在留資格持つ外国人、再入国制限を9月全面緩和へ

日本政府は、中長期の在留資格を持つすべての外国人について9月から条件を緩和し、日本への再入国を認める調整に入った。新型コロナウィルス感染収束のメドが立たず、ビジネスや在留資格者の私生活への影響が長期化しているためである。再入国に際し、海外から帰国する日本人と同様にPCR検査や、自宅やホテルなどでの14日間の待機を条件としている。

在留資格を持つ人の再入国制限は主要7カ国(G7)で日本だけで、米欧などから緩和を求める声が出ていた。在日欧州企業の団体である欧州ビジネス協会が欧州の約400社に7月上旬に実施した調査によると、再入国制限を「負担に感じる」と回答た企業が8割を超える。影響として、事業の立ち上げや継続が困難になり、売り上げが減少したとの回答が最も多かった。

中長期の在留資格を持つ外国人は約260万人。企業の経営者や駐在員、技能実習生、留学生などを含み、日本で働き、自宅がある人は多い。8月中旬時点で20万人近くが出国中とされている。このうち入国拒否の対象に指定された後に日本を出国した人は約3万人。政府が9月に全面緩和すれば、その後に出国する人の再入国も認められる。

これに関連し、月内には外国人留学生の入国制限も一部緩和する。留学生の入国緩和はビジネス関係者に続く第2段階で、現地の日本大使館や大学の推薦を受け、日本政府が学費や生活費を支給する国費留学生から開始する。月内にも受け入れを開始し、9月から本格化する。私費留学生などについても検討中のようだ。

政府は再入国やビジネス目的の往来などで入国者数が増えるのをにらみ水際対策の強化を急いでいる。9月に成田、羽田、関西国際の3空港に「PCRセンター」を設け、検査能力をいまの2.5倍の1日1万人に増やす予定だ。

在留資格者の再入国を緩和する一方、新規入国の制限は続ける。すべての外国人が日本と海外を円滑に行き来できる状況になるわけではないのが現状だ。

9月からの入国制限緩和により、新型コロナウィルスの影響により滞っている日本経済活動の活性化につながることを期待したい。

【参考URL】
外国人留学生の入国、月内にも緩和 再入国は全面解禁へ
在留資格持つ外国人 再入国制限を9月全面緩和