【外国人社員を即戦力に】外国人向けのオンボーディングとは?入社後の4つの具体的な事例を紹介

近年「オンボーディング」という言葉が、浸透しすでに新卒社員向けなどで設計している会社も多いでしょう。外国人を採用する際は、外国人特有の考え方や課題から外国人向けのオンボーディングを設計することが求められます。既に用意しているオンボーディングに+αするだけでも、外国人が安心して働くことができ、早期離職を防げます。今回は、オンボーディングの目的や導入方法、入社時期を4つの分け、サンプルケースを紹介します。

オンボーディングとは

オンボーディングとは、新しく組織に入ったメンバーに対しての教育・育成プログラムです。新入社員を組織に定着してもらい、早期に活躍できるよう環境に作ることが企業に必要とされます。

目的

  • 新入社員の早期離職防止、即戦力化
  • 社員のエンゲージメント向上
  • 組織力の向上

オンボーディングを導入する最大の目的は、採用した人材の早期退職を防止し、即戦力化することです。特に外国人社員の場合は、日本で働く・暮らすことに慣れていないため、職務や会社に疑問などを投げかけることが日本人より多いでしょう。それに対して、会社側でフォローし、相互コミュニケーションを取れる場を作ることが必要です。

そのようなプロセスを経て外国人社員のエンゲージメント向上、そして組織で外国人社員を育てるという観点から組織力の向上にも繋がるでしょう。

導入方法

オンボーディングの導入は、以下の1~5のステップで行います。

目的の設定

新入社員に、どのようなスキルや役割、キャリアパスを求めるか、目標を具体的に設定します。組織に定着してもらうようなコミュニケーションなどの定性的な点と業務上の必要なスキルなどの定量的な点の2つの観点から設定しましょう。

特に外国人はジョブ型志向が強いので、自分が会社に何を求められているか、どのようなパフォーマンスを出せば良いのか、明確にさせることでモチベーションアップにも繋がります。

プランの作成

1の設定した目標から具体的なプログラムを設計します。外国人社員を対象とした具体的なプログラム例は、後段の【外国人のオンボーディングの流れ】で紹介します。

社内で見直し・改善

部署の上司、人事、外国人社員からのヒアリングを元に効果的なプログラムなのか、社内ですり合わせを行いましょう。またオンボーディングに関わる社員への共有、必要に応じて管理者の研修など職場環境の整備もしましょう。

実施

はじめての外国人採用で、オンボーディングを行う場合は予定していた理想通りにプログラムが実施されない場合もあるので、人事が現場と本人にヒアリングを行いフォローをしましょう。

振り返り

個人のオンボーディングが終了次第、関係者でプログラムのフィードバックを行い、1.目標が達成されているか評価、改善に繋げましょう。

外国人のオンボーディングの流れ

外国人を採用する際にモデルとなるオンボーディングをに入社前から入社1年後までの時期別にご紹介します。

1.入社前

既存社員の異文化理解

まずは既存の社員に外国人を受け入れる体制を構築するために、外国人を採用する目的などを伝え、現場の理解を得ましょう。また文化の違いからコミュニケーションのギャップが起こるので、国籍や文化など特質的なことに配慮できるように、知見のあるエージェントや外国人研修会社など外部に頼ることも一つの方法です。

気軽に相談できる社内窓口を用意

面接では上司や役員などが担当するため、日本の生活に関する質問、ビザ、福利厚生など些細な質問が出来ずに外国人が入社前に不安を感じているケースがあります。そのため、人事や総務の窓口担当を決め、入社前に気軽に相談ができるような環境を作りましょう。

ビザや生活の手続き

外国人自身でもビザや生活に必要な各種手続きを行えなくはないですが、日本人よりも情報が少ないため、会社側でできる範囲でサポートをしましょう。社内の窓口担当から会社側のフォローが必要かを外国人本人に聞くことをおすすめします。

2.入社当日

入社オリエンテーション

日本人社員で実施している入社オリエンテーションで基本的には問題はないですが、社内のルールやMVVなどを丁寧に説明をするように心がけましょう。「なぜそれを行うのか」理由を合わせて説明すると理解が深まるでしょう。

社内メンバーとのコミュニケーション

人事や上司以外のメンバーとコミュニケーションできる場を用意しましょう。ウェルカムランチやmtgの場など短時間でも良いので、なるべく多くの社員と接点を作ることで、会社の雰囲気など理解が早まるでしょう。

終業前に初日のフィードバック

終業前に上司または人事で、会社の雰囲気など1日働きどのように感じたかをヒアリングしましょう。10分でも良いので、なるべく口頭でフィードバックをもらうことが理想です。

なぜなら、不安な点があるときにその場で解決することができるからです。また日報制度を取り入れる会社は、日報に記載してもらうのも一つの方法です。

3.入社 ~3ヵ月目

自分史

自分史とは、生い立ちや出来事など自分の生き方を文章化したものです。フォーマットは決まっていなく、写真やテキストなど自由に作成します。外国人社員の自己理解を深めることでキャリア形成にも繋がります。また自分史を外国人本人がプレゼンテーションすることで、既存社員の異文化理解も深まります。

1on1

外国人社員のパフォーマンスを上げるために、出来る限り上司による1on1を実施しましょう。業務進捗の確認だけでなく、業務の振り返りを行い、経験学習のサイクルを作ります。

日本語研修

外国人社員の日本語レベルに必要に応じて、日本語研修も会社で用意できると理想的です。ただ研修を受けるだけでなく、JLPTなどアウトプット目標を設定しましょう。

成果が見えるタスクを依頼

簡単なタスクでも良いので、成果が見えるようなタスクを依頼します。成果が見えることで、入社直後の本人のモチベーションを維持することができます。

4.入社 4ヵ月~1年目

メンター制度

業務を一通り慣れたころに、斜め上の先輩としてメンター制度を取り入れることがおすすめです。業務に直接関係のない社員とコミュニケーションを取ることで、上司に直接相談が出来ないことなどを話せる場として利用できます。また接点のない他部署の既存社員がメンターになることにより、外国人と働くこと自体に理解が深まります。このようなコミュニケーションが、全社的に外国人の受け入れの理解に繋がるでしょう。
もし1対1のメンターを用意することが難しい場合は、外国人複数と人事総務などで生活の困りごとを相談できるミーティングを月1回実施しても良いでしょう。

評価面談

前段の通り、外国人はジョブ型志向が強いため、自分のパフォーマンスかどのように評価されているのか、何を改善すれば昇給・昇格できるのか、評価面談の場で明確に伝えることが大切です。

オンラインで実施する場合

入社初日はオフライン研修

入社初日からリモートだと心細く、メンバーとのコミュニケーションの機会も減るので、会社に慣れるのにも時間がかかります。なるべく入社初日は、オフラインを推奨します。

入社3ヵ月までは、オフラインで会う場を週1回設定

入社直後に孤独感を感じてしまうと、パフォーマンスの低下にも繋がるので、会社のことを一通り理解するまでは、オフラインで1on1や部署、人事が会う機会を設定しましょう。研修やmtgがもし設定できない場合は、ランチだけでも良いでしょう。

まとめ

今回は、外国人社員向けのオンボーディングを時期別に解説しました。初めて外国人を採用する企業にとっては、オンボーディングのプログラム内容自体も最初は上手くいかないこともあります。その場合は、外国人社員本人に「オンボーディングをブラッシュアップしたいので、気づいたことがあったらフィードバックをしてほしい」と伝えましょう。改善案をもらうことができますし、社内で改善したいという気持ちが伝わることで、外国人社員の不安も軽減できるでしょう。改善をしながら、自社に合うオンボーディングを構築してきましょう。