建設業で外国人を採用するには技能実習生?高度人材?職種別に徹底解説!

建設業は、他業界と比較しても人材不足や優秀な若手人材の確保の側面から外国人の採用が進んでいます。政府も特定技能制度の導入など建設業の外国人の受け入れを推進しています。建設業の中でも職種が複数あり、どの職種でどのような外国人を採用できるか分からないという声も多く聞きます。今回は、建設業の外国人の雇用状況から職種別で採用できる外国人を解説します。

建設業の外国人雇用状況

「外国人雇用状況」の届出状況(厚生労働省)によると、2020年1月現在建設業の外国人雇用事業所は、2.5万カ所で産業別の割合だと10.7%に上ります。外国人雇用事業所数は、他の産業だと前年比平均12.1%増加に対して、建設業は前年比28%増加と他の産業と比べても雇用事業数が急激に増えていることが分かります。また建設業で働く外国人労働者数も1.3%増加の9.3万人と年々増えています。国籍別で見るとベトナム人が最多で4.6万人、中国人が1.4万人、フィリピン人が1万人とアジア人材が上位を占めます。

建設業における外国人労働者数の増加の背景は、建築業の人手不足が慢性化し、技能実習生を採用する企業が増えたためです。少し前のデータですが、建設分野における外国人材の受入れについて(国土交通省)によると2017年現在、建設業の外国人労働者のうち66%が技能実習生です。

技能実習生の受け入れが進んでいる建設業ですが、建設分野の技能実習生の失踪者数は分野別では最多と課題が多いのが現状です。失踪の要因は、劣悪な雇用環境や契約前と報酬が異なるなど雇用主が外国人労働者を安価な労働力としてしか見ていない現状が大きな問題でしょう。

この状況を踏まえて、国土交通省は失踪抑制に向け、技能実習などの受け入れ基準を強化しており、受け入れ企業の外国人労働者に対する認識を変えていくことが今後も必要となります。

建設業で外国人を採用するには?

建設業で外国人を採用するには、職種別ごとに採用できる在留資格(ビザ)や条件が異なります。そこで今回は、職種ごとの外国人採用条件をご紹介します。

現場での働き手を採用したい場合

建築業の現場で外国人を採用したい場合、下記であげた5種類の在留資格を持っている人材が採用できます。

採用対象となる在留資格
  • 技能実習
  • 特定技能
  • 身分に基づき在留する者(永住者、定住者、日本人配偶者、永住者の配偶者)
  • 特定活動(外国人建設就労者受入事業)
  • 技能

技能実習

技能実習は、技能実習制度に基づいた在留資格です。技能実習制度は1993年に制定された制度です。法的には以下の通りに定義されています。

【法的にはどのように定義されている?】
技能実習制度は、我が国で培われた技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設された制度である。
法務省・厚生労働省:技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する基本方針

つまり発展途上国への貢献として、日本の技術を外国人労働者に伝え、その技能を母国で活かしてもらうための制度です。技能実習の特徴としては、人材不足を補う単純労働として利用してはいけないため最長5年しか採用ができません。(特定技能への移行を除く)

対象となる職種は、以下22職種です。

さく井 、建築板金、冷凍空気調和機器施工、建具製作、建築大工、型枠施工、鉄筋施工、とび、石材施工、タイル張り 、かわらぶき、左官、配管、熱絶緑施工、内装仕上げ施工 サッシ施工、防水施工、コンクリート圧送施、表装、建設機械施工、築炉

外国人技能実習生を受け入れるには「企業単独型」と「団体監理型」の2つあり、96%の企業は「団体監理型」で受け入れています。

「企業単独型」 は、海外の現地法人、合併企業の外国人社員を受け入れて技能実習を実施する方式のため、特殊なケースとなります。

「団体監理型」は、受け入れるには、管理団体に加盟し、管理団体の主導のもと受け入れの準備、人材の募集をします。分かりやすくいうと管理団体が人材紹介のような役割をしています。

また非営利の事業協同組合を設立して受け入れることもできます。設立後に管理団体として外国人技能実習機構に申請をしますが、2年前後かかるため、自ら設立して採用する企業は非常に少ないです。

技能実習の受け入れは、申請手順が多く、人材募集から入社まで約半年近くかかるため技能実習を受け入れる際には、余裕をもって採用スケジュールを考えましょう。

特定技能

2019年4月に出入国管理及び難民認定法で新設された在留資格です。技能実習とは異なり単純労働が認められ、最長5年の就労が可能なうえ、本人が要件を満たすことで永住することもできます。

建設業における特定技能の特徴としては、一部の職種で技能実習から特定技能への変更が認められていることです。

また管理の責任が、受け入れ企業にあるため、申請も基本的には受け入れ企業もしくは登録支援機関に依頼します。

身分に基づき在留する者(永住者、定住者、日本人配偶者、永住者の配偶者)

永住者、定住者、日本人配偶者、永住者の配偶者のもつ在留資格は在留中の活動に制限がないため、職種に関係なく就労が可能です。ですので、単純作業を伴う業務を行うことも可能です。

特定活動(外国人建設就労者受入事業)

国土交通省と出入国管理局の管轄のもと、東京オリンピックに向けた建設需要に対応するため、期限付きで即戦力となる外国人材の活用を図っていくことを目的とした制度です。在留期間は、基本的に2年間となっています。

専門的・技術的分野(技能)

外国様式の建築・土木工事を行う現場であれば、「技能」の就労ビザをもつ外国人も採用対象となります。技能ビザを取得するためには、外国人が最低でも5年から10年の外国様式の建築・土木工事に関して、実務や経験があることが必要となります。当てはまるパターンは少ないので、例外的パターンと言えるでしょう。

CADオペレーター、施工管理

採用対象となる在留資格
  • 専門的・技術的分野(技術・人文知識・国際業務もしくは技能)
  • 身分に基づき在留する者(永住者、定住者、日本人配偶者、永住者の配偶者)
  • 特定活動(ワーキングホリデー)

専門的・技術的分野(技術・人文知識・国際業務もしくは技能)

「専門的・技術的分野の在留資格」を持っている人材は、大学などで学んだ技術や専門知識技術を生かした業務をする資格として、専門的・技術的分野での在留資格(就労ビザ)を取得しています。1年~5年の期限で在留期限があり、更新することができるので、日本人のように正社員で採用することができます。留学生でも要件を満たせは、専門的・技術的分野の在留資格の申請をすることが可能です。

注意点としては、技術職として採用するため、採用する外国人が大学・大学院もしくは日本の専門学校で建築に関連する専攻をしていること、また採用企業が日本人と同等もしくは同等以上の雇用条件で採用することです。

建築に関連する専攻例:建築学部、土木学部、環境工学、工学部、機械工学、理工学部等

建築に関連する専攻以外の場合は、採用することができない可能性が高いため、採用前に必ず行政書士に相談をしましょう。

身分に基づき在留する者(永住者、定住者、日本人配偶者、永住者の配偶者)

永住者、定住者、日本人配偶者、永住者の配偶者のもつ在留資格は在留中の活動に制限がないため、職種に関係なく就労が可能です。先ほど、単純作業も行えると書きましたが、反対に専門的な仕事に就くことも可能です。

特定活動(ワーキングホリデー)

ワーキングホリデー制度を活用して日本で働きたいと考えている外国人も採用可能です。ワーキングホリデーの期限は、1年間のみのため、その後も続けて採用するには、専門的・技術的分野(技術・人文知識・国際業務もしくは技能)の在留資格変更申請が必要です。

「在留資格」に関する記事を読む
【在留資格の種類】日本で働ける外国人と働けない外国人の違いとは?【在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得条件】技人国ビザ取得のための要件とは?

営業、事務

採用対象となる在留資格
  • 専門的・技術的分野(技術・人文知識・国際業務もしくは技能)
  • 身分に基づき在留する者(永住者、定住者、日本人配偶者、永住者の配偶者)
  • 特定活動(ワーキングホリデー)

CADオペレーター・施工管理と同様の在留資格ですが、対象となる人材が異なる場合があります。

専門的・技術的分野(技術・人文知識・国際業務もしくは技能)

CADオペレーター・施工管理と採用要件は同様で、専門的・技術的分野の就労ビザを持っている外国人を採用することができます。

CADオペレーター・施工管理と異なる点は、職務内容が営業や事務となり、建築業の専門性は問われないため、本人が専攻する学部は人文科学系いわゆる文系でも採用することができます。

専門性より日本語レベルが問われるため、一般的にビジネスレベルの日本語力を持っている外国人を採用するとよいでしょう。もちろん建築学を学んでいる外国人でも営業や事務に関わる勉強をしている場合には、採用することもできます。

身分に基づき在留する者(永住者、定住者、日本人配偶者、永住者の配偶者)

永住者、定住者、日本人配偶者、永住者の配偶者のもつ在留資格は在留中の活動に制限がありません。

特定活動(ワーキングホリデー)

ワーキングホリデー制度を利用して来日しようとしている外国人も採用可能です。ワーキングホリデーの期限は、1年間のみのためその後も続けて採用するには、専門的・技術的分野(技術・人文知識・国際業務もしくは技能)の申請が必要です。

まとめ

今回は、産業別でも特に外国人の採用スピードが近年急激に伸びている建築業での外国人採用についてご紹介しました。建設業の有効求人倍率は、2019年現在6倍に上り深刻な人材不足が叫ばれています。人材不足を解消するために、外国人労働者の受け入れも進んでいますが、記事内で紹介したように採用企業が外国人を「安価な人材」として考え、日本人以下の労働条件での受け入れをしている企業も少なくありません。

東京オリンピックが終わっても人材不足が続くことは予測されており、採用した人材の定着や活躍が最も重要となります。日本の建築技術を学びたいと来日する外国人も多く、「安価な人材」として考えるのではなく、「将来を任せられる育成人材」として彼らが活躍できる環境を用意することが必要なのではないでしょうか。