外国人エンジニア採用を成功させるためのノウハウまとめ

改正入管法が成立してこれまで以上に外国人材の採用に注目が集まるなか、急成長を続けるIT業界の人材不足が深刻化しています。経産省調査によれば2020年には約4.8万人のIT人材不足が予測されています。

なかでも「先端IT人材」と呼ばれる「ビッグデータ」「IoT」「人工知能(AI)」の分野は、大幅な市場拡大が予測されるため、IT業界の採用担当者の方にとっては企業の将来を担える若い外国人エンジニアの確保と育成が急務となっているのではないでしょうか。そこで今回は外国人エンジニアの採用を成功させるためのポイントを整理しました。企業の採用担当者の方はぜひご参考下さい。

外国人エンジニアを採用するメリット

国内企業が外国人エンジニアを採用するメリットは次の3つです。

  1. グローバル化の促進
  2. 競争力強化・生産性向上
  3. 優秀な若手人材の確保

それぞれ見ていきましょう。

1. グローバル化の促進・競争力強化

高度外国人材は同世代の日本人社員と比べて「論理的思考力」「自己表現力」「向上心」が高く、リーダーシップの素質が備わっていると言われます。そのため職場にグーグル、アマゾンなど米国を代表する超大手IT企業に勤めていた人材などが配属されることで、社員全体に国際感覚を身につけようとする意欲が芽生え、社内のグローバル化へ向けた意識を醸成する効果が期待できます。

2. 競争力強化・生産性向上

言葉や文化が異なる人材を登用すると、より多角的な視点による議論や着想ができるようになり、「新サービスの創出」「生産性向上」「多様な顧客ニーズへの対応」などの効果が期待できます。企業の国際競争力を強化していくうえで人材の国際化は欠かせない状況です。

3. 優秀な若手人材の確保

売り手市場が続く国内では優秀な若手エンジニアを確保するのは相当な困難が伴いますが、海外からであれば、母国の大学で先端情報科学を専攻した学生など、高度化・多様化の伸展に対処するための優秀な若手人材を確保することができます。さらに外国人上司を複数人育成することができれば、今後の外国人エンジニアの採用もスムーズに進むようになるでしょう。

外国人エンジニアを採用する際の注意点

外国人エンジニアの採用を成功させるうえで注意するべきポイントは次の3つです。

  1. 採用する人材の明確化
  2. 給与・待遇面
  3. 求める日本語力・英語力

それぞれ見ていきましょう

1. 採用する人材の明確化

経済産業省がまとめた「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果(平成28年6月1日)」では、大幅に不足すると見込まれる人材として「ビッグデータ」「人工知能」「IoT」の分野が挙げられています。また、「クラウドコンピューティング」「情報セキュリティ」「デジタルビジネス」の分野も深刻な不足が予測されています。

今後はそのような状況も踏まえて、企業の採用担当者の方は現状の事業内容に合わせて闇雲にエンジニアを採用するのではなく、今後の事業展開の方向性や将来性も踏まえたうえで採用する高度外国人材を明確にし、適材適所で割り当てていくことが重要です。

2. 給与・待遇面

同調査では人材獲得の重要な要素の一つとして「産業の魅力の向上」が挙げられています。なかでも「報酬の問題」を取り上げ、各国比較調査で日本のIT人材の給与に対する満足度の低さが指摘されています。例えばIT人材の平均年収は米国が約1200万円に対して、日本は約600万円です。企業にとって人件費の上昇は最も頭を悩ませる問題ですが、優秀な外国人材を確保するためには、報酬面でもグローバル基準を意識した意思決定が求められています。

3. 求める日本語力・英語力

外国人材採用においては「外国人の日本語力をどのレベルまで求めるか」「日本人社員の語学力をどこまで求めるか」を検討する必要があります。英語を社内公用語化する企業もある通り、国際競争力強化に向けて語学力向上はエンジニアも例外ではありません。企業の人事担当者の方は、外国人エンジニアに対して日本語研修を定期的に行う一方で、日本人エンジニアに対しても語学研修を積極的に実施しましょう。

外国人エンジニアの採用を成功させるポイント

高度外国人材と日本企業には、異なった文化を背景とした「評価基準」や「仕事に対する姿勢」にギャップがあると言われています。高度外国人材を上手に活用するには、次の3つのポイントのような「ギャップの解消」が鍵を握っていると言えます。

  1. 評価基準のグローバル化
  2. 「年功序列」ではなく「成果型」のキャリア形成
  3. 労働環境の見直し

それぞれ見ていきましょう。

1. 評価基準のグローバル化

日本でも評価基準について成果主義を導入する企業が増えているものの、「長期雇用」が前提となっている点で「年功序列」の精神が依然として強く残っています。そのため外国人材であっても日本人社員と同様の対応をとる傾向が強く、違和感を覚えている外国人は少なくありません。外国人材は個人の業績次第で若年でも昇進速度が上がる海外企業をイメージしているため、評価システムがあいまいな日本方式に嫌気が指し、早々と転職することがあります。

そのため外国人材を長期で雇用する予定の企業には、「年功序列」の評価システムを見直し、「成果主義型」の客観的でわかりやすい評価基準を導入するのがおすすめです。

2. 「年功序列」ではなく「成果型」のキャリア形成

日本ではキャリア形成に関して長期雇用前提の立場から管理職への登用に10年以上要するなど人材育成に時間がかかるのが一般的です。一方、プロフェッショナルを自任して仕事に対する意識が高い高度外国人材は、総じてキャリア志向が強く、自身の業績評価と昇進にギャップが生じる日本方式には馴染めないケースが少なくありまません。「キャリアアップ」は外国人材の強力なモチベーションとなるため、特に年功序列型のキャリア形成を採用しているIT企業は、抜本的に見直してみてはいかがでしょうか。

3. 労働環境の見直し

評価基準やキャリア形成とともに、ギャップが大きいのが「働き方」に対する意識です。日本では、伝統的に残業や休日出勤が常態化し、社員も受け入れているのが実態です。一方、外国人材の場合、仕事に対する意識は高いですが、仕事を終えれば自分の時間や家族と過ごす時間を大切にするという「文化」を持っています。特に日本のITエンジニア業界は人材不足によって長時間労働の傾向が強く、「きつい」「厳しい」「帰れない」の「新3K」とも呼ばれることがあるため、外国人エンジニアを定着させるためにも、厳しい労働環境を見直すことが大切です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。外国人エンジニア採用の注意点と成功ポイントを整理してきましたが、最も大きな課題は「マネジメントの難しさ」とも言われています。実際、就業時間・残業時間の見直しや賃金制度などは意思決定さえできれば早期に整備可能ですが、多くの採用企業は外国人社員のマネジメントに苦労しています。特にエンジニアはストレスが溜まりやすい仕事と言われているだけに、外国人エンジニアを受け入れる際は、常に外国人と日本人が一体感を持てる社内風土を醸成するように努めましょう。