかり対応してくれるのかも、行政書士を選ぶ重要なポイントになります。

就労ビザの申請の一般的な流れ

就労ビザ申請の一般的な流れとしては、依頼人は外国の方(個人の方)から依頼が来る場合と、就職先の会社から依頼が来る場合の2パターンがあります。どちらの申請に関しても、大まかな流れは同じになります。以下、一般的な就労ビザの申請の流れを説明いたします。

  1. 問合せをし、まず面談(実際に会うか、テレビ電話 or Web面談)をし、行政書士が受任の可否を決定し、依頼者側も依頼するかどうかを決めます。
  2. 依頼確定後、書類収集をし、申請書類を行政書士へ提出します。(1~3週間)
  3. 行政書士は収集された書類に基づき書類作成をし、場合によっては現地調査をします。行政書士の調査、書類作成が終了後、申請人本人と会社に内容を確認してもらい、サインと押印をします。(1~2週間)
  4. サイン、押印した書類を、行政書士が出入国在留管理局に行き、申請の取次をします。
  5. 結果を待ちます。(追加書類を要求される場合あり、1~2ヶ月)
  6. 結果が出ましたら、行政書士が出入国在留管理局に行き、結果を受領します。
  7. 行政書士が、在留カードの交付があるので、それを受取ります。*不許可の場合は、出入国在留管理局に行政書士と一緒に行き、不許可の理由を聴きます。
  8. 在留カードを企業、申請本人に引き渡し申請完了。

一般的な就労ビザの申請に関わる費用

一般的な就労資格の在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請では、平成27年度報酬額統計調査の結果、行政書士報酬額の最頻値としては、以下の通りになります。

  • 在留資格変更許可申請(就労資格)10万円~12.5万円
  • 在留期間更新許可申請(就労資格)2.5万円~5万円

この値段以上に極端に安い、あるいは高い報酬を設定された場合には、その理由を訊き、納得がいかないときは、その行政書士を選ぶ前に他の行政書士に相談してみるのも良いでしょう。

まとめ

以上、同業者の視点から行政書士の選び方をまとめました。

この他にも「虚偽申請をしない(実際に現場を見にきてくれる)行政書士を選んだ方がよい(内容を確認せずただ申請書にサインや、押印すると虚偽申請に巻き込まれる可能性もあるので注意してください)」「申請する前の書類をしっかりと確認して、修正する箇所がある場合は、それを伝え、きちんと修正してもらえる行政書士がよい」「全部お任せではなく、どんな申請にするか報告や連絡、相談がある行政書士がよい」など注意点も多々あります。

この記事をご覧の日本企業の皆さま、日本での引き続きの在留を希望される外国籍の皆さまが、ご自身に合った行政書士に出会い、適正な手続きを経て、日本に在留し続けることを願っております。

【参考】 平成27年度報酬額統計調査の結果

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竹田紘己行政書士事務所