外国人介護スタッフの採用を成功させるためのノウハウまとめ

団塊世代が75歳以上を迎える2025年問題が近づくなか、介護職員不足が深刻化しています。これまではEPA(経済連携協定)や技能実習制度の活用による介護分野の外国人材を受け入れて対応してきたものの、日本人離職者の増加が後を絶たないため、改正入管法にも期待が寄せられています。実際、介護スタッフの安定的な確保に向けて外国人材を検討している企業の採用担当者の方も多いのではないでしょうか。今回は「外国人介護スタッフを採用するメリット」「採用する際の注意点」「成功へ向けたポイント」をまとめましたので、是非ご参考下さい。

外国人介護スタッフを採用するメリット

介護スタッフの人手不足を解消すべく、外国人材を起用する法人が近年増加していますが、「外国人材を受け入れたことで施設にどのような影響があるか」を国内291施設に調査したところ、「良い影響」「どちらかというと良い影響」と回答した割合が85.6%にのぼりました。また、「職場環境への影響」では78.8%が、「患者・利用者への影響」では80.8%が同様の回答をしました(国際厚生事業団 平成28年度「介護福祉士候補者受入施設に関する調査結果」より)。

このように外国人介護スタッフの受入れについて、全体の約8割が「良い影響を与えている」と判断したわけですが、このほか外国人を雇用するメリットには次の3つが挙げられます。

  1. 安定的な人材の確保
  2. 「優秀な外国人材との交流」と「モチベーションの向上」
  3. 業務効率化による生産性向上

それぞれ見ていきましょう。

1, 安定的な人材の確保

介護分野での人手不足の対処として、これまでEPAによる外国人介護士の受け入れ制度が利用されてきましたが、対象国はフィリピン・インドネシア・ベトナムに限られ、根本的な人材不足の解消とはなっていませんでした。しかし2016年に新たな在留資格となる「介護」が追加され、留学生が日本で介護福祉士(国家資格)を取得してから最大5年間介護スタッフとして就労できるようになりました。さらに2017年には技能実習制度として「介護職種」が追加され、外国人介護スタッフの確保がより容易になりました。

2, 「優秀な外国人材との交流」と「モチベーションの向上」

外国人スタッフの中には本国で看護師として働いていた優秀な人材が多く、日本人スタッフが介護実務を指導し、外国人スタッフから医療知識を吸収するなど好循環が生まれ、職場全体のレベルアップにつながっている施設もあります。また技能実習生として介護福祉士資格の取得を目的に来日している人も多いので、国家試験受験に真摯に取組む姿勢が刺激となり、日本人スタッフのモチベーションのひとつとなっています。

3. 業務効率化による生産性向上

外国人介護スタッフが感じている業務上の課題は、「介護記録」「報告書」「ケアプラン作成」などの介護に関する専門用語での対応です。そのため介護記録の記入を容易にする工夫など、業務の標準化を進める動きが加速しています。事務作業の簡素化は、生産性の向上や入居者のケア向上につながる取り組みとなるので、外国人スタッフ採用によるメリットの一つと言えます。

外国人介護スタッフを採用する際の注意点

介護分野の外国人受け入れ拡大により、人材は確保しやすくなりましたが、採用する際は次のポイントに注意してください。

  1. 受け入れ方法は3つ
  2. 必要となる日本語能力
  3. 待遇・労働環境の改善

1. 受け入れ方法は3つ

現状、外国人介護スタッフを迎い入れる方法は「EPA(経済連携協定)による受け入れ」「在留資格『介護』による受け入れ」「技能実習制度『介護』による受け入れ」の3つがあります。ただし在留資格「介護」以外は業務上の制限や、送り出し国が限定されているため注意しましょう。在留期間はそれぞれ、4年、5年、3年となります。

2. 必要となる日本語能力

外国人材の受入れに係る日本語能力試験は「N1~N5」でレベル付けされていますが、技能実習生として最低限必要とされる目安はN3程度(日常的な日本語をある程度理解可能)とされています。今後介護の現場において日本人と外国人が円滑なコミュニケーションを図れるようにするためには、訪日後の日本語研修を定期的に実施するなど、採用企業が語学力向上に努めることが課題となります。

3. 待遇・労働環境の改善

企業にとって外国人介護士の雇用は「介護人材の確保」が主な目的となりますが、介護業界の慢性的な人員不足は、「賃金の安さ」や「過酷な労働環境」がその原因とも指摘されています。外国人材を日本人と比べて過度に安い賃金で雇用したり、長時間労働を強いることは法律でも禁止されています。外国人介護スタッフに定着してもらうためには、待遇や労働条件に十分配慮した職場環境を構築するように心がけましょう。

外国人介護スタッフ成功へのポイント

時間と手間をかけて外国人スタッフを採用しても、文化の違いや言葉の壁から早期に離職してしまうことがあります。会社に定着してもらうためには次のポイントに配慮する必要があります。

  1. 受入態勢の整備
  2. 資格取得の支援

1. 受入態勢の整備

介護現場の外国人材は言葉や文化の違いから日本人以上にストレスを抱えることになります。単なる人員不足の補充ではなく、戦力として長く働いてもらうにはきめ細かなサポートが欠かせません。職場の先輩・上司が外国人スタッフの悩みを聞いてあげたり、日本人スタッフと外国人スタッフが積極的にコミュニケーションを図れる場を提供するなど、職員全体が働きやすい職場を提供することが企業の次なる役目となります。

2. 資格取得の支援

外国人材を戦力として定着化させるには、国家試験の合格が鍵となります。しかし、介護現場に就業している外国人材を調査すると「帰宅後に十分な学習時間がとれない」「勉強を教えてくれる人がいない」「勉強した内容と実務の内容と結びつかず理解できない」など、介護福祉士資格の取得に関して職場・自宅を問わず学習時間の確保が困難であることが判明しています。

そこで、国家試験の学習内容を組み込んだ独自の資格・昇進制度を導入し、国家試験の合格率を引き上げるなどの取り組みが必要になります。例えば、組織内研修時に、介護の技術のみならず、試験で必要とされる知識を段階的に習得させ、組織内資格の取得を続けることで最終的に介護福祉士の試験合格を目指すなどの方法です。資格取得と日本で生活できるだけの処遇を準備できれば、外国人材の安定的な定着も可能となります。採用企業には国家資格取得へ向けて研修機会の確保と実効性のある学習支援が求められます。

まとめ

外国人介護スタッフの採用にあたっては、メリットとともに改善・整備すべき課題が多くみられます。採用を検討する企業の担当者の方は、マニュアル作成など言葉や文化の違いに対処すると共に、積極的に資格取得に向けた支援を実施し、質の高い介護サービスと人材の確保に努めることが大切です。