外国人ITエンジニアの中途採用の手引き

エンジニアの人手不足が叫ばれる中、即戦力として外国人エンジニアを中途採用する企業が近年増加しています。一方で、「受け入れ体制が整っていない」「手続きが煩雑そう」「日本人エンジニアとの選考フローの違いが分からない」といった声も採用担当者からよく耳にします。

今回は、外国人エンジニアの中途採用を検討している企業を対象に、外国人特化のエージェントが考える事前に知っておくべきポイントを採用プロセスに5つに分けて解説します。

求める人物像の明確化

新卒採用でも中途採用でも同様に言えることですが、まずは求める人物像を明確にしましょう。中途採用の場合は、ポテンシャルよりもエンジニアのスキルを求める企業が大半でしょう。

求める人物像を明確化するときに、気を付けるポイントとしてあげられることは「日本語レベル」「年収」です。まず日本語レベルについて、「日本語が流暢で、スキルもあり、カルチャーフィットする人材」が一番の理想的な人物像だと思いますが、優秀な人材は他社でも引く手あまたなので、容易に採用はできません。

もし「エンジニアスキル」「カルチャーフィット」「日本語レベル」と並べたときに、優先順位をつけるとしたら、どのような順番でつけますか?母集団が一気に広がるポイントとして、日本語レベルを調整することがあげられます。

例えば外国人を採用している企業は、その既存の外国人社員がブリッジとしてコミュニケーションを取れば問題なく業務することができるでしょう。外国人エンジニアの採用が成功している企業のうちの一つのパターンは、面接時点での日本語レベルが少し足りないが、本人も日本語を学ぶ気持ちがあり、スキルやカルチャーフィットしている外国人を採用しているパターンです。スキルやカルチャーフィット(人物面)は、すぐに変えられないが日本語力は後からいくらでも成長するからです。

本当に必要な条件なのか、社内ですり合わせをして精査をしましょう。

次に年収ですが、アメリカはもちろん中国・欧米のエンジニアは日本より給与が高いことが一般的です。先進国だけでなく、アジアでもエンジニアの給料は他の職種よりも高めに設定されており、ベトナムでも月給20万のエンジニアは珍しくありません。

つまり、外国人だから安く採用できることは誤りで、むしろ中途エンジニアの場合はエンジニアスキルがあり、コミュニケーションできるレベルの日本語・英語も話せる人材はむしろ日本人より希少性が高いケースがあります。

また外国人は、転職時に年収アップを条件としている求職者も少なくありません。そのため、募集する年収レンジはなるべく広く、そして役職を明確にすることで、外国人求職者が求人票を見たときに、興味を持ってくれる可能性が高まります。

採用手段・スケジュールの確定

求める人物像がクリアになったら、次に採用手段・スケジュールを確定させます。外国人に絞っている採用の場合は、外国人特化のエージェントや求人媒体を利用することが効率的に外国人の母集団形成ができます。

特にはじめて外国人を採用する企業は、在留資格(就労ビザ)の手続きなどの企業側のフォローが必要なので、外国人特化のエージェントを利用して、エージェントからアドバイスをもらいながら採用活動を進めることを推奨します。

2人目以降の採用は、既存外国人社員のリファラル採用や外国人特化の求人媒体がベターです。職場でマイノリティになりやすい外国人にとって、希望する企業に外国人が既に在籍していることは非常に魅力的です。なので、外国人社員が在籍していることを求人票でPRしましょう。既存外国人社員を巻き込みながら、採用に協力してもらうことで、採用時のメッセージングやターゲティングのブラッシュアップにもなります。

また採用スケジュールは、急募でエンジニアを採用したい企業も多いと思いますが、外国人は本人の状況によっては、在留資格の変更・申請が必要なので内定から入社まで2~3ヵ月掛かる場合があります。また海外在住者が日本に来日、就労する場合は内定から入社まで3ヵ月~6ヵ月かかる場合があります。そのため外国人の採用スケジュールは、余裕を持った採用計画であることが望ましいです。

※在留期限が半年以上先の場合や永住者や日本人の配偶者など就労制限のない在留資格の場合は、日本人と同じようなスケジュールで入社できます。選考時に外国人本人に確認しましょう。

海外在住の外国人社員の場合は、在留資格が下りるまでの数か月リモートで業務委託として別に契約を結ぶ企業や、来日するまでの準備期間として、オンラインの日本語レッスンを受講してもらう企業もあります。

海外在住者の場合は、距離が遠く本人も不安に思う瞬間もあるので、リテンション施策としてコミュニケーションの接点を増やすことが理想的です。

書類選考

すでに日本で就労している外国人転職者の場合は、基本的にいま就労しているビザ(在留資格)があるので、学歴を細かくチェックする重要度は高くありませんが、海外在住の外国人を採用する場合は学歴項目は必ずチェックする必要があります。

なぜなら学歴によっては、エンジニアの実務経験があっても就労ビザの要件を満たしていなく、就労ビザが下りない可能性があります。シンプルにお伝えすると、学位が学士以上(大学もしくは大学院卒業)で、エンジニアに関する専攻をしていることが学歴要件です。高卒・中退の場合は、学歴要件を満たしていないので、10年以上の実務経験もしくは指定された情報処理の資格を取得していることが求められます。

外国人エンジニアの学歴・経歴の要件については、以下の記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。

面接・プログラミングテスト

面接は、日本人と基本的に同じように実施して問題ありません。現場社員とのコミュニケーションのギャップを減らすために、選考途中に現場社員の同席できる機会があると理想的です。

またプログラミングテストは、企業独自で行っていることが多いと思いますが、問題文が日本語の場合だと日本語レベルによっては、問題の読解が困難な可能性があるので、自動翻訳を使いながらでも良いので、多言語でプログラミングテストが用意するとギャップも生まれないでしょう。

外国人エンジニアの面接については、以下の記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。

内定から入社まで

内定が決定し、雇用契約書を作成するときに注意したいポイントは、日本語が流暢でない外国人を採用する場合は、外国人の母国語や英語も明記された書面も合わせて用意できるとベターです。外国人エンジニアの場合は、英語が得意なことが多いので、英文の雇用契約書が多くなると思います。

英文の雇用契約書を作成したことがないので、不安と思う方も入らっしゃると思いますが、厚生労働省がサンプルで「「外国人労働者向けモデル労働条件通知書(英語)」」として英文の雇用契約書を公開してます。ぜひ参考にしながら、双方にミスマッチが起きないようにオファー面談として口頭で説明する場を設けても良いでしょう。

外国人の入社手続き・オンボーディングについてはぜひ以下の記事を参考にしてください。

まとめ

今回は外国人エンジニアを中途採用時の採用プロセスを5つに分けて解説しました。既に外国人社員を採用している企業は、ぜひ既存の外国人社員に採用に協力してもらいながら、人物像のすり合わせやフォローに入ってもらうことで、企業側・求職者側、双方の不安も軽減されます。

既存の外国人社員にとっても、新に外国人が増えることは喜ばしいと考えるので、採用の協力も快く受け入れてくれるでしょう。エンゲージメントの向上も兼ねて、既存外国人社員とフラットに意見を交わす場を設定することが、採用成功の第一歩ではないのでしょうか。