外国人社員の社会保険はどうなるの? 加入義務がある保険を詳細解説!

現行の日本の法律では、労働者の国籍を問わず労働基準法が適用され、社会保険の加入が義務付けられています。外国人を雇用する企業は、給与などの待遇面だけでなく、各種保険も外国人という理由で差別的な取り扱いを行うことは許されません。今回は外国人社員を採用した際に社会保険の加入が義務付けられている条件とその手続きを詳しく解説します。外国人の採用を検討している担当者の方はぜひ参考にしてください。

外国人社員が加入する社会保険

外国人社員は日本人社員と同じように社会保険に加入する必要があるため、雇用主は外国人と日本人を差別せずに適切に手続きを行う必要があります。ただし、外国人労働者の場合、滞在日数や在留資格等により加入保険の細かなルールが異なります。そのため、外国人を採用する担当者の方は、十分な知識を持って外国人労働者を案内する必要があります。

保険加入の手続きと注意点

実際に外国人労働者の採用を行う場合には、個々のケースに沿って手続きを行う必要があります。加入する必要のある社会保険は次の4つです。

  1. 労災保険(加入義務)
  2. 雇用保険(加入義務)
  3. 健康保険(加入免除あり)
  4. 厚生年金(加入免除あり)

それぞれの保険の内容と注意点を確認していきましょう。

1. 労災保険(加入義務)

労災保険は外国人労働者にも加入義務がある保険であり、不法就労者に対しても労災保険への加入が求められています。

労災保険とは、労働者が業務中にケガや病気などにあった場合に労働者を保護するために保険給付を行う制度です。元々は、雇用主が労災について責任を負う形となっていましたが、雇用主だけでは補償しきれないケースも多かったため、社会保険制度となりました。労災保険金は全額雇用主が負担しますが、労災が起こった場合には雇用主も保護されるため、雇用主が従業員を雇用するうえで加入するメリットも十分にあります。

このように労災保険は労働環境を適切に整備する上で必要な制度となり、加入が義務づけられています。仮に、労災保険の加入手続きを怠った場合、労災保険金の強制徴収が行われることや雇用主の信用問題にも関わりますので、採用担当者の方は十分注意しましょう。

2. 雇用保険(加入義務)

雇用保険とは労働者が失業した際に、生活の安定を目的として一定の給付を行い、労働者の次の就職を支援する制度です。雇用保険も労災保険と同様に加入義務がありますが、労働者(外国人含む)が次の条件を満たさないときは雇用保険の適用対象外となります。

  • アルバイトの場合で労働時間が週20時間を超える
  • 31日以上会社で働く見込みのある労働者である

なお雇用保険では不法就労者は適用対象外となります。雇用保険は失業した場合等の労働者を保護するための制度ですが、外国人が失業給付を受けている最中に在留期間が経過した時は、失業給付が打ち切られます。そもそも外国人は在留期間を過ぎると日本に滞在できなくなるため、引き続き失業給付を受けることを希望する場合は、在留資格の更新手続きを行う必要があります。このことを知らない外国人労働者も多いため、退職時にはきちんと説明してあげましょう。

また以前まで雇用保険には年齢の上限がありましたが、2017年1月1日より65歳以上の労働者(外国人含む)も雇用保険の適用対象となっている点にも留意しましょう。

3. 健康保険(加入免除あり)

医療費の一部を負担する健康保険は、3ヶ月以上日本に滞在する外国人の場合、加入する義務があります。日本に3ヶ月以上滞在が許される外国人は、原則として就労できる在留資格を有しているか、永住権等の身分系の在留資格を有していることになります。法人企業の場合は1人でも雇用者がいれば加入義務があり、個人事業主でも5人以上の雇用者がいれば加入義務があります。

なお日本に観光や国際会議に出席するために訪れる外国人は、原則として90日以内に出国する必要があり、日本の健康保険に加入する必要はありません。

4. 厚生年金(加入免除あり)

厚生年金は、健康保険と同様の取り扱いとなっています。厚生年金とは国民年金に上乗せされて給付される年金ですが、法人企業の場合は加入義務があり、個人事業主の場合は5人以上の雇用者がいれば加入義務があります。

なお外国人労働者の厚生年金については、社会保障協定を確認する必要があります。社会保障協定とは、外国人の母国と日本の厚生年金の取り決めがどのようなものかを定めている協定です。「短期間の雇用であっても日本の社会保険に加入する必要があるのか」「母国の保険に加入したまま日本の厚生年金にも加入するのか」などを確認できるので、企業の採用担当者の方は必ずチェックしましょう。

厚生年金の脱退一時金について

外国人労働者には「厚生年金の脱退一時金」という制度があります。

外国人労働者の場合、多くの方が一定期間日本で就労した後、母国もしくは第三国へ出国します。日本にそのまま永住する方は、在留資格取得許可の難しさもあり少数です。そのため、外国人労働者の中には、日本の厚生年金を脱退したいという方が多くいるわけです。

なお、外国人労働者が日本を出国後、厚生年金脱退の手続きを行わない場合、日本人と同様に一定の年齢になった際に厚生年金が支給されます。そのため、厚生年金を脱退することが必ずしも外国人にとってメリットとはならないですが、外国人労働者に雇用段階で案内する必要はあるでしょう。注意点としては、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に、日本年金機構に脱退の旨を告げる書類を提出する必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。外国人を雇用するには社会保険加入の取り決めについて十分な知識が必要です。入国管理法が改正されたことで、今後外国人労働者が大幅に増加し、外国人労働者に関する労働トラブルも増加することが予想されます。基本的に外国人労働者は日本人と同等に扱わなくてはなりませんが、在留資格や在留期間、厚生年金の取り扱いについて日本人労働者と異なるルールがあるため、採用担当者の方は行政書士や社会保険労務士等の専門家に相談し、適切に手続きを行いましょう。