国籍を問わないダイバシティな環境がイノベーションを生む【TradFit株式会社】

*新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、オンラインインタビューで実施しました。

スタートアップでも外国人を採用する企業が増えてきています。今後のビジネス展開を考えた際、日本国内のみならず、世界に向けて製品やサービスを提供していくためには外国人材の活用が必要不可欠です。しかし、実際に外国人と働くイメージが掴めずに、外国人採用に踏み切れていない企業の方もいるのではないでしょうか?

今回は、ホテルなどの宿泊施設に特化した多言語対応できるAIスピーカーやチャットボットを提供している、TradFit株式会社(以下、TradFit)執行役員 VPoEの高原 豪介さんと経営企画部マネージャー 友成 優貴子さんに「外国人と共に働く上で大切にしていること」についてインタビューしました。


話し手:TradFit株式会社 執行役員 VPoE 高原 豪介(たかはら こうすけ)さん

早稲田大学教育学部教育学科卒業後、2012年に株式会社無限に入社。10を超えるSESの現場で要求定義から開発、システムテストまで幅広く経験した後、自社サービス部門にて電子帳簿保存法対応などのプロジェクトマネジメントを行う。水球競技でユース代表に選出され、株式会社無限でフットサル部の代表を行うなどスポーツを愛好する一面も持つ。英語、中国語、スペイン語に堪能。


話し手:TradFit株式会社 経営企画部マネージャー 友成 優貴子(ともなり ゆきこ)さん

大学卒業後外資系海運会社に勤務。入社3年目に日本支社最年少でシニアに任命され、海外拠点の立ち上げ、関係部署との連携強化、KPI 管理、営業サポート、チームメンバーの指導育成などマネジメント業務も含め幅広く担当。アメリカ5年、オーストラリアに1年在住経験ありのバイリンガル。


会社情報

【企業名】TradFit株式会社(https://company.tradfit.com/
【創業】2017年 【従業員人数】10名(うち外国籍 3名)
【海外拠点】なし(2020年6月現在)
【外国人採用歴】

  • 2017年 取締役兼VPoE(台湾出身者)
  • 2019年 リードエンジニア(ベトナム出身者)
  • 2019年 リードエンジニア(台湾出身)

【事業内容】クラウドAIを活用した音声データプラットフォームの構築及び運営

アジアの注目企業100やベストベンチャー100などにも選ばれた注目のスタートアップ企業。国内の宿泊施設業界や国内外の宿泊ゲスト、不動産業界や居住者向けにサービスを展開。多言語対応AIスピーカーで使用できるコンシェルジュアプリケーションや多言語チャットボット、IoTサービス、それらをシームレスに繋げられる管理画面を独自開発。宿泊業界の抱える、人材不足や多言語対応などの課題解決と業務オペレーションの更なる改善を目指し、サービスを提供している。

サービス情報

AIスピーカー・チャットボット「TradFit」(https://tradfit.com/
多言語に対応したAIスピーカーで使用できるコンシェルジュアプリケーションと多言語チャットボットからなる宿泊施設向けのボイステックサービス。

貴社の事業ミッションと事業内容をお教えいただけますか?

高原さん:弊社が掲げているミッションは「世界中の音声情報を整理し、世界中の人々に音声を通じてより良い暮らしを提供する」です。具体的な事業といたしましては、AIスピーカーを用い、旅行や観光、宿泊業界、不動産業界などの雇用を守りながらも大幅コスト削減可能なサービスを提供しております。

どういった内容かと言いますと、これまでは宿泊客の方が直接、ホテルのスタッフにお問い合わせをしていました。その時間や手間をAIスピーカーが置き換えます。また、英語や他の言語しか話せない宿泊客の場合でも、AIスピーカーが多言語対応していることで、宿泊客にとっては対話ができる相手として、ホテルのスタッフにとっては時間と手間を省いてくれる味方として機能するサービスを提供します。加えて、システムから入手した個人情報を特定しないデータ活用によって、サービス、マーケティング改善が可能になります。

外国人採用を始められたきっかけをお教えいただけますか?

高原さん:弊社は代表取締役の戸田と、取締役兼VPoEの徐(台湾出身)の2名が2017年に立ち上げました。二人ともアメリカ留学の経験があり、日本人以外と働くことに抵抗がありませんでした。

また、弊社のミッションが世界に対して事業を展開し、社会課題を解決するというところがありますので、上記に加えて、事業の海外展開を見据えた時に外国人採用の必要性が紐づいた形で、自然に外国人材の雇用が始まったという経緯があります。今は取締役の徐以外にも、ベトナムと台湾出身のエンジニアを雇用しています。

現在でも採用活動を行っておりますが、年齢や国籍、人種は問わないで採用活動をしております。ハイレベルな人を採用したいという意向が強いので、ロケーションや人種は重要視していません。

外国籍の方と面接される際に気をつけていることはありますか?

高原さん:まず外国人だからといって、特別に気を付けている点はありません。日本人と同じように面接を行っています。面接では「貴方のやりたいことは何ですか?」と必ず質問するようにしています。弊社では、「本人のやりたいことが一番パフォーマンスが出る」という仮定に基づき、本人の意向を第一に業務内容を決定しています。このように、事前にやりたいことを求職者の方に質問して確認しております。ご本人のやりたいことが叶えられる職場であれば、入社後のミスマッチも抑えられるのではないかと考えております。

また、国籍問わず、面接で特に重視しているのは人柄ですね。人柄を判断する際には、嘘をつかないこと、逆境に負けないことなどを特にチェックしています。例えば、逆境への強さは、過去の経験などからどのように困難に立ち向かったのかを伺うようにしています。我々はスタートアップの企業なので、心身ともにタフな人を採用していますね。

そのほか地頭の良さをチェックしています。お題を出し、それに対してどのようなアプローチをとるのか、それらを面接時に判断しております。

外国籍の方が社内に在籍することで、社内外に何か変化はありましたか?

高原さん:私の意見ではありますが、さまざまな文化的背景を持っている方がいることで、お互いに尊重する文化が社内に出来上がっています。お互いを尊重する社内文化があることで、心理的な安全性が生まれ、働きやすい環境になっていると思いますね。

友成さん:そうですね。外国人メンバーだけでなく、日本人メンバーも留学や海外で仕事をした経験のあるメンバーが多く、視野が広い方が多いので、外国の方でも働きやすい環境ではあると思います。

また、外国籍の方が在籍していたことでよかった点としては、違う言語を話せる方がいることで得られる情報量が増えたことですね。私はビジネスサイド側の人間なのですが、日本語の情報だけではなく、他の言語からも出ている情報を集約して一番適切なものを選ぶことができるようになったのが、外国籍の方と働く上でのメリットとしてあると思います。日本語では出てこない、外国語の情報を共有してくれるので、とても助かっています。

高原さん:友成さんのおっしゃったことは、エンジニア側でも覚えがあります。英語で情報が公開されている場合があり、そのような情報を教えてもらって助かった場面は何度かありました。スキルやサービスの質の向上に繋がり、とても助かっています。

またイエス・ノーはっきりしている点も意思の表明が率直で助かっています。弊社の外国籍メンバーの場合、「私はこれが良いと思う」「これはユーザーにとってよくないと信じているので、私はやりたくない」とはっきり明言してくれます。我々のようなスタートアップではスピード感が求められるので、現場の声がそのままサービスに反映されることも少なくありません。はっきり主義主張を明言してくれる彼らの存在は非常にありがたいですね。

外国人メンバーとのコミュニケーションで気をつけていることはありますか?

高原さん:私に関してですが、社内公用語が英語なので、英語を使って外国人メンバーに指示を出したり、コミュニケーションをとったりしています。しかし、私自身が英語がそれほど上手ではないので、きちんと相手に伝わっているかを確認するようにしています。

例えばビデオミーティングが終わった後、外国人メンバーに会議内容のサマリをチャットで送って「これで間違いないですよね?」というような確認は日常茶飯事です。言語面でコミュニケーションが難しい場合もありますが、社内には日本語が堪能な外国人もおりますので、その方に通訳に入ってもらうことでコミュニケーション上の課題を解決しています。状況、必要に応じて適切なコミュニケーション手法を考えることが大切かと思います。

編集後記

TradFitさんのミッションが、世界に対して事業展開を掲げていることから、国籍問わず優秀なプロフェッショナル人材と働くことは、特別でなく当たり前の価値観であるいうことがインタビューの中でもとても印象的でした。

新しい市場やビジネスモデルに挑戦するために、ダイバシティな環境を取り入れることは、スタートアップ企業にとって欠かせないポイントです。違いをお互いに尊重しあえる文化があることで、社員一人ひとりが自然体で働くことができます。

そういった環境があることで、変化に迅速に対応でき、組織のパフォーマンスの向上にも繋がります。まさにスタートアップ企業でイノベーションを生むためには、ダイバシティを自然に取り入れることが大切なことなのではないのでしょうか。

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