外国人留学生アルバイトを採用する方法

国内にいる外国人留学生は年々増加傾向にあり、現在26万7042人の留学生が学んでいます(日本学生支援機構「平成29年調査結果」より)。少子高齢化に直面している日本では、従業員の半数以上が外国人ということも珍しくなく、外国人留学生アルバイトが労働力不足解消の不可欠な存在となっています。特に会社の近くに大学や日本語学校がある場合、継続的に外国人留学生をアルバイトとして確保しやすくなるため、留学生の雇用を検討し始めた採用担当者の方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、外国人留学生をアルバイト採用するメリットと、採用・募集方法、注意点、成功のポイントについてご説明します。今記事を参考に、優秀な留学生アルバイトを採用し、事業の発展に役立ててください。

1 外国人留学生アルバイトを雇うメリット

少子高齢化と人手不足により飲食サービス業やコンビニ業ではアルバイトとして採用する若者の確保が困難です。さらにせっかく採用しても向上心が低く、1ヶ月足らずで辞めてしまう学生が少なくありません。一方、やる気に満ちた外国人留学生を雇うメリットは次の3つが挙げられます。

  1. 向上心の高い人材が多い
  2. 外国人のお客さんに対応できる
  3. 継続的に人材を確保しやすい

それぞれ見ていきましょう。

 1-1 向上心の高い人材が多い

外国人留学生には在留期間があり、限られた時間の中で活動しなくてはなりません。そのため留学生にとってアルバイトは日本のビジネスを体験できる貴重な機会です。また親族からの経済的な支援や自ら借金を抱えながら日本へ留学してくる留学生も多いので、高いモチベーションと学ぶ意志を持っています。近年は日本語学校の普及により基本的なビジネス会話を習得している学生も多いので、即戦力として雇用することもできます。

 1-2 外国人のお客さんに対応できる

外国からのお客さんが多いときは外国人留学生が活躍するチャンスです。特に外国人旅行客が急増している近年は、英語、中国語、韓国語での対応を迫られるケースがあるため、中華圏の留学生を採用するメリットは大きいと言えます。外国人のお客さんが安心して訪れることができる雰囲気を作り出せれば、リピーターになる確率も高く、企業にとって嬉しい循環を生み出してくれます。

 1-3 継続的に人材を確保しやすい

近くに大学や日本語学校がある場合には、継続的に人材を確保しやすくなります。外国人留学生は在留期限が切れれば帰国することになりますが、良好な関係を維持することで、友人や後輩などを紹介してもらい、継続的に人材を確保することが可能になります。

2 外国人留学生の採用手続き・募集方法・注意点

外国人留学生をアルバイトとして採用する際の手続き方法を見ていきましょう。

 2-1 採用方法

日本人と外国人留学生を雇用する際に大きな手続きの違いはありませんが、採用した際には、ハローワークへの届出が必要になるので注意しましょう。届出を怠った場合は雇用主側の責任も追及されるため、採用担当者の方は忘れないようにしてください。なお届出はインターネットでも行えるので便利です。

 2-2 募集方法

募集方法に関しても特に決まりはないため、各雇用主が定める手順に従って行うことになりますが、募集段階に留学生が入国管理局から「資格外活動許可」を得ているかを確認する必要があります。外国人留学生の日本入国の目的はあくまで勉強であり、就労ではありません。そのため、原則として外国人留学生はアルバイトであっても就労することができません。外国人留学生が就労するためには、必ず「資格外活動許可」が必要となる点に留意してください。

 2-3 注意点

採用後に問題が発生しないように募集時点で「在留資格」と「パスポート」を確認する必要があります。企業が不法滞在者を雇用すると不法就労助長罪等に問われる可能性があります。また、風俗関連の業種(パチンコ店、麻雀店、ゲームセンター、キャバレー、スナック)は、「資格外活動許可」を得ていても就労させることができません。
このほか外国人留学生は、「週28時間以内」のアルバイトしか認められません。アルバイトを掛け持ちした場合であっても、合計週28時間以内に収める必要があります。留学生が定められた制限を厳守していない場合、在留資格が更新できなくなる可能性があるので、採用する際は十分確認しましょう。

3 外国人留学生のアルバイト採用を成功させるポイント

向上心が高く人材豊富な外国人留学生を採用しても、文化の違いや言葉の壁から長く続かないこともあります。そこで留学生のアルバイト採用を成功させるには、次の3つのポイントに配慮しなければなりません。

  1. 日本人と同等の待遇にする
  2. 外国人労働者マニュアルを作成する
  3. 在留資格に関する研修を実施する

それぞれ見ていきましょう。

 3-1 日本人と同等の待遇にする

アルバイトであっても日本人と比べて差別的な扱いをしてはなりません。差別的取扱いの禁止は法律で明確に規定されていますが、最低賃金以下での賃金で就労させるなど、適切な労働環境を整えているとは言えないケースが後を絶ちません。日本人と同等の待遇で外国人就労者を雇用しないことは、結果として雇用主が社会的制裁を受ける可能性を高めます。事業を適切に運営するためにも、日本人と外国人を同等の待遇で受け入れることに配慮することが大切です。

 3-2 外国人労働者マニュアルを作成する

初めて外国人アルバイトを迎い入れる場合は、「外国人労働者マニュアル」の作成が必須です。業界独特の商習慣や日本でのマナー、日本人の仕事に対する考え方は、異国から来た留学生にとってはどれも新鮮で馴染みのないものです。なおマニュアル作成時は、就労に関する要項はもちろん、在留資格や在留期間等の入管法に関する知識が必要となるため、行政書士や弁護士へ作成依頼すると確実です。

 3-3 在留資格の研修

外国人留学生が日本で就労するためには「資格外活動許可」を得る必要があります。また、アルバイト中に在留期間の更新が必要になる場合もあります。在留資格の有効期限が切れていながらアルバイトを行うことは、外国人留学生本人のみでなく、雇用主も責任を負う可能性があります。雇用主側は在留資格に関する案内を正確に行うために、行政書士などの専門家に研修を依頼すると良いでしょう。

4 まとめ

外国人留学生をアルバイトとして雇用するときは、留学生が不安なく働ける環境を作ってあげることが重要です。そのため、日本人を雇用するよりも多くの諸費用が発生することもありますが、一度受け入れる態勢を整えれば、今後人材確保に悩まされることなく、事業を発展させることができるようになります。改正入管法の成立により単純労働者を含めた外国人労働者の増加が予測されています。諸費用をかけてでも、外国人留学生の取り込みと労働環境の基盤作りに取り組む価値は大いにあると言えるでしょう。