ベトナム人エンジニア採用を成功させるには?ベトナム人の特徴を解説!

はじめて外国人エンジニアを採用する場合、まず「文化の近いアジア出身者を採用したい」と考える企業の声をよく耳にします。アジア出身者の中でもベトナムは、近年どの国よりも在留外国人の増加率が高く、日本のオフショア開発委託先としても盛んな国です。今回は、ベトナム人エンジニアも在籍するJopus Biz編集部の経験も踏まえて、ベトナム人エンジニアの特徴を解説します。

外国人労働者数が1位のベトナム

2020年6月の厚生労働省の調査で、国籍別の外国人労働者数が中国を抜き1位(約44万)になったベトナム。昔から外国人労働者数が多いのではなく、2010年代に入ってから約10年間で14倍に急増しました。ベトナム政府が日本の技能実習制度(※1)を利用して、積極的に労働力輸出を推し進めたことが増加の大きな要因です。

ベトナム人の労働者数、約44万のうち半数の22万人は技能実習制度です。しかし技能実習制度をきっかけに、日本への留学や就職の選択肢もベトナム国内では徐々に広がっています。

またIT業界で働くベトナム人の人数は、2021年10月末現在で約5千人です。中国人が約3万人、韓国人が約1万人と比べると少ないですが、アジアでは3番目にIT業界で働く外国人が多い国です。今までの増加率を考慮すると、ベトナム人エンジニアの数が中国人エンジニア、韓国人エンジニアの数を抜く日も遠くはないでしょう。

では、ベトナム現地のIT業界はどのような動向なのか解説します。

ベトナムのIT業界

IT教育

ベトナム政府は、国としてIT人材の育成に力を入れています。政府がIT人材育成支援策として2020年にエンジニアを100万人に増大することを計画し、政策を推進しています。

ベトナムの情報技術系の大学では、大学が企業と連携し、IT系のカリキュラムを設置したり、在学中にインターンシップも盛んに行われています。そのため、大学卒業時には基礎的なスキルは身に着けていることが一般的です。

またIT系のカリキュラムだけでなく、海外へ就職するために英語や日本語のカリキュラムも設置されています。ベトナムでは、欧米や日本のオフショア開発委託先として人気を集め、ベトナム拠点を持つ外資系企業も増えています。そのため、ベトナム企業だけでなく外資企業に就職も視野に入れ、在学中にプログラミングの知識だけでなく語学の知識も修得する学生が増えています。

エンジニアデータ

ベトナム国内のエンジニアの年齢別就業者数で見ると20代~30代前半の若い人材が80%を占めています。ベトナムのIT産業は2010年代から急成長した業界のため、経験豊富なベテランよりジュニアレベルのエンジニアがメインです。若い分、新しい技術、言語、研究に非常に敏感で、自分の技術アップに対して貪欲です。

またベトナムの「2020年のIT市場についての調査」(※TopDv.2019)によると、ITエンジニアが職業を選ぶメリットとして「専門性を深められる」「キャリアの将来性がある」「高給与・好待遇」を回答しています。

そのため、技術の進んだ国で専門性を高めたい、技術を身に着けたい思いから日本をはじめ海外で働くことに対して積極的なエンジニアが多いことが特徴です。

またベトナムで用いられているプログラミング言語のうち、ベトナムITエンジニアの中で使用率が高く人気のプログラミング言語はJavaScriptがトップです。次ににJava、PHP、Phytonが続いています。これは日本含め世界的なエンジニアの需要の割合と合致しているので、エンジニアの採用ターゲットには魅力的な人材でしょう。

エンジニアの平均月給

ベトナム国内での経験者のエンジニア月給平均は、約700~1000USDと他の業界に比べて3~4倍以上と高い給与水準です。またAI関連のエンジニアは2000USDなど職種によって給与レンジは異なります。

他業界より給与が高い理由としては、成長産業で日本のようにエンジニアのニーズがベトナム国内でも高まっていること、オフショアはじめ外資系企業のベトナム進出と雇用が多いことが挙げられます。

ベトナム人の特徴・仕事観

向学心旺盛

ベトナム人は、働きながらスキルアップするために夜間専門学校や語学学校に通う人が日本人と比べても多い傾向です。基本的に残業をせず、仕事後は自分の新しい知識やスキルを身に着けるために時間を使えるからです。国民性として「勤勉」と言われているように自分のスキルアップのために時間を惜しみません。

そのため、終業後に自分のキャリアアップとして時間を使うことを推奨する場合や、会社が日本語学習の支援がある場合は、企業のアピールするとベトナム人にとっては魅力的に感じるでしょう。

また勤勉で頑張り屋な分、周りに評価されることも重要視しています。人前で注意されることを非常に侮辱的な行為を考えているので、もし注意をしたい場合は個室や周りの人がいない場所で話すようにしましょう。

仕事を選ぶ軸は給与

ベトナム人の金銭価格は、近視眼的と言われており、今どれだけ稼げるかを重要視します。仕事を選ぶ軸で最も重要視していることが給与です。

キャリアプランが不明確だと、給与を理由に選考辞退もありえるので、面接時に入社後の給与例など提示することをおすすめします。

家族を最も大切にする

ベトナム人は、何より家族の時間を優先します。家族を養うために仕事をする意識が強く、残業や休日出勤など、家族の時間が減ってまで仕事をして会社に貢献する考えは、あまり理解されません。

残業が多くなってしまう場合は、事前に説明をして理解をしてもらうことが必要です。そして、入社後のギャップが起きないように、繁忙期や勤務時間について面接時に事実を伝えたほうが良いでしょう。

またベトナムにはテトと呼ばれる旧正月が1月下旬~2月上旬にあります。その期間は、ベトナムでは長期休暇を取り家族と過ごします。テト期間は、帰国したいベトナム人も多いです。有給休暇等、帰国できるように調整ができるとベトナム人のモチベーションも上がるでしょう。

まとめ

ITエンジニア不足が叫ばれる日本にとって、若く、向上心の高いベトナム人エンジニアは非常に魅力的です。また日本に転職を希望するベトナム人エンジニアの大半は、日系企業でのエンジニア経験があり、日本語がN2-N3レベルと語学が堪能です。

日本の仕事の進め方も把握していることもあり、マネジメントも比較的行いやすいことも特徴です。はじめて外国人エンジニアを採用する場合は、まず面接で直接話すことで理解も深まるので、多くの外国人エンジニアと接点を持てることが理想的です。

【参考】「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)
【参考】【第19回】IT人材新時代~ベトナムITエンジニア~【未来を創るベトナムビジネス】