外国人を正社員で採用する方法

日本で就労する外国人が127万人を超えて過去最高を更新するなか、入管法が改正され今後も外国人就労者の増加が予想されます。現状、正社員の外国人就労者の割合はそれほど多くありませんが、海外での事業展開に力を入れている企業の中には、社員の外国人比率を5割程度まで引き上げるとの目標を掲げている会社もあります。今後加速する人材不足やグローバル化に対応するため、外国人の正社員雇用を検討している企業の採用担当者の方も多いのではないでしょうか。今回は、外国人正社員を雇用するメリットから採用・募集方法、注意点、成功のポイントまでをわかりやすくご説明します。ぜひご参考ください。

外国人正社員を雇うメリット

外国人正社員を雇用することは、グローバル化への対応や社内の活性化、様々な文化や考えを取り入れることができるなど多くのメリットがあります。中でも少子高齢化が深刻化する今後は、外国人正社員の採用により「人材不足の解消」「優秀な人材の確保」が企業にとって最大のメリットになります。

  1. 人材不足の解消
  2. 優秀な人材の確保

1. 人材不足の解消

総務省発表の調査によると現在の国内の労働力人口は6720万人です。近年は女性の社会進出や定年後でも働く高齢者の方が多くなった影響で労働力人口は増加傾向にあります。労働年齢も上昇傾向にあり、人生100年時代とまで言われていますが、2065年になると労働力人口は4000万人まで減少すると予測されています(みずほ総合研究所調査より)。今後は多くの企業で人材確保が困難になり、日本全体の人口も減少することで事業の運営自体が苦しくなる可能性も指摘されています。そのため外国人労働者の受け入れを拡大することは、人材不足を解消し、会社の成長と生産性を維持するうえで不可欠な要素となっている状況です。

 1-2 優秀な人材の確保

外国人正社員の採用を検討することは、優秀な人材の選択肢を広げることにつながります。例えば日本人マーケットに限定した現状では、有名大学出身者や難関資格を持つ人材の数は年々減少傾向にあり、企業間による獲得競争が激化する一方です。他方、海外まで人材マーケットを広げた場合、国籍の枠にとらわれない柔軟な雇用が可能になり、優秀な人材を他社と競合せず獲得できる可能性が広がります。すでに大手企業が着々と外国人雇用に関する基盤を構築しているなか、中小企業においても乗り遅れることなく基盤作りを進める必要があります。

外国人正社員の採用手続き・募集方法・注意点

外国人正社員を雇用する際の採用・募集方法、注意点を見ていきましょう。

  1. 採用方法
  2. 募集方法
  3. 注意点

1. 採用方法

外国人を正社員として採用する際のおおまかな手順は「面接→雇用契約→在留資格申請→各種届出」という流れになります。日本人社員を雇用するときとは異なる「雇用契約書」や「雇用条件通知書の作成」、各就労業務に沿った「在留資格の取得」、「ハローワーク等への各種届出手続き」が必要となります。なお、届出を怠ると30万円以下の罰金が科されることがあるため、採用担当者の方は忘れないようにしましょう。

2. 募集方法

外国人材の募集は、外国人向けの求人サイトやビジネス系のSNSを利用するのが一般的ですが、今後は優秀な人材を取り合う形となることが予想されるため、海外現地に拠点を作り現地にて募集するのが理想的な方法となるでしょう。優秀な外国人材を安定的・継続的に確保するには長い目で見ることが重要であり、獲得競争が激化する前に「現地に拠点を構える」「現地大学と提携を結ぶ」など他社との差別化を図っておきましょう。

3. 注意点

外国人正社員を雇用する際の最大の注意点は「在留資格」です。現状では原則として採用予定の外国人の大学での専攻分野と就労する業務に関連性が求められています。さらに雇用契約と在留期間の兼ね合いにも注意しなければなりません。在留資格のない「不法滞在者」を雇用させた場合、企業側が不法就労助長罪等に問われることがあるので、十分調査しておく必要があります。また差別的待遇の禁止にも要注意です。外国人を雇用する際は日本人と比べて賃金、労働時間などの労働条件で差別的取扱いをしてはならないと法律で定められています。なお現行の入管法では、個別のケースに応じて法務大臣が在留資格許可の判断を行うため、採用担当者の方は入国管理局の指示に従って適切に手続きを行うようにしてください。

外国人正社員の採用を成功させるポイント

外国人労働者を正社員として迎い入れる際は様々な準備が必要です。会社に定着してもらい、戦力として活躍してもらうために次のポイントに気をつけましょう。

  1. 外国人労働者マニュアルの作成
  2. 在留資格の研修
  3. 日本人社員に対する研修

1. 外国人労働者マニュアルの作成

国籍にもよりますが、外国人就労者は日本人と比べ「他者との仕事の線引き」が強い傾向にあります。極端な言い方をすれば「雇用契約書等」で明示された仕事のみを行い、その他は協力的ではない場合も考えられます。もちろん企業により働き方は異なりますが、各企業が定める方針に沿って外国人社員が適切に行動できるように外国人労働者マニュアルを作成することをおすすめします。

2. 在留資格の研修

現在の法律では原則として一定の学歴とスキルを持ち合わせていない外国人は、就労可能な在留資格を取得できません(永住権等の身分資格は除く)。例えば弁護士や公認会計士が取得する「法律・会計業務」の在留資格、医師・薬剤師・理学療法士などが取得する「医療」の在留資格、技術者・通訳・デザイナーなどが取得する「技術・人文知識・国際業務」の在留資格など、就労ビザを取得できる職種は限られています。また留学生を正社員として雇用する場合は、「留学」の在留資格からの変更手続きが必要になります。このように外国人正社員の採用手続きを適切に進めるためには在留資格に関する専門的な知識が必要になります。採用担当者の方は行政書士や社労士の専門家に研修を依頼するなどして、入国管理法、労働基準法などの習得に努めることが大切です。

3. 外国人社員・日本人社員に対する研修

外国人正社員を雇用する際、日本語研修やビジネスマナー研修は欠かせませんが、日本人社員に対する教育も重要です。文化や言葉の違いを背景とする価値観の相違や、宗教によってもあいさつの仕方から食事のマナーまで異なります。思わぬ発言が差別的言動にあたりトラブルを引き起こすこともあります。現在、外国人就労者は急増していますがその割合は少数です。外国人と初めて接する日本人社員のほうがむしろ多いので、コミュニケーションの仕方や文化の違いについて理解を促す研修を実施しておくと良いでしょう。

まとめ

外国人正社員の数は増加傾向にあり、それに伴ってトラブルが増加することも予想されます。そのため正社員や契約社員、アルバイトの雇用形態を問わず、外国人就労者を適切に雇用する基盤を作りだすことが企業の人事担当者の急務となるでしょう。外国人正社員の採用を検討する際は、トラブルを未然に避けるため行政書士や弁護士等の専門家から指導を受けておくと効果的です。