外国人採用を成功させる5つのステップ

外国人採用を成功させるためには、求める人物像の明確化から採用後の日本語研修、日常生活支援などのさまざまな局面で外国人の目線に立ったサポートが必要になります。

異国の地へと働きに来る外国人は文化の違いや言葉の壁からストレスを溜めやすく、せっかく採用しても早期に離職してしまうケースも少なくありません。外国人に少しでも長く働いてもらい、戦力へと成長してもらうためには、企業側にマニュアルの早期策定やサポート体制の構築、働きやすいボーダーレスな職場環境づくりが求められています。

今回は外国人採用を成功させるポイントを整理するので、企業の採用ご担当者の方はぜひ参考にしてください。

外国人を採用する前に知っておきたいポイント

外国人採用を成功させるには次の5つのステップで対応策を考えましょう。

  1. 募集・採用時のポイント
  2. 配属・評価のポイント
  3. 職場環境整備のポイント
  4. 育成のポイント
  5. 生活支援のポイント

1. 募集・採用時のポイント

外国人採用では、ハローワークや外国人雇用サービスセンターといった公共機関の活用、国内外の就活フェアへの参加、自社の外国人社員が形成するネットワーク(SNSなど)を利用した募集活動など、様々な媒体を活用することができます。また、海外の就活イベントへの参加と合わせ、海外の大学生の卒業時期を意識して通年採用を実施するなど、優秀な人材確保へ向けた柔軟な採用行動もおすすめです。

このような取り組みに加え、募集・採用段階では、ジョブ・ディスクリプション(職務内容や期待する役割を明確にすること)を示し、具体的なキャリアパスを提示するなど、入社後のキャリアップの道筋を具体的にイメージできるようにすると、外国人も安心して働くことができます。

2. 配属・評価のポイント

外国人採用の成否は、採用後の次の2つのポイントが大きく影響します。

  • 外国人社員の教育
  • 公正な能力評価制度の構築

それぞれ見ていきましょう

外国人社員の教育

外国人社員の上司は必ずしも日本人である必要はありません。例えば、十分な日本語力を持つ外国人を上司に配置し、新しく入社する外国人社員のリーダーとすることで、悩みを共有し、職場にいち早く馴染むことができます。

これからの人事担当者には従来の常識にとらわれることなく、国際感覚とスピード感をもった采配が求められます。今回成立した改正入管法では受入分野別に備えるべき日本語や技能のレベルが示されることになります。採用計画の段階で日本語力別に配置するなど、外国人一人ひとりが活躍できる職場作りに努めましょう。

公正な能力評価制度構築

日本で就業した外国人の多くは、評価制度の不透明さと昇進の遅さに不満を抱いているとされます。社員全員が納得のいく客観的な評価制度の構築が必要です。また外国人に対して評価を伝える際は曖昧に表現するのではなく、評価シートを提示して説明するなど客観的で分かりやすい方法が好まれます。

3. 職場環境整備のポイント

外国人にとっては仕事以外に「言葉の壁」や「文化・風習の違い」もストレスの一因になります。それぞれどのように対処すればいいかを確認しましょう。

言葉の壁を低くする

上司や先輩が何でも相談に乗ってくれる人柄であっても、言葉の壁から本心で相談できないこともあります。そこで同じ国の出身者をサポート担当部署に配置するなど母国語で相談できるようにすると効果的です。外国人社員の不安や悩みを取り除くことで、離職率も下がり、以後の外国人採用のアピール材料にもなります。

また、多くの企業で導入が進んでいるメンター制度(上司とは別の先輩社員が個別にサポートするシステム)の活用もおすすめです。同じ母国出身者の社員がいない場合でも、英語が話せる社員をメンターに任命することで、仕事から私生活面での相談に乗ったりなど様々な面でサポートをすることができます。

宗教・風習の違いに配慮する

宗教・風習の違いにも配慮が必要です。例えば、「正月」には日本人の多くが長期休暇を取りますが、新年を祝う日が1月1日ではない国もあります。宗教や出身地の風習に合わせて休暇や休憩時間(礼拝等)を柔軟に取得できるような就業規則が必要になることもあります。

安全管理対策を見直す

外国人従業員に安心・安全に働いてもらうためには、リスクアセスメント(労働災害防止対策)の見直しも必要です。危険を伝える事業場内の日本語標識に外国語を追加したり、労働安全マニュアルは母国語で作成して渡しましょう。

また、業務中に発生する咄嗟の危険なシーンは「危ない!」「注意しろ!」など日本語で注意喚起することが想定されます。そのため日本語でも即座に反応できるよう日常的に訓練したり、注意喚起の表示物にわかりやすいイラストを用いるなど、確実に伝わるように配慮しましょう。

4. 育成のポイント

日本では出世を望まない若手社員もいますが、外国人社員の多くは、キャリアアップがモチベーションの向上につながります。募集・採用活動の時点で示したキャリアパスを前提に、本人(外国人)のキャリア形成へ向けた積極的な支援を行うことが肝要です。

コミュニケーションの促進

外国人にとってあらゆる場面で障壁となるのが「言葉」です。本人の日本語能力の向上も必要ですが、日本人社員の語学力向上に取り組むことも、職場内の円滑なコミュニケーションの促進とグローバル化に向けた対応力向上に有益です。

インセンティブを用意

キャリア形成上、評価ポイントの一つに「資格取得」があります。業務に関係する資格取得について制度を設け、費用負担など支援することで社員のモチベーションの向上につながります。また、母国語で受験可能な外国の資格も評価ポイントに加えたり、資格取得を一つの成果として表彰制度を設けるなど、育成上の各フェーズにインセンティブを用意することで、生産性向上につながる好循環が期待できます。

5. 生活支援のポイント

私生活面でのサポートも重要です。宿舎への入居や各種行政手続き、銀行口座の開設、各種店舗や病院の所在確認など、日本で生活をスタートするには外国人にとって負担の大きい手続きが多くあります。外国人がスムーズに新生活を始められるように会社側も準備し、実際の手続きには日本人社員を同行させるなど、きめ細かな配慮をしてあげましょう。

まとめ

外国人の採用にあたっては外国人社員の働きやすい職場作りが必要ですが、これが日本人社員の意識改革を促して労働生産性の向上に資することにもつながります。外国人採用を好機と捉え、思い切った社内改革を進めてみてはいかがでしょうか。

 

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