一般社団法人新経済連盟は、 2020年5月22日に「コロナ問題の在留外国人への影響と必要な対応」として提言を政府に提出した。
新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐための入国制限措置により、現在、40万人規模の外国人が入国できない状況が続いている。その一方で、インバウンド関連、流通、小売などでは企業の倒産や外国人材の解雇が相次ぎ、仕事のキャリアが止む無く途中で絶たれ、帰国した外国人も少なくない。帰国した外国人材のなかには将来日本に戻ってこない者もおり、中長期的に考えて日本のイノベーションを阻害することになりかねない状況だ。
また、コロナ禍以前から需要が高まってきていたIT、介護分野などでは人材不足が悪化の一途を辿っている。コロナ後に他産業の人材需要が回復した際、どの業界でも人材供給が追いつかず、今現在、人手不足が顕著な産業分野では、現在よりもさらに人手不足が深刻化する可能性が見込まれている。
外国人材の失業などに対する対策の遅れが目立つ現状では、外国人活躍に関する政策努力が水の泡になりかねない状況に追い込まれつつある。そのような状況を受けて、一般社団法人新経済連盟では、コロナ下でも日本に在留し続ける外国人材の維持の重要性を訴える提言を政府に提出した。提言内容は、主に以下の4項目である。
1. 外国人は日本社会の重要なメンバーであるとの政府からのメッセージ 2. 在留外国人向けの支援情報など、情報発信の抜本的な強化 3. 外国人材の転職・マッチングや留学生の生活・就職の支援強化 4. 在留資格関連手続きのデジタル化の一層の推進 |
短期的な施策としては、まずコロナ下における政府・自治体主導による多言語ので情報発信の抜本的強化と、留学生や外国人失業者らへの転職・就職マッチングの促進を図ることである。国内に在留している外国人の働き先の確保と生活支援の強化の重要性について訴えている。
また、中長期対策としては、就職や転職でのミスマッチが生じやすい構造の解消と国家資格などを含めた高度な現場業務の在留資格の拡充など、資格面と就職支援の改善の必要性について主張している。また、在留資格関連手続きのデジタル化の推進など、現状の原本原則の廃止などについても述べている。
未だ入国制限措置の緩和の見通しが立たないなか、今後の経済復興とともに人材不足が再び顕在化する可能性が高い。在留外国人に日本に残ってもらえるよう、今ここで手を尽くすことが重要である。
【提言資料】「コロナ問題の在留外国人への影響と必要な対応」
【コーポレートサイト】一般社団法人 新経済連盟
*音声が出る場合がございます。