外国人を採用するときに意識したい7つの注意点

昨今ではグローバル化の進展や少子高齢化による労働力不足を背景として外国人を採用する企業が増加していますが、はじめて外国人採用を検討されている経営者や人事担当者の皆様の中には、外国人の受け入れをどのように進めればよいのかが分からないという方も多いのではないでしょうか。

外国人を雇用する際は、在留資格や日本語能力の確認はもちろん、異文化に対する理解や社内の受け入れ態勢なども十分に整備する必要があります。また、2018年12月8日には入管難民法改正案(以下、改正入管法)が可決され、2019年4月1日施行となったことで、新ルールでの対応が求められることになります。今回は改正法の内容を踏まえたうえで外国人採用において注意したいポイントを整理しましたのでご参考ください。

外国人採用において注意したい7つのポイント

外国人採用においてぜひ意識しておきたい注意点は大きく分けて下記の7つとなります。

  1. 求める人物像の明確化
  2. 異文化と価値観の理解
  3. 日本語力の確認
  4. 在留資格の確認
  5. 差別的待遇の禁止
  6. 社内の受け入れ態勢の確保
  7. 公私両面のサポート

以下、それぞれのポイントについて詳しくご紹介していきます。

1. 求める人物像の明確化

海外では「ジョブ・ディスクリプション」と呼ばれる予め決められた職務内容を超える仕事については受け付けないことも一般的なので、外国人人材を受け入れる際は仕事内容のミスマッチによるトラブルを防止するためには、あらかじめ任せたい仕事内容や役割、どんな人物像を求めているのかを明確にしておく必要があります。

2. 異文化と価値観の理解

文化や価値観の違いについても注意が必要です。曖昧な表現をニュアンスで理解することが求められる日本人と、はっきりと相手に意思を伝える外国人との間では、円滑にコミュニケーションを図れないことがあります。そのため「暗黙の了解」「言わなくても察してほしい」「なるべく早く処理して」などの具体性がない指示は控えるようにしましょう。また、宗教による風習・考え方など価値観の相違を理解しなければ、良好な関係を築くことはできません。受入側が人材の出身国や風習・宗教・文化に対する理解を深めるとともに、差別に当たる言葉の使い方のルールを決めておくなど、きめ細かな配慮が必要です。

3. 日本語力の確認

外国人材を戦力化するためには、日本語力の向上は避けて通れません。本人の現状の日本語レベルを確認したうえで、日本語力を向上させる対策をOJTに組み込むなど、会社をあげてサポートすることが望まれます。また、改正入管法では日本語レベルの確認が在留資格にも直結するため、日本語力の向上は人材を確保し、育てていく上でも必須の作業となります。

4. 在留資格の確認

現在、外国人材の受け入れについて当人が在留カードを所持し、在留資格が予定する業務内容に適するか否かを確認することになっていますが、この在留資格についても今回の法改正の影響を受けることになります。改正入管法が施行される2019年4月までに、各業種に求められる日本語や技能の具体的なレベルが示されることになっており、在留資格の詳細が明確になります。経過措置も含め、制度内容を十分確認したうえで準備することが肝要です。

5. 差別的待遇の禁止

外国人労働者の雇用に関する指針(厚労省)で、国籍を理由とした、賃金、労働時間その他の労働条件で差別的取扱いをしてはならないことが明記されています。これまで不法就労者や留学生アルバイト、技能実習生の低賃金問題などから「差別待遇の禁止」の実効性は疑問視されていました。しかし、改正入管法では、在留資格が単純労働分野に拡大された一方で、出入国在留管理庁による監視が強まることになります。企業にとっては、「適材」を「適法」に雇用して戦力化することが求められることになります。

6. 社内の受け入れ体制の確保

外国人人材を受け入れる際には、日本語習得への強力なサポートに加え、文化・宗教に配慮した就業ルールや環境の整備、異文化理解に対する日本人社員への研修、メンター制度(上司とは別の先輩社員が個別にサポートするシステムのこと)の導入など、入社してきた外国人がストレスなく安心して働けるよう、ハード・ソフトの両面で社内の受け入れ体制を整える必要があります。技能実習生から移行する人材を含め、全体的な待遇改善は必須と言えます。

7. 公私両面のサポート

外国人労働者が社内のみならず日本の社会に馴染んでその能力を十分に発揮できるようにするためには、仕事だけではなく生活面でのサポートも重要となります。住居や銀行口座の開設手続き、各種インフラの契約手続きや緊急時のサポートなど、公私にわたる幅広いサポート体制の構築が必要となります。

まとめ

いかがでしょうか?はじめて外国人人材を受け入れる際は不安な点も多いかと思いますが、上記の点に注意しながら取り組むことで、雇用後のトラブルが起こるリスクを抑えることができます。法令への対応はもちろんのこと、付け焼刃ではない戦略的な採用計画の策定と体制整備にどこまで本気で取り組めるかが鍵を握ると言えるでしょう。