外国人経営者のサポートを手掛ける行政書士が語る「未来の日本を救う外国人採用の大切さ」とは【日本リーディング行政書士法人】?

2016年・2017年の就労ビザ発給数が9万件に対し、2018年の就業ビザ発給数は24万5千件を超え、日本で働きたいと希望する外国人が、ここ数年で急増しているという統計が出ています(*1)。外国人を採用するにあたり、企業側は採用したい外国人の在留資格の有無や就労ビザの申請を確認する必要があります。必要であるとはいえ、複雑な書類作成や手続きは素人には理解が難しいもの。そんな時、行政書士の先生が企業の強い味方となります。

今回は、就労ビザのプロフェッショナルである日本リーディング行政書士法人(以下、日本リーディング) 代表社員行政書士の碇谷 賢祐さんにインタビューしました!

話し手:日本リーディング行政書士法人 代表社員行政書士 碇谷 賢祐(いかりや けんすけ)さん

明治大学法学部卒。2009年、西新宿に「フィット法務行政書士事務所」を開設。2013年、銀座へ事務所の移転を機に事務所名を「日本リーディング行政書士法人」に変更。経営管理ビザや就労ビザを中心に、日本で働きたい外国人のあらゆるサポートを手がけている。

 

登場人物:日本リーディング行政書士法人 日中英通訳 田 婉伶(でん わんれい)さん

台湾出身。輔仁大学日本語学科卒業。大学にて日本語を学び、大学3年時に交換留学制度を活用してフェリス女学院大学に一年間交換留学。在学中に日本企業に就職が決まり、ビザ取得後に来日。日本リーディングには中途採用で入社し、現在は日本語・中国語・英語の語学力を活かし、顧客の通訳やビザ取得に必要な書類作成などを担っている。

事業内容について教えていただけますか

私たちは、外国人の就労系ビザの業務をメインに複雑な書類の申請などを行っている行政書士法人です。お客様には日本で企業を立ち上げたいと考えていらっしゃる外国人経営者の方が多く、日本での開業に必要な経営ビザの取得など、会社のスタートアップからホームコンサルティング(かかりつけの、なんでも相談できるコンサルタントの意)まで長いお付き合いをさせていただいています。

会社のスタートアップとなると口座開設や税理士探しなど様々なニーズがあるので、弊社が「経営者に寄り添った相談できる専門家」としてお話を伺っています。直接お手伝いできることは弊社でお手伝いし、必要であれば他の専門の方をご紹介するなど、できる限りのサポートをしています。

外国人経営者のお客様が多いとのことでしたが、国籍はどちらの方が多いのでしょうか

お客様は中国人の経営者が多いですね。最近は英語圏のお客様も増えていて、欧米や香港から開業目的で来日される方も増えています。お客様の話される言語に合わせて通訳や書類の翻訳が必要になりますので、弊社では中国語や英語を話せる社員は活躍の場を広げています。

外国人社員が多く在籍されているそうですが、初めての外国人採用はいつ頃でしょうか

8年ほど前に中国人スタッフを採用したのが初めての外国人採用でした。
先ほどお話した通り、お客様は外国の方が多いのですが、相談時に母国語でやりとりできる方が相互のコミュニケーションが圧倒的にスムーズだと感じていたので、中国語と日本語が話せる方を採用しました。

それまでは日本人のみで対応していたので、日本語が話せないお客様には通訳の方や通訳をできるご友人に同席いただいていました。また、日本語がそれほど得意ではなく、通訳もいないお客様との面談では、お客様に寄り添って根気強くお話を伺うよう努めていました。

ただ、そのようなコミュニケーションでは時間がかかる上に、通訳なしでは深く理解することが難しい内容も含まれるので、お互い非効率に感じる場面もありました。外国人社員を迎えられたことでお客様とのコミュニケーションが円滑に進むようになったので、採用できてとても助かりました。

社外の通訳の方だと、専門的な内容を伝えることは難しいのでしょうか

やはり難しいと感じることもありますね。例えば、お客様とお客様が連れてこられた通訳の方が中国語で話をして、お客様の考えを通訳の方が理解できたとしても、その内容が私たちに伝わらないことにはお客様に正しいアドバイスができないんです。さらに、私たちからのアドバイスを通訳の方がお客様に正確に伝えていただくということも重要なポイントになります。

私たちからのアドバイスは専門的な内容を多く含みますので、予め専門知識を持った上で相談の通訳をするのと、知識を持たずに通訳するのでは、伝わる内容に多少のズレが出てくると思います。

弊社の社員が通訳するのであれば、お客様からの質問に対しても「これなら自分で返事ができる」「これは上司に確認してから返事しよう」など自分で判断ができるので、スピード感をもってお客様に対応することができています。

日本語も専門知識も理解できるような外国人の方の採用は難しいと思うのですが、今まではどのように優秀な人材を採用してきたのでしょうか

最初の社員は知人からの紹介だったので意外とあっさり条件に合う方を採用できたのですが、最近では採用広告や人材紹介の媒体を利用して、応募いただいた方と面談しています。良い方に出会えれば採用しますが、やはり優秀な方の採用は簡単ではないですね。

求める人物像はどのような方なのでしょうか

仕事内容には専門用語が多い書類の作成などもありますので、日本語の能力もそれなりに必要ですし、お客様への対応力ももちろん大切です。コミュニケーション力、言語力に加え、お客様との複雑なやりとりに機転が利いた対応ができる方だと尚良いですね。

そもそも専門的な内容が多い仕事なので、覚えないといけない知識も膨大にあります。小難しいことも覚えていける地頭の良さも必要になります。履歴書に書かれた情報だけでは分からないことがたくさんありますので、実際に会って色々とお話しする中で、この仕事に合う方なのかどうかを面談させていただいています。

高い採用基準をクリアされてご入社に至った田さんの第一印象を教えていただけますか

とても礼儀正しい方だなと思いました。ハキハキ話しますし、とにかく明るいというのが第一印象でしたね。語学力ももちろん問題ありませんし、採用面談で話しているときから、弊社で活躍してくれるとイメージできていました。

弊社では、入社後に研修期間を取ってゆっくりと業務を教えている時間はないので、すぐにOJT(実際に業務を経験することで仕事を覚えること)をしてもらっているのですが、田さんは同じ部署の先輩に直接教わりながら早いスピードで吸収してくれていて、成長を嬉しく感じています。

外国人社員と働く上で大切にしていることはありますか

仕事のことを伝える時は、なるべく正しく平易な日本語で話すようにしています。日本人同士だとどうしても大雑把な日本語を使ってしまい「伝わればいいか」と思ってしまうこともあるのですが、外国人社員に対してはそれがないように気をつけていますね。あとはゆっくりと話すようにするとか。話している相手が理解できているのかなど、表情や様子を見ながら会話しています。

社内のチャットにおいても、なるべく正しい日本語で、誰が読んでもきちんと内容が伝わるような文章を書くようにしています。僕自身も英語を勉強しているのですが、ネイティブが話す英語だと、知っている単語でも予想外の意味で使われていたり、英語独特の言い回しがあったりするので、働いている外国人社員もきっと同じように日本語で分からないと感じることがあるのではないかと思っています。外国人社員が理解できないことがないように日々のコミュニケーションには気を配っています。

外国人社員の方が多いようですが社内のコミュニケーションはどうされていますか

現在、弊社には私を入れて8名が在籍していて、うち3名は中国出身です。ですので、社内では日本語・中国語が半々という感じですね。私と田さんの会話は日本語で、田さんと先輩社員は中国語で話していたりと、それぞれが相手に合わせて言語を選んで会話しています。

外国人社員に対して特別にしていることはありますか

採用するにあたって、労働条件に関してはしっかりと伝えるようにしています。国が変われば、労働条件も変わりますので。有給、長期休暇、残業代など、国によって常識は異なります。

日本人だとネットで検索して労働条件について調べたりもできますが、外国人が日本の労働条件を理解するのは容易ではないと思うので、採用のタイミングでなるべく丁寧にお伝えするようにしています。

優秀な社員に長く働いてもらう秘訣はありますか

国籍に関わらず、全社員がストレスが少ない状態で仕事ができているかどうかは気をつけて見るようにしています。「案件を振りすぎているかな?」と感じたら、新規案件を入れないようにしたりだとか。

また、社員一人一人と定期的な面談をしたり、先輩社員に何か問題はないかとヒヤリングして、仕事への不満や悩みなどシグナルを感じればすぐに対応するようにしています。私が社外で仕事をすることも多いので、メンバーと直接関わっている上司・先輩社員と話すことは現場を知れる良い機会になっています。

今後も外国人社員を採用したいと考えていますか

もちろんそのように考えています。私たちの仕事は日本に入ってくる外国人の方をサポートすることが仕事なので、対応できる国籍・言語が増えていけば、私たちのビジネスマーケットも広げることができます。例えば、最近は日本で働きたい外国人の中でもベトナム人が増えているので、ベトナム人スタッフが事務所に1人いたらいいなと考えています。

新しい国の外国人社員を採用するにあたりなにを重視しますか

やはり日本語能力とモチベーションの高さですね。あとは根気強いかどうか。もし、今後ベトナム人を採用できたとしたら、弊社としては初めてのベトナム人スタッフとなります。同じ国出身の先輩がいない中でも、精神的なタフさをもって根気強く仕事をしていけるかどうかも重視したいと考えています。

あと、漢字が分かるかどうかもポイントになりますね。漢字を使う国の方であれば読み方が分からなくても大体の意味がイメージできると思うのですが、漢字を使わない国の方となると、難しい専門用語を覚えるのはハードルが高くなると思いますので。今までの外国人採用は中国語が母国語の方ばかりなので、今後ご縁がある方によっては、社内でのサポート体制など色々と検討しなくてはならないかもしれませんね。

ありがとうございました。それでは、最後にこれから外国人社員を採用したいと考えている会社に何かアドバイスがあればいただけますか

初めて外国人社員を採用するということに対し、どの会社でも不安に感じられる点があると思います。とはいえ、どこの業界でも人手不足に頭を抱えている現状があります。さらに、今後日本では労働人口が先細っていくという誰しもが認識している社会問題もあるので、外国人採用はどこかで手を打つ必要があるはずです。

その問題の解決策の1つに「外国人採用」があるので、少しでも外国人採用を検討されているのであれば、できる限り早く採用を始めてみてはいかがでしょうか。外国人社員を採用する上でお困りのことがあれば、私たちのような行政書士事務所がサポートしますので、是非安心して挑戦していただきたいです。

また、外国人社員を迎えることで社内に新しい風が吹くことも、弊社の経験として言えることですね。日本人はなかなか入社直後から自分の意見を言えなかったりしますが、外国人社員は思ったことをストレートに伝えてくれたりするので、日本人社員も良い意味で変わるきっかけになったりします。今や国籍はボーダレスの社会になってきていて、ライバルは国内だけではなく世界に広がっています。日本の企業も会社として体質を変えていかないといけない時代にあるのかもしれませんね。

在留外国人は過去10年で右肩上がりに増えているので、我々もその増加に伴い成長させていただいています。そして益々私たちの役割も責任も広がっていくと感じています。これからの時代、中国語や英語が話せる社員がいることはビジネス上、大きなメリットになります。是非、外国人採用の一歩を踏み出してみてくださいね。

編集後記

日本で働くことを希望している外国人労働者にとって、そして初めて外国人採用をされる企業にとって、心強い味方となるのが行政書士。今回の取材を通じて「外国人経営者に寄り添った相談相手」として可能な限りのサポートをされているなかで、会社として様々な国籍の外国人を採用して事業をより大きくしていこうという碇谷様の強い意気込みを伺うことができました。
日本の労働人口不足問題によって、今後ますます外国人採用の必要性が問われてきます。採用にあたり不安や疑問な点があれば、専門家に相談することから始めてみても良いかもしれませんね。外国人採用の第一歩を踏み出しましょう!