外国人を雇用するとき、または外国人が退職したときには「外国人雇用状況の届出」を提出しなければなりません。この提出を怠ると30万円以下の罰金が科せられる場合があります。そんな「外国人雇用状況の届出」とはいったいどのような内容なのか、いつまでに提出しなければならないのかなど詳しく解説します。
目次
外国人雇用状況の届出とは
「外国人雇用状況の届出」とは、外国人を雇用したり、雇用した外国人が離職した場合に事業主が、オンラインもしくはハローワークを通じて厚生労働大臣に届け出るものです。これは、外国人を雇用するすべての事業主の義務でもあります。
事業主は、新たに外国人を雇入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その者の氏名、在留資格(出入国管理及び難民認定法第二条の二第一項に規定する在留資格をいう。次項において同じ。)、在留期間(同条第三項に規定する在留期間をいう。)その他厚生労働省令で定める事項について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
ハローワークでは、この届出に基づいて外国人の雇用環境の改善のために事業主への助言や指導、また、離職した外国人へは再就職支援などを行っています。
「外国人雇用状況の届出」の対象となる外国人
「外国人雇用状況の届出」の対象となる外国人は、以下の通りになります。
- 雇用保険の被保険者ではない
- 日本国籍を有しない方で、在留資格「外交」「公用」以外の方
- 「特別永住者」以外の方 *1
外国人が雇用保険被保険者の場合は、雇用保険の加入・離脱の手続きが雇用状況の報告になりますので、「外国人雇用状況の届出」を提出する必要はありません。雇用保険被保険者でない場合は「外国人雇用状況の届出」を提出する必要があります。
正社員・派遣社員・アルバイトでの違い
日本で働いている外国人といっても、正社員、派遣社員、アルバイト、など様々な雇用形態で働いています。それぞれによって外国人雇用状況を届け出る際に、注意すべき点があります。
外国人正社員:すべての外国人が届出の対象。(特別永住者を除く)
派遣社員:雇用主である派遣元が届出を提出する必要があります。
*いわゆる登録型派遣の場合は、派遣先が決定した雇用関係が成立するたびに届出が必要です。
アルバイト:留学生や主婦(主夫)なども届出の対象になります。
*在留資格「留学」や「家族滞在」をもつ外国人の場合「資格外活動許可」を得ているか確認が必要です。
外国人雇用状況届出書の手続き方法
外国人雇用状況の届出先はハローワークですが、実際に窓口で提出する方法と、電子申請の2種類があります。それぞれの手続き方法について解説します。
ハローワークでの手続き
外国人雇用状況届出における届出方法は、雇用保険被保険者の場合とそれ以外の場合で異なります。まず、雇用保険の被保険者の場合は以下の書類の提出が必要です。
雇用保険の被保険者でない場合は、「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を管轄のハローワークに提出します。
旧 式:外国人雇用状況届出書(様式第3号)
新 式:外国人雇用状況届出書(様式第3号)
記入例①:外国人雇用のルールについてのパンフレット
記入例②:外国人雇用状況の届出において、 在留カード番号の記載が必要となります
*令和2年3月1日以降に、雇入れ、離職をした外国人については「外国人雇用状況の届出」において、在留カード番号の記載が必要となりました。
電子申請での手続き
「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」をハローワークの窓口に提出する以外にも、ハローワークの電子申請システムから届け出ることもできます。電子申請は、窓口での手続きよりも時間がかからず簡単にできるので、電子申請がオススメです。
申請・届出:外国人雇用状況届出システム
マニュアル:外国人雇用状況届出システム操作マニュアル
特定技能暫定コード:在留資格「特定技能」の暫定コード一覧
「外国人雇用状況届出システム」を利用するには、ユーザー情報登録が必要ですので、マニュアルの手順に沿って登録を進めてください。
また、電子申請の注意事項として以下の点があげられます。
令和2年3月1日以降に雇入れ、離職をした方の外国人雇用状況届出に、在留カード番号の届出が必要となりました。
ですが、インターネットでの申請にあたっては、「在留カード番号」の入力項目の追加が令和2年3月23日以降を予定しています。
それまでの間で在留カード番号を届出いただく場合は、以下の2通りがあります。
①ハローワークの窓口に届出
②令和2年3月23日以降にハローワークインターネットサービスで申請
提出期限
外国人雇用状況の届出の提出期限は、雇入れ・離職の場合共に入社日もしくは翌月末日までです。提出漏れがないように入社手続きの時に、社内で進めることをオススメします。
外国人雇用状況の届出を申請し忘れた場合の罰則
外国人雇用状況の届出を申請し忘れた場合、30万円以下の罰金が科せられます。また、当然ながら虚偽の申請を行った場合も同様に罰金が科せられます。
虚偽の申請とは、例えば雇用主が外国人であるとわかっていながら、在留資格や在留期間の確認を怠り、誤った届出を提出してしまった場合などが当てはまります。届出の記載内容の正確性については、事業主が責任を負うことになりますので、必ず、外国人本人がもっている在留カードの確認をしてください。
まとめ
ハローワークに提出しなければならない「外国人雇用状況の届出」の手続きは意外と見落としがちです。しかし、この手続きは外国人を雇用した事業主の義務です。ですので、入社後の社内手続きのワークフローに追加し、適切な届け出ができるようにしっかり確認しましょう。
*1「特別永住者」とは
1991(平成3)年11月1日に施行された「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」によって定められた在留資格をもつ外国人のことを言います。
具体的には、第二次世界大戦以前より日本に居住し、日本国民として生活していた外国人で、サンフランシスコ平和条約により日本国籍を失った方々です。主に韓国、朝鮮、台湾の方々が対象になります。入国管理特例法によって永住資格が認められています。
【参考】
・厚生労働省 | 「外国人雇用状況の届出」は、全ての事業主の義務であり、外国人の雇入れの場合はもちろん、離職の際にも必要です!
・厚生労働省|外国人の雇用
・厚生労働省|外国人雇用のルールについてのパンフレット
・警視庁 | 外国人の適正雇用について