外国人採用に関する助成金・補助金まとめ

はじめて外国人採用を検討されている経営者・人事担当者の皆様が気にされる点の一つが、外国人採用に関する助成金や補助金の有無です。そこで、今回は外国人労働者を採用する際に活用できる助成金や補助金について分かりやすく解説します。

助成金・補助金とは?

そもそも助成金・補助金とはどのような制度なのかについて詳しく説明します。助成金とは、国や公的機関(国の外郭団体等)が企業に対し、指定した条件を満たした場合に行う給付する返済不要の支援制度のことをいいます。

一方の補助金も返済不要の資金支援制度ですが、期間を定めた公募によって行われる点が助成金とは異なります。条件を満たせば必ず支給されるわけではなく、支給が決定する前に支出したものは補助金の対象とはなりません。

外国人採用で活用できる助成金の種類・内容

従業員として外国人を採用した場合、以下の助成金制度を活用することができます。

  1. 雇用調整助成金
  2. 特定求職者雇用開発助成金
  3. トライアル雇用助成金

それぞれの内容と、受給される条件、受給額を見ていきましょう。

1. 雇用調整助成金

景気悪化など様々な経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練)を実施することで、従業員の雇用を維持する場合に助成される制度です。

なお、中小企業の安定した雇用維持を目的として創設された制度で中小企業緊急雇用安定助成金がありましたが、平成25年3月31日で廃止され、現在は雇用調整助成金制度に整理統合されています。

受給条件

(参考:厚生労働省「雇用調整助成金」 以下同)

受給金額

支給額は、休業を実施した場合、事業主が支払った休業手当負担額、教育訓練を実施した場合、賃金負担額の相当額に3分の2を乗じた額です(中小企業以外は2分の1)。
なお教育訓練を行った場合は、さらに1人1日当たり1,200円が加算されます(ただし1人1日あたり8,250円を上限とします。)

・中小企業の場合

・中小企業以外の場合

(参考:厚生労働省「雇用調整助成金」)

受給期間は、休業・教育訓練の場合、その初日から1年間で最大100日分、3年間で最大150日分受給できます。出向の場合は最長1年の出向期間中、受給できます。

2. 特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、雇用保険一般被保険者として継続雇用することが確実で、特定求職者雇用開発助成金各コースの要件を満たす場合、外国人にも等しく支給される助成金です。

主な受給条件は、①ハローワーク(または民間の職業紹介事業者等)の紹介で雇用すること、②雇用保険一般被保険者として雇用し、継続することが確実であることです

受給金額は、短時間労働者以外の場合、次の通りです。

  • 60歳〜65歳の高齢者:40万円(1年間)
  • 身体・知的障害者:120万円(2年間)
  • 重度障害者:240万円(3年間)

短時間労働者(週労働時間20〜30時間未満の者)の場合、次の通りです。

  • 60歳〜65歳の高齢者:40万円(1年間)
  • 身体・知的障害者(重度障害者含む):80万円(2年間)

3. トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、安定的な就職が困難な求職者でハローワークや職業紹介事業者等の紹介により、試行雇用した場合に助成が受けられる制度です。

主な受給要件は、対象労働者がハローワーク等の紹介日において、「安定した職業に就いていない者」「通学していない者」「トライアル雇用期間中でない者」「生活保護受給者でない者」などになります。

つまり、これまで働いた経験のない職業を希望していたり、離職期間が1年以上だったり(妊娠・出産による離職含む)、2回以上の離職・転職を繰り返していたりする方を一定期間雇用する必要があります。

さらに原則3か月のトライアル雇用をし、1週間の労働時間が一般的な労働者と同程度(=30時間)であることも必要です。

受給金額は、対象者1人につき月額4万円(母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円)が、支給対象者のトライアル雇用に係る雇入れの日から1か月単位で最長3か月間支給されます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。外国人を採用する場合でも、日本人を採用するときと同様の助成金を受給できる場合があります。助成金・補助金を上手に活用することで、採用コストを抑えつつ優秀な外国人人材を確保することが可能となります。返済の必要がない助成金をぜひ上手に活用し、採用を成功させましょう。